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その6.ライオンの群れの構造とイエネコの共通点について
余談ですが、我々人間をイエネコと同じサイズに縮めた時にどんな結果になると思いますか?
例え地域猫と多頭飼いの場所で小さくなった場合ですね。
私の中ではイエネコがライオンみたいに人間を狩猟本能で獲物だと認識して意図も簡単に引き裂き、肉の塊にしてしまうことです。
優雅で気まぐれなネコに対するステレオタイプに異を唱えている部分がありますので、疑問に思ったことを調べて書いてみました。
ですが、説明をさせて下さい。
単独行動のイメージがあるイエネコには実はある一定の条件が揃った場合、ライオン特有のムラ社会を築くことができると言われています。
これは生物学的なデータに基に執筆していますので、完全に同じかは分かりません。
一つ目は豊富で一箇所に集中した食べ物があること。
野生のネコは小動物を狩るために幅広い縄張りを持つ必要がありました。トラとヒョウに近い本質ですね。しかし人間がゴミを出す場所や餌のやり場を、みんなが食べきれない量がある場所ができると縄張り争いよりもその場所を共有した方が効率がいいからです。
二つ目は充分な隠れ家があること。
餌があっても外敵に襲われては集団を維持することはできません。隙間や床下で安全に育児や休息ができるスペースが密集していることも大きな条件になります。
三つ目は中心となるメスたちに「血縁関係」があること。
見ず知らずのネコがただその縄張りに集まると激しいケンカになりますが、その場に留まった母親、娘、姉妹といった遺伝的につながりのあるメス同士であれば、お互いを許し、ムラ社会をスムーズに形成できます。
ライオンの環境との完全な一致について
実は、ライオンがネコ科の中で唯一ムラ社会を作る理由も、この条件と全く同じです。
ジャングルには、シカやゾウといった「1頭倒せばみんなで分け合える巨大な餌」が豊富にいます。そして、その豊かな縄張りや水場を他の群れから守るために、血縁のあるメスたちが集まって定住したのがライオンの群れのはじまりです。
つまり、イエネコにとっての「人間のエサやり場や漁港」は、ライオンにとっての「ゾウやレイヨウ等の大型草食動物(草食獣)が豊富にいる豊かなジャングル」、別の例えにするなら「小さなサバンナ」と同じ環境を作り出していることになります。環境さえ整えば、イエネコはいつでもそのDNAに眠る「ライオンのような集団性」を開花させることができるのです。
ライオンの群れはネコのムラ社会と作中で表現させていただきましたが、これをイエネコに例えるとどんな風に例えることができるのか調べただけでなく、ネコ科特有の社会構造をリサーチする必要がありました。
他にもライオンの群れをイエネコフィルターで繋げるなら、多頭飼いと地域猫特有のムラ社会構造のミニチュアライオン版と考察することができるからです。
その7.トラの単独行動について
トラと聞くとライオンと違ってイエネコと同じように単独行動をする動物だと思われがちですが、ちゃんとした理由があります。ただし、トラの単独行動はイエネコとはまた違った意味合いを持っている
作中では言及されていませんが、ヴィヤーグラのようなトラは体重200kgあり、一日に最低でも7kgの肉が必要です。これを満たすにはシカやイノシシ、または爬虫類や魚類等を数日に一度は確実に仕留めなければなりません。ホワイトタイガーのヴィヤーグラは白い見た目のせいで狩りにハンディキャップがあるため、メインの狩りは爬虫類や魚類、昆虫類が主食になり、ヒョウが捕まえた草食動物を横取りするしか生きられないように作中の前編で描きました。
理由その1.なぜトラ一頭で限界なのか?
自然界において、こうした大型草食動物の数は限られています。もし1つのエリアに2頭のトラが一緒に暮らしてしまえば、その地域の獲物はあっという間に絶滅してしまいます。「一頭で充分」なのではなく、「その土地の生態系が、一頭の巨体を養うだけで限界」なのです。
理由その2.ネコ科特有の待ち伏せ型の狩りには単独が絶対有利だから
単独だからこそ、気配を消せるトラの縞模様や、ヒョウ・ジャガーの斑点模様は、木漏れ日や草むらに溶け込むための最強のカモフラージュ服です。足音を忍び足で消し、一頭でじわじわと獲物に近づき、一撃で仕留めます。繰り返しになりますが、ホワイトタイガーの場合は例え縞模様を持っていようが、その待ち伏せ型の狩りですらハンディキャップを抱えてしまうことになっています。
そのため集団になると、かえって失敗し、もし複数頭で動けば、それだけで足音や匂いが増し、鋭い感覚を持つ草食獣に気づかれて逃げられてしまいます。密林での待ち伏せの狩りにおいて、「仲間」は協力者ではなく「邪魔者」になってしまうのです。
理由その3.イエネコのような「おこぼれ」、ライオンのような「草食動物を1頭倒せばみんなで分け合える巨大な餌」が存在しないから
イエネコが他のネコと縄張りを共有したり、集団を作れたりするのは、「狭い範囲に大量の餌が存在する」からです(人間のキャットフード、生ゴミ、ネズミが湧く倉庫など)。
他にもライオンが他のライオンと縄張りを共有したり、集団を作れるのは、「草食動物を1頭倒せばみんなで分け合える巨大な餌」が豊富に存在するからです。
大自然に「エサの自動販売機」はない野生のジャングルにおいて、大型の獲物は広大な土地にパラパラと分散して移動しています。そのため、ライオン以外の大型ネコ科は「ここに行けば必ずエサがある」という場所を持てません。だからこそ「広大な縄張り」を独占する彼らは、獲物が移動するルートをすべてカバーするために、東京ドーム数千個分という広大な縄張りを一頭で巡回し、独占し続けなければならないのです。(※ノマド暮らしをするオスライオンについても、自然界、生物学的、動物行動学的には群れを築く前に、これらと同じ本質で生活している場合があります。)
その7.最後に
みなさん、私男性作者は海外未経験、 ネコの飼育経験ゼロでSNS未経験のZ世代ですが、ネコ科に対するリサーチやリスペクトを経て、自分の大好きな歴史やその構造を動物を通して投影しました。
これこそ私が初めて書く動物小説だと言うことです。この動物小説を見て、イエネコに対する見方が変わったと思ってくれれば最高に嬉しいです。完全にその生態としてはフィクション寄りな部分もありますし、完璧にドキュメンタリー事実として投影した訳ではございませんのでご注意ください。
ご清聴ありがとうございました。
コメント
17件
あとがきまでめっちゃ面白かった…!!😳✨「イエネコ=ライオンのミニチュア版」って視点、すごく納得したし、人間のエサやり場がジャングルの獲物と同等って考え方が斬新だったよ〜🦁💡 トラの単独行動も「生態系が一頭で限界」って理由付けが説得力ありすぎて、今度動物園で見る目変わりそう…🐯💦 こういうリサーチ背景を読むと物語の解像度爆上がりするから、あとがきまで愛おしくなる作品って最高だね!!🌸💖