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「ほら、聖!早く帰るぞ」
「おいてくよー」
2人が僕を呼んだ。足速すぎんだよな、全く。
「はやーく!」
「ちょっと仁までさあー」
少し前を彩月と樹月が歩いて、その後ろから仁と僕で話しながら帰る。
その時、後ろから口を塞がれ、薬を嗅がされる。
「ぐぅ…あぁ、じ、じ…ん…」
そう声を上げ、意識が途切れた。
後ろから親友の今にも死にそうな声が聞こえて振り向く。
理解するのに数秒かかってしまった。
そして、叫んだ。
「聖!起きろ!聖!」
異変に気づいた彩月と樹月が戻ってくる。
「どうしたの?」
「…仁、警察に通報。急いで。」
彩月に言われ通報する。
「彩月?何する気だ」
「私はあの男を追う。だから、仁といつ…」
「仁はこの場から逃げろ。」
彩月は何か言おうとしたが、黙った。言ったところで無駄だと察したんだろう。
でも俺だけ…
「俺も一緒に…」
「ダメ。君は残って。説明するんだ。いいな」
それだけ言い残し走っていってしまった。
まずい、まずい、まずい。
友達が誘拐された。
「あの男、あいつをどうするつもり?」
「わからない。わからないけど良くないのはわかる」
最悪、聖の死体を見ることになる。
そんなの嫌だ、そうなる前に私らがどうにかしないと。
でも何ができる、子供の私らに…。
※※※※
「追っ手か?…いや、子供、、それも中学生くらいか」
「この少年より余程使えるのでは?体格も大柄だし…」
一体なんの話だ?
俺と彩月は確かに身長は高い。体格もある。
しかも、舐めるように身体を見ている。
「アンタら誰だよ…」
彩月の低い声がその場に響く。
「その子を離せ…今すぐだ!」
声を荒げて言う。
「我らは“鬼神”。世界を破壊する組織だ。彼の存在は我らの弊害になりうる。だから、利用しようと思ったのだが…」
「貴方たちの方が使えそうね。」
何を言っているのか全く分からない。
鬼神?弊害?利用?俺らのが使える?
「意味がわからない。その子を離せ。」
「取引をしよう。」
「そんなの乗るわけ…」
「内容だけ聞こう」
「彩月!」
「いいんだ、樹月」
彩月が小声でこう言ってきた。
「このまま時間を稼ぐ。警察が来るまで、確実に。」
なるほど。そう言うことか。
「内容は“君たちが鬼神に来ること”。彼の代わりに我らの道具になることだ。」
「ふざけるな。私らは道具じゃない。」
そうだ。道具じゃない
「俺らはにんげn…」
「従わないなら、この少年を犯す。」
は?無理だろ。だって聖は…
「男だぞ。男のアンタには…いや女のそっちでも無理だ。」
「だったらこの場でやってやろうか?」
やめろ…ダメだ…それだけは…
「ふざけるな!この場にもうすぐ警察が来る!だから、その子を…聖を離せ!」
彩月は耐えられななくなり、走り出す。俺も後に続く。
いきなり天地がひっくり返った。
押し倒されている。
「…は?」
横を見ると彩月も押し倒されている。
「貴方たちは黙って見ていなさい。」
冷たく言われた。
ーーーー
何が起きている?
目覚めて早々衝撃的な景色が目に映る。
彩月も樹月も誰かに押し倒されている?
「やめろ!2人を離せ!」
「こちらも起きたか…」
…獣…。この男の目、獣だ。獲物を狙う獣。いや、雄の獣だ。
襲われる…怖い、怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い…
「…はぁ、ぐっ…うぁ…」
過呼吸…。息が…止まる…。
『わかった!条件飲むから!』
彩月と樹月が叫んだ。
その瞬間、
助かった。きてくれた…
意識を手放した。
「本当に飲むんですね」
「わかってる」
「ああ」
「じゃあ、また後日」
数日後、彩月と樹月は行方不明になった。