アイノハナ
燐ニキ、愛重
監禁、自殺、体調不良等の表現有
「ねぇ、燐音くん。」
「あン?」
「燐音くんって僕のこと、どう思ってるっすか?」
「…そりゃあ?好きだけど?」
「…そうっすか。」
シナモンのキッチンでガラスのコップを拭きながらカウンターの席にいる燐音くんに聞く。
「好き」はどっちの好きなのか。友情として?それとも恋愛として?
燐音くんは水の入ったコップをカランコロンと鈴を転がすような音を鳴らしながらそれを見つめている。
「ンじゃ、ニキは俺っちのこと、どう思ってンだ?」
「ん〜、燐音くんと同じっすかねぇ?」
「冗談言うな笑」
「あははっ、ヒモとか?」
燐音くんと同じ。それは本心だった。友情じゃなく、恋愛としての。
それを冗談と受け取る燐音くん。貴方が持っているコップには作り笑顔を浮かべた僕が笑っている。
燐音くんは僕のもの。燐音くんを一番知っているのは世界で僕だけ。燐音くんの頭からつま先、細胞まで愛してる。
のに、君はHiMERUくんやこはくちゃんと仲良くなってきたね。
僕なんか居ないように、練習室で肩を組み頭をわしゃわしゃと撫でている姿を見た時はどんなに腹が立ったことか。自分の盾に槍や矢が突き刺さって貫通するような気持ち。
燐音くんは僕のもの。僕だけのもの。
ねぇ、僕のものになってくれるよね?
僕は綺麗に磨きあげた水晶のようなガラスに写る自分の顔を見て思っていた。
「お〜い!!メルメルとこはくちゃんおっせェぞ!!」
僕の感情なんかに気付かずに声をかける燐音くん。なんとも可愛らしいんだか。
「す、すみませんっ、仕事が長引いてしまい…。」
練習室のドアを開け腰を低くして謝りながら入ってくるHiMERUくんとこはくちゃん。
片目が僕の視線と合わさった時、驚いたような表情をしながら声をかけた。
「し、椎名っ…、?」
声を上下に震わせ僕に手を伸ばしながらそう言ってくるHiMERUくん。
僕は肩に置かれた手を振り落としHiMERUくんの耳元で、HiMERUくんしか聞こえない声量で言った。
「*奪わないで。*」
そう言いながら手に持っていた菓子や鞄を持ち練習室のドアを閉めた。
ドアの向こうからはなにかHiMERUくんの声が聞こえたが無視して歩き出した。
「*奪わないで。*」
「っ…!?!?」
俺はそういいながら出ていく君を見ていた。
力強く閉められたドアの向こうからはカツカツと足音が聞こえ、それは段々と遠のいていった。
「椎名っ…!?椎名!?」
アイドルとしてはみっともない姿だがドアに縋り付きながら放った一言。
「…ニキ、そんなに怒らなくてもいいのになァ?腹減ってたのか?」
腕を頭の後ろに回してそう言う天城に俺は腹が立っていた。
人の恋愛を邪魔しやがって。
そうだ、俺は椎名が好き。でも椎名は天城が好き。
そんな天城さえ居なければ結ばれていただろう。でも俺たちを出会わせてくれたのは天城だ。複雑に色が混ざりあい深い灰色になるような感情を抱いたまま俺はドアの前に音を立てて座り込んだ。
「…メルメル?」
心配そうに腰をかがめ聞いてくる天城。
「…俺、今日は帰ります。」
「はぁっ、?」
少し後ろを向きながら呟いた一言。俺はいつの間にか歩き出していた。
「全く、ニキもメルメルもどうしたんだァ?」
「全部燐音はんのせいやないの?」
「あン?なんで?」
「いや…。男の勘や」
「へ〜。謝った方がいい?」
「謝る時間が無いと思うわ」
「まじかよ…、笑」
奪わないで。
死んだ表情をしながら歩き出す。
着いたのは僕のアパート。確か燐音くんの服やらがまだあったはず。
「…。燐音くんに連絡しなきゃ。」
スマホを取り出しポチポチと打っていく。すぐに既読は付き「了解」という文字だけ送られてくる。
「ショー、初めよっか。」
ピンポーンとチャイムが鳴る。
僕ははーいと言いながら出る。
そこにはニコニコとしていてポケットに片手を突っ込み「よっ」と言いながら立っている燐音くん。時刻は九時。
「入ってくださいっす、」
いつもとテンションが違うのに気付いたのか大人しくなり入ってくる燐音くん。
棒は磨きあげた水晶に雨を降らしそこに傘を差した物を燐音くんにあげた。
「飲んで。」
「…おう…、?」
