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#薔薇
げすと
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父と母が離婚した
切り出したのは母だった
母は口を開けば父の愚痴ばかり垂れ流す人だった
分かれて当然だったのかもしれない
離婚を聞かされた日、私は母に聞いた
「嫌ならなんでしたの、結婚」
母は少しだけ私を睨んだ後、ぶっきらぼうにこう言った
「出来婚だよ」
その時から私の心の辞書から色という字が無くなったかのように暗くなった
目の前に広がる景色は無彩色に彩られ、色情なんてものは微塵も感じられなくなった
昔ネットで読んだ架空の物語を思い出す
確か『昔は世界に色という概念はなく、白と黒で構成されていた。しかしある時、何者かが呪いに似た何かを世界にばらまいた。人はその呪いのせいで青や緑が見えるようになった』
という内容だったように思う
私はその呪いが解けた地球上唯一の人間になれたのだ
…王子様のキスが、呪いを解く方法だなんて考えた人は世ほど幸せ者だったのかもしれない
色の呪いは学校へ行っても友達と話していても再び私の体に纏わることは無かった
先生や友達は、元気がなくなった私を心配してくれた
だがそれは中身のない、気泡緩衝材のようなものだ
1枚だけでも、意味がないことは無い
でも、それは何重にもしないと十分な効果を発揮しない
そんな代物だ
私がいなければ、二人は結婚すらしなかったのかもしれない
そう考えると、私が生まれたせいで2人の人間の半生を無駄に終わらせてしまったのかもしれない
そのやるせない責任と申し訳なさは消えなかった
それに私の出生は誰にも望まれていなかったという事実が自覚している以上に応えているのかもしれない
思い返せば、親が私に与えてきた愛は自分たちの娘としての必要最低限のものだったように思う
たった13年の人生だったけれど、2人の愛はもっと他の人に向けられるべきものだったに違いない
母の引っ越しが済んでしまうまで私は叔父家族のもとで生活することになった
長引いたとしても1週間ぐらいだろうか
3年ほど前までは、頻繁に遊びに行ったりはしていたから叔父らとは顔なじみだ
余計な迷惑や心配はかけたくないので出来るだけ気丈にふるまうようにしよう
「お久しぶりです、今日からお世話になります」
「そんなにかしこまらなくてもいいのよ、でも大きくなったわね」
「そうだなぁ、もうだいぶ会ってなかったもんな。今回は…大変だっただろうけどまたよろしくね」
「もうすぐ小夜も学校から帰ってくるだろうから会ってあげてね」
「はい、楽しみにしてます」
叔父夫婦の間には小夜さんという私より2つ上の娘がいる
昔、こっちに来た時はよく一緒に遊んだが今はどうだろう
もしかしたらウザがられるか、煙たがられるかもしれない
久しぶりなんだし、15歳といえばきっと思春期真っただ中だ
と、思っていたのだけれど彼女の反応は意外なものだった
「久しぶり~、元気してた?会いたかったぁ!」
「あ、えと、自分は、元気だったです」
「良かった~、こっちにいるの1週間ぐらい?何する?どっか行きたいとこあったりする?」
3年ぶりに会った彼女からは面食らうぐらいの圧が感じられた
昔はもっと人見知りでおしとやかだったように思うが回想の中の彼女とギャップが強すぎて、本当に記憶があっているのかどうか怪しく思えてきた
なんにしろ、無視されたりしなくて良かった
なにより、こんな私を歓迎してくれたことが素直に嬉しかった
この人といれば少しは不安と責任感が薄れる気がしたから
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