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街を歩く俺は、小さな子供に親がリードを付けて問題になった話題を思い出していた。
今ならあの話に賛成出来そうだ。
目の前の聖奈さんはさっきからフラフラしている。
まだ開店前の小物屋を覗いては、準備中の店員さんを驚かせたり、人の家に勝手に入りそうになっていた。
「聖奈。セーナっ!」
「えっ?!なに!?」
「フラフラしすぎだぞ。後、勝手に行動しないように。
守れなかったら強制転移な」
俺の厳しい言葉に、ビクッと動きを止めた。
「うっ。わかりました…」
聞き分けの良い人は好きだよ。
「でも、異世界凄いね。やっぱり色んな髪の色の人がいるし、文明の発展具合に比べてオシャレだし。
後は冒険者になることだけだね!」
「ずっと言ってるけど、ホントになるのか?
一応言うけど、チートなんかないぞ?」
「危ないことはしないよ!でも、この世界を旅したいの。もちろん商人でも旅は出来るけど、冒険者じゃないといけないところもあるよね?」
たしかに旅は賛成だ。俺も元々この街に居座るつもりはないからな。
「わかった。でも、とりあえず話を聞くだけな。その後、ちゃんと話し合うぞ」
「はーい!」
だから妹…以下略。
久しぶりに訪れた冒険者組合は、朝も早い時間だからか、そこそこの人で賑わっていた。
「おはようございます」
受付に行き挨拶をした。
「おはようございます。以前依頼を下さったセイさんですよね?ご依頼でしょうか?」
一度来ただけで名前まで覚えているのか。美人なのに…天は二物を与えたようだな。一つでいいので分けて貰えませんか?
「その節はお世話になりました。実は、今回は客ではありません。
冒険者になりたくてお伺いしました。お話をお聞かせくださいませんか?」
俺が受付嬢と話していると、聖奈さんが小声で話しかけてくる。
「セイくんダメだよ。冒険者ならそんな畏まってなくて、もっと強気にいかないと!」
ラノベじゃあるまいし……
なんで頼んでいる方が強気に出るんだよ……
「あまりお聞かせできる話はありませんが、冒険者について簡単にご説明しますね」
どうやら話は聞かせてもらえるようだ。
「冒険者にはランクという階級の様なモノがあります。GからSまであります。Gは見習い期間ですので、実質Fからですね。
報酬や納品物の支払いは、税を引かれたものになりますので、面倒な手続き等は不要です。
依頼にもランクがあり、特例以外同一ランク以下のものしか受けられません。
ランクアップにはCランクまで試験はありません。依頼をこなした数、達成率、組合への貢献度がランクアップの査定内容になります。
依頼はランクに応じてボードに張り出されている物から、お好きなものを選びます。
それ以外は組合からの指名、依頼者からの指名依頼があります。
登録には5,000ギルかかります。
以上になります。ご質問はありますか?」
俺は以前聞いていた内容の為、特に聞くことはなかった。税は商人組合と重複するところがあるが仕方ない。普通は両方に登録はしないからな……俺達が特殊過ぎるんだ。それに報酬や素材の卸値からの天引きだから、入市税くらいしか損することでもないしな。
聖奈さんを見ると話したそうにしていたので促した。
「あの、禁則事項はありますか?例えば低ランクは街の移動が出来ないとか、常識的な範囲外でです」
おお。流石聖奈さん。確かにデメリットを聞いてないと、後から困ることがあるかもしれないな。
「そう言ったことはありませんが。
あまり秩序を乱す行為が目立ちますと、ランクの降格、又は除名処分が課せられることもあるくらいですね」
「ありがとうございます。やはり魔法使いは重宝されますか?」
ん?なんだ?その質問は?
「そうですね。上位のランクのパーティからも誘われることが多いのは事実です」
「ありがとうございます。パーティとは組合への登録制ですか?」
「そうです。申請して頂けたらどのランクでもお受けします。
あくまで冒険者は自己責任ですが、パーティ登録を行うと、パーティ内での揉めごとに組合が介入します。
例えば、公平な報酬配分であったりとかですね」
そうなのか。てっきり何かメリットが増えるモノかと思ったけど、デメリットを無くすほうか。
「あくまで冒険者は個人主義ですので。
複数の冒険者が必要な依頼も多いので、冒険者同士の不和を減らす目的で作られた制度ですね」
「ありがとうございます。相談して登録するか決めたいと思うので、また来ますね」
聖奈さんの気が済んだようなので、冒険者組合を後にして街へ行こうとしたら、見知った顔がいることに気付いた。
「ミラン。久しぶりだな」
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#ファンタジー
「お久しぶりです。ご依頼ですか?」
俺と金髪美少女のミランが話していると、聖奈さんのテンションがぶっちぎれた。
「きゃー可愛い!お人形さんみたいっ!ううん、お人形さんより可愛いよっ!」
あまりの高過ぎるテンションと近づく圧力に、ミランが恐怖を感じているんじゃないか?
