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「この部屋だ」
龍聖君は、私達を最上階のスイートルームに案内してくれた。
ロビーと同じく、1歩足を踏み入れた途端、見たこともないような世界が目の前にパァーっと広がった。
部屋全体がまるで絵画のようで、その美しさに思わずため息が漏れた。
150㎡もある部屋には、ソファや家具がゆったりと配置され、かなり贅沢に空間が使われている。世界中のVIPをお迎えするための超豪華な調度品やアンティークの数々。何かあっては大変だからと触れることがためらわれた。
部屋中がほんのりと優しい香りに包まれて、まるでフランスの貴族にでもなったような気持ちにさせてくれる。
立派なリビングとは別に、仕切られた向こう側にベッドルームがある。大きくフカフカな感じがたまらなくて、ついベッドに飛び込みたくなる。
まさにここは、日常の喧騒から離れ、非日常を味わえる大人の贅沢で自由な場所だった。
「龍聖君。こんな豪華な部屋、本当にいいの? 何だか申し訳ないよ」
「気にしなくていい。自由に過ごして」
「さすがだな。鳳条グループの御曹司はこんな立派な部屋に無料で招待してくれるんだから」
碧が嬉しそうに言った。
龍聖君と碧が横に並ぶと、この部屋の雰囲気も手伝って、オシャレな雑誌の1ページを見てるような気分になる。何ページも何ページも、どんどんめくりたくなるような……
「久しぶりだからな。今日はみんなで話したいんだ」
龍聖君の言葉の後、タイミング良くたくさんの料理が運ばれてきた。
「うわぁ、美味しそう~。お腹空いちゃった」
そう可愛く言ったのは、高校時代のバスケ部のマネージャー。
水原 絵麻(みずはら えま)、26歳、158cm。
ブラウン系のナチュラルボブが良く似合ってて、グロスのツヤ感が良い感じのぷっくりした唇と、パッチリ二重の大きな目がとてもキュートな女性だ。