素直に飲んでくれる燐音くん。クスリが入ってるなんて知らずに飲んでいく燐音くんは騙されていて凄く面白い。
「…、?眠、」
数分後に目をぐるぐるとしながら放った言葉。効果が効いてきたのだろうか。
その場に倒れるように眠る燐音くんに僕は愛のリボンをあげた。
ぐるぐる巻きにして、僕だけのものにする。
「…んぁ、?」
目を覚ます燐音くん。
「っ…、!?は、おいっ、!?」
だいぶ混乱しているようだがそれも面白い。
首輪にロープに手錠。
僕は首輪を引っ張った。
「お゛ぇッ、…、!?げほっ、げほっ、?」
苦しそうにもがく姿に僕は好意を覚えた。
足は縛られ手は後ろ。身体はぐるぐる巻きにした。初めてしたから違和感は凄くあるがいいだろう。
「ねぇ、吐いて。」
首輪を片手で引っ張りもう片方を口に突っ込む。
「お゛ぇッ、!?げぇッ…、?」
暗い部屋でぴちゃぴちゃと音を立てながら汚物を吐いていく燐音くん。
それは僕の大好きな“食”を感じさせた。
口に汚物を垂らしながらこう言ってくる燐音くん。
「ニキッ、?な、した、だ…、?」
呂律が回っていないのが初々しい。
可愛い。早く僕のものにしたい。
「ねぇ、燐音くん。僕と一緒に死のう?」
「はッ、?!」
どこからか取り出したのかナイフを片手で持ち空いた片手を頬にあてる。
「おれはいいけどっ、ニキは駄目らっ、!!!」
「なんで?」
「…おれは、アイドルとして、駄目なことをいろいろやってきたけど、ニキはアイドルとしての才能もある、これからも輝ける存在だ」
「ね〜でも僕はやだなぁ?だから、一緒に死のうね︎︎︎︎❤︎ 」
「ちょ、ま―」
口だけで止めようとしている燐音くんに躊躇なく僕はナイフを突き刺した。
どくどくと血が刺したところから溢れてきて、口からも吐いている。
「えへへ…、これで…僕のものになれるね…w♡」
泣きながら、返り血を浴びながら、血の着いたナイフを自分にあてる。
「さよ〜なら。」
そう言って指す。
どばどばと血が溢れてくる。僕は意識が薄れているのを感じながら燐音くんの方へ近づいた。
「また、来世で…あおうね…。♡」
血の着いた手で息のしない貴方の頬を伝う。
僕は眠りについたように倒れ込み、永遠の眠りに着いた。
カーテンの隙間から光が差し込み僕たちを照らす。
アパートの下では救急車と警察の赤い音色が聞こえてくる。
「ニキはんっ!?燐音はんっ!?」
警察に止められながらそう言うこはくちゃん。
死んだ魚のような目をしながら座り込んでいるHiMERUくん。
その後ろにはALKALOIDの皆やコズプロの皆が集まっている。
嘘でしょという顔をした白鳥くんや泣き叫んでいる一彩くん。
でも、僕の願いは叶えられた。ならみんながどう思ってもいい。
Crazy:Bの皆には迷惑がかかるが僕は幸せだ。
生きててくれてありがとう。燐音くんから言ってくれたその言葉が胸に突き刺さる。
「僕、来世、行けるかわかんないなぁ笑」
「僕は地獄へと送られる人間。燐音くんも来るかなぁ、w」
そういいながら僕は地獄へと向かっていった。
Crazy:Bは解散し、メルメルはニキが死んだことにより心を病み自殺。こはくちゃんはアイドルも何もせず実家に引きこもっているらしい。
全部俺のせい、ニキに思いを伝えられたなかった俺のせい。
全部全部、俺のせい。好きだって伝えられなかった俺のせい。
メルメルはニキのことが好きだって知っていた。
ニキは俺のことが好き、俺はニキのことが好き。
分かっていても、嫌われたくなくて嘘をついた。あの時の「好き」は伝わっていたのだろうか。
「なぁ、来世も、一緒に、アイドルしような。」
俺はそう呟いた。
コメント
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ばり泣きながら見た…😭😭もうやばい…顔面大崩壊してるぐらい泣いてる…😢😢 なんか色々複雑過ぎて…心に刺さったや… めちゃ好き…リピート確定です…(??
あっ好き†┏┛墓┗┓† 受け側の愛重って最高…そんでもって無理心中も良き…俺の心読んだのかってくらい癖をぶち抜いてくるから寿命伸縮する(?)
うわーーーーもーーこの救われない感やばい😿😿😿😿こういうのだいすき本当に好き語彙力なくなるすきです。。😭😭💞💞💞💞