VTAの時の名前が出ます。
俺、渡会雲雀は今。
「どこだ、ここ…。」
広い学校内で迷子になった。
奏斗と一緒にいっていたのに一限目の移動教室が何とかで人に流されて…。
学校の大きさに比例してやっぱ人が多いんだな。
…今、めっちゃ賢そうなこと考えたくね?
それはおいといて、まじでどこだここ。
薄暗いし、なんかかび臭いし、明らかに古そうだし…。
てか、人いなさすぎじゃね?
ここはなんなんだ。
とりあえず直感に従って突き進んでいるが一向に明るくならない。
「やっべー。」
チャイムが鳴って一限目が始まったことを合図する。
転校して早々授業さぼるとかやばすぎだろ。
あ、でも奏斗が説明してくれっかなぁ。
ふと音が聞こえて振り返る。
なんとなく聞いたことがある優しい音。
「なんか、鳥の鳴き声みてぇ。」
高くて細くてよく通る音。
その音がするほうへ進む。
大きな扉があってそれを開く。
途端に光が入りまぶしくて目を細める。
逆光でよく見えないが背の高い男がいた。
「お前、きれーな優しい音してんな‼」
「…え?」
「あ、お前がというか、お前の出した音というか…。」
背の高い男が小さく笑った声がする。
思ったよりも高い声もやっぱり聞き覚えがあって。
「なぁ、お前なんて名前?」
そういうと背の高い男は言った。
「おれは、…美園。美園聡。」
「え?」
カーテンが風になびき、美園の顔が見える。
気ごちなく笑ったその彼はせらおの顔をしていた。
「セラ…」
「君の名前は?」
「あ、俺は渡会雲雀。よろしくな‼‼」
ここでの彼はセラフ・ダズルガーデンではなく美園聡なのだ。
間違ってせらおって呼ばないように気をつけなきゃな。
「よろしく。…で、なんで雲雀はここに?」
「え?」
「え?」
出会ってすぐなのに俺のことを雲雀と呼ぶ彼は本来の世界ならいなかった。
そんなことを考え一瞬思考が停止する。
「あ、えと、その…。」
「もしかして、迷った?」
「あ、うん‼たぶんそう‼‼」
「たぶんって」
そう言って優しく笑う顔を見たのは彼と出会ってどれくらいの時だっただろうか。
この世界はやっぱり偽物だ。
「おいで。」
「え?」
「教室まで連れてくよ。」
「ありがと。」
そう言って差し出された手を取りせらお、いや美園についていく。
ここまでくると怖い。
『あーめんご。セラフさんは好感度上げるのが大変すぎるため、しょっぱなから高くしてあります。』
こんなせらお見たくなかったよぉ。
『頑張ってください。』
冷たくね?
『ははは。』
「ねぇ、」
「ふぇ?」
いきなり声をかけられへんな声が出た。
「ふふ。かわい。」
「え??」
「あ、ひばりはさ、どこのクラス?」
「1の2」
「へぇ。俺と隣のクラスか。」
「え、何組?」
「3。」
「まじか。てか、授業始まっとるけどなんで美園はあそこにいたん?」
「それは…。」
美園が目を逸らして言いよどむ。
「あ、言いたくないんやったら全然言わんくてええんやけど。」
「ありがと。雲雀はやさしいね。」
「そうかぁ?」
「うん。…俺を怖がらなかったし。」
「なんか言ったか?」
「なんでもないよ。ほら、そろそろつくよ。」
「ほんまや‼‼」
顔を上げると見覚えのある教室が目の前にあった。
「ありがとな!‼せら、じゃなかった。美園‼‼」
「?せら?」
「あ、いや。」
「やっぱり雲雀は可愛いね。またね。」
「おう!」
美園と別れて教室に入る。
めちゃくちゃ心配されて怒られたのは言うまでもない。
―――――――
美園聡 好感度34%
ヴァイオリンがめちゃうまい。
ヤンデレかもね。
これで君のグループの人と出会えたけど、まだまだいるから頑張ってね。
コメント
1件
このシリーズ好きです!続き楽しみです🙇