親友が行方不明になったと聞いたのは俺が誘拐されてから1週間経った頃だった。
彩月も樹月も昨日まで普通に学校にいた。
なのになんで…
「なんでだよ!なんで2人なんだ!なんで…」
「聖、落ち着け!ここは学校だ。家や道路じゃない!」
仁に言われてようやく落ち着いた。
「仁さん、聖さんは後で職員室に来てください。必ず。」
そう、先生が言った。
聖とともに職員室に呼ばれた。
職員室の応接間に通され、そこにはスーツを着た男の人と女の人がいた。
その目はどことなく怖く感じる。
「君らが聖くんと仁くんだね。私たちはとある事件を追っている刑事だ。」
「このお兄さんは怖いけど僕は怖くないから安心してね!」
「怖いとか言うな」
いや、どっちも怖いんだけど…
「けーさつが何の用?俺たち、なんもしてないんだけど。」
聖がド直球に聞く。
「彩月ちゃんと樹月くんのことだ。」
『…は…』
「2人は、誘拐された可能性が高くてね。だから聖くんと仁くんは何か知らないかなあと思ってさ」
そんなの俺知らないんだけど…
「…くの…」
「え?」
「僕のせいだ…僕があの時誘拐されたから…あの時、彩月と樹月は条件飲むって…」
「そっか、ありがとう。辛いこと思い出させてごめん。ありがとう。」
俺は全然知らなかった。あの日何があったかを。一緒に追っていれば違う道もあったはず。
ごめんなさい。ごめん…
「…ん、じ…、ん…仁!どうした?」
「…え?ん?いや、別になんもないけど。」
嘘だ。仁は嘘をつく時大抵上を向く。
今にも泣きそうな声をしている。
きっと、自分を責めているんだな。
きっと、僕にそんなこと言える資格はないけど…
「大丈夫。彩月も樹月も帰ってくる。」
「…おう…」
必ず帰ってきてよ。
でも、僕らが中学校を卒業する頃になっても2人は、帰ってこなかった。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!