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病院
____桃視点
瑞 「らーんくん?」
頭を傾けて目だけをのぞかせながら遠くの扉からこさめは俺を覗く。
桃 「おはよ、こさめ。」
手で招く真似をしながら、小さい声で挨拶をしてこさめを俺の部屋(病室)に招き入れる。
この前まで病院の服だったのに、いつの間にか私服のパーカーに戻ってるこさめをみて羨ましく思ってしまう。
瑞 「他の人達は?最近来てないの?」
桃 「大丈夫、ちゃんと来てくれてるよ。朝登校する前にみんな来てくれるから朝は起きれるんだよねぇ〜 笑」
瑞 「ふ〜ん、そうなんだ。」
こさめは俺の寝てるベットに腰をかけて、足の上に乗ってくる。
最初は「重たい〜!」なんて言ってたのに、そんなことも言えないほどこさめは日に日に体重が落ちていっている気がする。
今は重たいよりも、骨が足にあたって痛いまで来る。
桃 「ご飯は?食べた?」
瑞 「……」
桃 「…じゃあ、いつから?」
瑞 「ん〜、お金もないし…昨日の昼からとかかな?」
当たり前のように1日3食中、2食を抜かして病人の俺より体調が悪そうなこさめ。
財布から3000円を出して、小さく折りたたんでからこさめの手のひらの上に置く。「こんなの受け取れないよ」そう言われても俺はこさめに渡し続ける。
瑞 「えぇ…ほんとうにいいの…?」
桃 「いいってば、今更俺に必要なもの無いし、入院費は母さんたちが出してくれるから大丈夫」
瑞 「だからこそらんくんがこのお金は大事にした方がいいんでしょ!」
頬を膨らまして、目を細めて上目遣いでこさめはお金を返してくる。
こっちは日に日に細くなるこさめが心配になって病気の進行も早くなってしまいそうだ…
桃 「…なら、俺にお菓子を買ってきてくれる?」
瑞 「おかし…?いいけど…」
桃 「これ渡すから、グミを3袋色んな味のやつを買ってきて?」
首を傾けて、不思議そうに俺に渡された金を見つめて、こさめはゆっくりと売店に向かって歩いてく。
こうでもしないとこさめは素直にお金を 受け取ってくれないし、グミ買ってきてって言っても無意識に自分の好きな物を買ってくるから結局こさめのためになる。
桃 「……やっぱ、死ぬのかなぁ…」
今更になって、ぽつんと思ってしまった。
こさめが退院してからもう1週間。俺の容態は段々と悪化していくばかりで、体に合う薬も見つけられなくて毎日点滴を刺して堕落した生活。
こさめにとやかく言ってるような場合では無いのかもしれない。夏という季節も終わって、もう他の3年生たちはきっと受験の為の準備中。
桃 「…最後くらい、みんなと授業受けたいなぁ…」
こんな病院で最後を迎えるなんて、死んでも俺は嫌だ。
まぁ、死ぬ未来は確定なんだけどね。
ガラガラ(扉
翠 「やっほ〜、逢いに来てあげたよ。」
桃 「…授業は?」
翠 「ライバルがいない今、そんなものは必要ないんだよ〜っだ!」
着崩した制服で病室に堂々と入ってきたすちを横目で見ながら、こさめの帰りを待つ。
今はお呼びじゃないんだよなぁ、なんて思いながら来てくれたことが嬉しくて、挨拶のひとつもできない。
翠 「…で、お薬は?見つかったの?」
桃 「いいや、見つかんないよ。いつ見つけてくれるのさ?」
翠 「俺に聞かれても、もうこの病院とは無関係なんで 笑」
手を上げる真似をしてふふっと笑うすちに、俺は叶うはずもない事をお願いする。
翠 「…教室に戻りたいの?そんな状態で?」
桃 「酷いなぁ、せめてもっと体調が良くなってからにしろってすちは言うんでしょ?」
翠 「当たり前じゃん、らんらんはすぐ無理するんだから…」
口元に手を置いて考えながら、すちは小さく「う〜ん、」とか「でもなぁ…」って呟く。
まぁ、今更教室に入ってみんなと授業を受けたいなんて願いは叶わないこと知っておきながら冗談で言ったことだから深くは傷ついてない。
桃 「冗談だから考えなくてもいいよ?」
翠 「そういう時のらんらんは全く冗談なんかじゃないんだから…」
俺よりも俺を熟知してるすちには隠し事は通用しないことは分かってたけど、こんなにあっさりバレることの方がショックだ。
そんなに俺ってわかりやすいんだろうか…
ガラガラ(扉
瑞 「買ってきたよ〜…ってすちくんいつの間に居たの?」
翠 「さっき来たばっかりだよ。こさめちゃんは手に何持ってるの?」
瑞 「らんくんに頼まれたグミ」
少し乱暴にグミの袋を開けて1粒とったあと、こさめは俺の口に押し入れてきた。
桃 「んぐっ、…ぅ」
翠 「ちょ、ちょっと!?無理やり食べさせちゃダメだって!」
瑞 「そうなの?」
悪気の無さそうな大きな瞳をしながら首をコテっと傾けてすちに回収されていくこさめを見て笑いながら口の中でグミを噛み締める。
白桃の味がする。
桃 「…あまい…⸝⸝⸝」
久しぶりに食べたお菓子の味は甘くて、噛み心地がいいから自然と口元が綻んでしまう。
瑞 「すちくんもいる?美味しいよ」
翠 「…1粒だけ貰おっかな」
丁寧にすちの口元までグミを持ってきて、食べさせたあと満足したようにこさめもグミを1粒食べる。
3人でシェアしながらグミを食べてたら、3袋なんてあっという間に終わってしまってどこか物足りない。
翠 「追加で買ってくるよ、こさめちゃんも一緒に来る?」
瑞 「いく〜っ!」
桃 「美味しいの買ってきてね〜」
瑞 「もっちろん!」
楽しそうな足取りでこさめはすちに着いて行く。
仲のいい兄弟みたい、そんな言葉は2人に届く前に病室の扉は閉まってしまった。
桃 「…ッぃ”たい…」
扉が閉まってから数分、じわじわとやってくる胸の痛みを逃がすために上半身を前に倒す。
桃 「はやく…ッ、とめないと…」
上手く息ができてるのかも分からないし、服は手で握る力でくしゃくしゃだ。
だけど前みたいに病室のベッドから落ちて、誰かに迷惑なんてかけれない。
俺の問題だ。俺の痛みだ。
誰かに知られてそれで涙を流されるのが1番辛いのはずっと理解できてるはずだ。
桃 「分かってる…ッ、けど上手くいかねぇ”…ッ笑」
視界がいきなり暗転する。
右半身から硬いものが当たる感覚がした。きっと、またベッドから落ちて体を床に打ち付けたんだろう。
そこから目を覚ますまでには4日の時間が経ってしまった。
#女体化
しほちゃん@テラー初心者
454
#義兄弟パロ
コメント
1件
うわぁぁ…第12話、読んでて胸がぎゅーってなったよ😭💔 こさめがご飯食べてなくて痩せてるのに、桃くんが「グミ買ってきて」ってお金渡すの、優しすぎて泣ける…。自分のことより相手のこと考えてるところがもう、尊い…。 最後の「あまい…」ってつぶやくシーン、久しぶりの甘さにほっとしたんだろうな。でもその後の急な痛みと倒れちゃう展開、4日も経っちゃうの怖すぎるよ…。続きが気になって仕方ない!次も絶対読むね🌸