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#青春恋愛
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夏希(なつき)
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奇蹟あい
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もうっ……この第37話、めちゃくちゃ胸が熱くなりました。玲と星羅の甘いやり取りにほっこりしていたら、七年前の写真がバーン! しかも「迷子の女の子を助けた少年」って…まさか運命の再会だったんですね。二人とも覚えていなかったって切ないけど、そこに導かれた今が尊すぎます。でも最後の「全部、私のものにしたい」の星羅の独占欲、愛ゆえにこわくて美しい。神秘の人物も気になるし、次が待ち遠しいです!
翌朝。
玲は。
ほとんど眠れなかった。
机の上には。
一枚の写真。
そして。
昨日届いたメッセージ。
『君たち二人の出会いは、あの日から始まったんじゃない』
「……」
玲は写真を見つめる。
裏には。
自分で書いた文字。
『2025年8月――』
その下に。
『今日、セラに会った』
そして。
『本当は、もう一つ目的があった』
「……」
そこから先。
書かれている文字を。
玲は何度も読み返す。
『あの日、会場で拾ったもの』
『絶対に本人へ返す』
さらに。
『でも、今はまだ返せない』
玲は目を閉じる。
「……あの時は」
怖かった。
返すべきだった。
なのに。
できなかった。
その理由は――。
「……」
教室。
「玲くん」
「……ん?」
星羅が隣に立っていた。
「大丈夫?」
「ああ」
「昨日、あまり寝てないでしょ」
「……分かる?」
「分かるよ」
星羅は心配そうに玲を見る。
「目が少し赤い」
「大したことない」
「……」
星羅は玲の顔をじっと見る。
「本当に?」
「ああ」
「……ならいいけど」
星羅は玲の机に小さな袋を置いた。
「これ」
「?」
「朝、買ってきた」
中には。
小さなチョコレート。
「糖分」
「……ありがとう」
「ちゃんと食べてね?」
「ああ」
星羅は嬉しそうに笑う。
「……彼女っぽい?」
「十分」
「……!」
星羅の顔が赤くなる。
「そ、そういうこと急に言わないでよ……」
「本当のことだろ」
「……もう」
星羅は顔を隠す。
その様子を見て。
玲も少し笑った。
――今だけは。
昨日のことを忘れられる。
昼休み。
二人は屋上にいた。
「ねえ」
「ん?」
「昨日の電話」
「ああ」
「玲くん、最後に何か言いかけてたよね」
「……」
玲は空を見る。
「聞こえた?」
「うん」
「……」
「何だったの?」
玲は少し迷う。
そして。
「一年前のイベントで」
「うん」
「俺、何かを拾ったんだ」
「……何を?」
「まだ分からない」
「分からない?」
「ああ」
玲はポケットから。
一枚の小さな紙を取り出す。
「これ」
「……?」
星羅が受け取る。
そこには。
古い文字。
『あなたが誰かを救ったように』
『いつか、あなたも救われますように』
「……」
星羅の目が見開かれる。
「これ……」
「イベント会場の近くで拾った」
「……」
「誰かが落としたらしい」
「誰の?」
「分からない」
星羅は紙を見つめる。
なぜか。
胸がざわつく。
「……この字」
「?」
「見覚えがある」
「本当か?」
「うん」
星羅は記憶を探る。
「でも……」
思い出せない。
そのとき。
「星羅」
「?」
「無理に思い出さなくていい」
「……」
「嫌なことなら」
玲は紙を取り戻す。
「忘れていい」
星羅は玲を見る。
「……玲くん」
「ん?」
「やっぱり優しいね」
「普通だろ」
「普通じゃないよ」
星羅は笑う。
「だから好き」
「……」
「大好き」
玲は少し照れながら。
「俺も」
「……!」
星羅は嬉しそうに玲の肩へ寄りかかる。
「もうちょっと、このままでいていい?」
「ああ」
「……幸せ」
静かな屋上。
二人だけの時間。
しかし。
その頃。
校舎の中では。
「……」
一人の男子生徒が。
古い資料を見ていた。
そこには。
一年前のイベントの記録。
さらに。
それより前の記録。
「……やっぱり」
男子生徒は一枚の写真を取り出す。
そこには。
幼い頃の星羅。
そして。
その少し離れた場所に。
玲の姿。
「これで間違いない」
写真の日付。
――2018年。
「七年前か」
男子生徒は呟く。
「二人はもう会っていた」
写真を裏返す。
そこには。
短い文章。
『迷子になった女の子を助けた少年』
『女の子は名前を言わなかった』
『少年も名前を名乗らなかった』
「……」
男子生徒は笑う。
「本人たちは覚えてない」
そして。
「だからこそ」
写真をしまう。
「面白い」
放課後。
玲と星羅は一緒に帰っていた。
「今日、寄り道する?」
「どこに?」
「駅前のカフェ」
「いいな」
「やった」
二人で歩く。
星羅は。
玲の腕に自分の腕を絡める。
「……近くないか?」
「恋人だからいいの」
「そうか」
「うん」
しばらく歩く。
「ねえ、玲くん」
「ん?」
「ずっと一緒にいようね」
「……ああ」
「約束」
「約束」
星羅は微笑む。
その瞬間。
前から。
一人の少女が走ってきた。
「……!」
玲の前で。
足を止める。
「あ……」
玲も止まる。
「……?」
少女は玲を見る。
そして。
星羅を見る。
「……やっぱり」
「?」
少女の顔が。
少し青ざめる。
「黒瀬くん……」
「俺?」
「……ううん」
少女は首を振る。
「ごめんなさい」
そのまま。
走り去っていく。
「……何だったんだ?」
玲が振り返る。
星羅は。
その少女の背中を見つめていた。
「……玲くん」
「ん?」
「今の子」
「?」
「何か知ってるかも」
「……そうだな」
星羅は玲の腕を強く抱く。
「でも」
「?」
「今は」
玲を見上げる。
「私の隣にいて」
「……ああ」
「それだけでいい」
玲は。
星羅の手を握った。
その夜。
星羅は自室で。
古いアルバムを開いていた。
家族写真。
幼い頃の自分。
そして。
「……」
一枚の写真。
幼い星羅が。
誰かに手を引かれている。
「……この男の子」
顔は。
はっきり写っていない。
でも。
服装。
髪型。
そして。
その手。
「……」
星羅は息を呑む。
「玲……くん?」
写真の裏。
古い文字。
『迷子になった女の子を助けてくれた男の子へ』
『ありがとう』
星羅の手が震える。
「……嘘」
涙が。
一粒落ちる。
「私たち……」
写真を胸に抱く。
「七年前から……?」
その瞬間。
スマホが震える。
知らない番号。
『思い出した?』
「……!」
『そう』
『やっと、二人の最初の記憶に辿り着いたね』
星羅は震える指で返信する。
『あなたは誰?』
既読。
しばらくして。
『君たちが思っているより』
『私はずっと前から二人を知っている』
そして。
最後の一文。
『次は、玲くん本人に聞いてみるといい』
『――七年前の夏の日を』
「……」
星羅は写真を握りしめる。
「玲くん……」
嬉しい。
運命だと思う。
けれど。
同時に。
胸の奥に。
少しだけ不安が生まれていた。
「……私の知らない玲くん」
星羅は写真を見る。
「まだ、いるんだね」
その瞳には。
好奇心と。
愛情と。
そして。
強い独占欲が混ざっていた。
「全部知りたい」
静かな声。
「玲くんのこと」
「生まれた時から……今まで」
星羅は微笑む。
「全部、私のものにしたいから」