テラーノベル
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タオルで手を拭きながら、咲もリビングに戻った。
ソファでは亮と悠真が肩を並べ、缶を片手に談笑している。
「だからさ、あの教授ほんっとクセ強くて!」
亮が身振り手振りで話すと、悠真は腹を抱えて笑った。
「わかるわかる。あの人の講義、俺も一回寝そうになった」
二人の笑い声が重なって、部屋はすっかり男子大学生の空気になっていた。
咲はそっとテーブルにお茶を置き、自分の席に腰かける。
――楽しそう。
でも、自分だけが輪の外にいるみたい。
「咲もなんか話せよ!」
亮に振られても、うまく言葉が出てこない。
結局「……ううん、聞いてるだけで楽しいから」と笑ってみせた。
けれど胸の奥は、置いてけぼりの寂しさでいっぱいだった。
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