ほら。少し後ずさっているし。
「驚かせてごめんね。私はセーナ。セイくんの彼女です。
ミランちゃんのことは聞いているよ。セイくんがお世話になりました。
…こんなに美少女だとは、聞いてなかったけどね」
その言葉に、自己紹介と共に掴まれた腕に力を入れられた。
痛いです…それに俺は13歳には興味がありません……
「ミラン。俺達も冒険者になろうか話していたんだ。
良かったら話をまた聞かせてくれないか?
もし良いならあそこの食事を奢らせてくれ」
何も知らない俺たちが話し合うよりも、ミランに聞いた方が間違いがないしな。
「わかりました。丁度早朝からの配達の依頼が終わった所なので、報告したら出ますので待っていてください」
「ありがとう!じゃあ、待ってるね」
俺ではなく聖奈さんが返事をして、俺達は混みだした冒険者組合を出て外で待つことになった。
外に出た俺に、聖奈さんは目を細めて問い質してくる。
「セイくん。なーんで、ミランちゃんが美少女だったことを黙ってたのかな?」
「別に他意はないぞ?見た目なんて主観だしな」
これで納得してくれ!
これ以上言い訳したら、やましくないけどやましくなっちゃうじゃん!
「はぁ。今回だけだからねっ!」
だからそのツンデレ妹キャラは・・・以下省略。
聖奈さんと話をしていたら、冒険者組合からミランが出てきた。
「お待たせしました」
「急に悪いな。行こうか」
三人で、ミランと以前に行った店へと向かう。
道中女性たちが何か話しているけど、俺は話に入れない。
嘘です。入りたくない。
そうこうしているうちに店へと着いて席に着いた。
「ミランちゃん。オススメのデザートはあるかな?」
「ハニークッキーが美味しいです。
ミルク入りの紅茶と合いますよ」
「じゃあ、私はそれにしよっと!ミランちゃんも遠慮せずに好きなものを頼んでね!セイくんはお金持ちだから」
「知っています。話を聞くだけの依頼で10,000ギルも出したのですから」
…何故か居心地が悪いな。
「俺はホットドッグと果実水にしようかな」
各々が好きなメニューを頼んだところで、漸く本題に入った。
「冒険者をされるのですか?商人で成功されているのに?」
「私のわがままなの。色々なところを旅して見て回りたいの。
そんな理由じゃダメかな?」
「私にそれを咎める権利はないので、何とも」
「ミランは何で冒険者なんだ?」
「こらっ!セイくん!人にはそれぞれ事情があるの。気安く聞いたらダメだよ!」
「す、すまん。忘れてくれ」
俺は焦って謝罪したが……
「大丈夫です。大した理由ではないので。
私は3人姉弟の一番上です。家が裕福ではないので、成人したら自分の食い扶持は自分で稼がなくてはならなかったのです。
12歳の何も取り柄のない私を雇ってくれるところはありません。
必然的に冒険者になるしかありませんでした」
お、重い……
でも、異世界では当たり前なことなのかもしれないな。
聖奈さんが何かウインク(?)瞬き(?)をしてきた。
なんだ?目にゴミでも入ったのか?
そして、こちらを見ながら、何か頷いている。
「ミランちゃん。もし良かったらなんだけど、私達が冒険者を始めたら、一緒に活動しないかな?」
え?あなたは何を言っているんだい?
「でも・・・私は何も取り柄がありません」
「何で?私達の方が何も知らなくて足を引っ張っちゃうよ?
それに、一人より出来ることが増えると思わない?
一人より二人、二人より三人だよ」
聖奈さんの提案に、少し考え込むミラン。
確かに素性の知れない俺達と組む理由はないよな。
しかも年上の新人なんて、一番扱いに困るからな。
「セイさんはいいのですか?」
「大丈夫。いいっていっていたよ」
えっ?いつ?
まさか、あの下手くそなウインクって、アイコンタクトだった!?
「何も出来ませんが、よろしくお願いします」
何も出来ないのは俺達の方なんだけど……
この子、こんなに頭悪かったっけ?
残金
1,440,000円
1,762,000-4,000=1,758,000ギル
〓〓〓〓〓〓〓あとがき〓〓〓〓〓〓〓
ミランが簡単に仲間になりすぎだ!とお思いですよね?
一応この先に理由はポツポツと出て来ますが…作者も忘れた頃に出てくるので、この時点での描写が少ないです。
えっ?私の能力不足ですか?
い、いえ、決してそのようなことはっ!(あります)