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【いちゃこらしたい】
「阿部くん」
「なに」
「……あの、さ。……その……」
「ん? なに?」
あ、阿部くんがこっち向いた。
うわ、どうしよう。なんか緊張する。でも言わなくちゃ。だってもうこれしかチャンはないかもしれないんだしス。今言わなくていつ言うんだオレ! よしっ!!
「あ、あべっべべくんっ!」
「は? ……なに?」
(恥ずかしっ! 噛んじゃったよ)
『は?』
首傾げてるし。なんかちょっと引いてる顔してるし。絶対おかしいやつだって思われたぁ。恥ずかしいー!
「あの、ごめん」
「は? いや、いいけど……どうかした?」
でもせっかく阿部くんがこっち向いてくれてんだ。勇気を出せ佐久間大介! このまま誘うぞオレぇー! 頑張れ、オレぇー!!
「あ、のさ。……阿部くん」
「え?」
阿部くんはまじまじとオレを見た後、おかしそうに笑った。あ、かわいい。オレの大好きな阿部くんの笑い方。思わずドキっとするかわいさだ。うわ~ドキドキしてきたぁ~! ってそうじゃないだろオレ!オレの目的は、阿部くんをデートに誘うこと! ドキがムネムネだけど……頑張るんだオレ!
「なになに? 急にどうした?」
「あの、その……えっと……」
「うん」
頑張れ!よしっ!!
「でーと、しよ!」
阿部くんは目をぱちぱちさせたあと、「いいけど」と答えた。やったー!! やったぞ! 阿部くんをデートに誘ったぞおれぇー!! しかも即答!
「ほんと!?」
嬉しくて思わず大きい声が出てしまったけど許してほしい。だって嬉しいもん。やったぁー!!
「うん。いつ?」
「えっ……明日とか、ダメかなぁ」
あぁやっぱりダメだよねごめんなさい無理言ってすみませんって言うつもりだったのに阿部くんは「いいよ」って言ってくれた。うそー!!? マジか!?
「……え? いいの?」
思わず聞き返してしまう。
「いいよ」
まじかぁぁぁぁああああ!! 嬉しいぃー! やばい顔ニヤけるぅー!
「どこ行くの?」
そうだよどこ行こう。何も考えてなかった。何がしたいんだろう。何ができるんだろう。とにかく阿部くんとデートできるならどこでもいいんだけどなぁ。
「それはまだ決めてないんだけど……」
「ふぅん」
どうしようかなぁと考えながらちらっと阿部くんを見る。すると阿部くんは口元に手を当てて何か考えていた。
え? なんで考える必要があるんだ? もしかして嫌なのかな。え? どうしよう断られたら立ち直れない。やっぱり、気が変わって阿部くんのデートのお相手に選んで貰えなかったらショックすぎる。どうしようどうしよう。