「……………ぅ」
頭が…痛い
?暖かい…
その暖かさを不思議に思って、俺は起きる。
片目に違和感があって、手を伸ばすとそれは包帯だった。
「あ…!起きた?」
狼の耳に尻尾を生やした少女が、俺の側に駆け寄ってくる。
「良かったあ…あなた外で倒れてたんだよ。」
「………そっか…」
「えっと…わ、私の名前は相都六花!おどろくって呼んで!」
「…あ、俺の名前は凸森悠…凸さんって呼んで」
「凸さんかあ、よろしくね!」
おどろくさんは「お腹空いてるでしょ?すぐに用意するね!」とキッチンの方に走っていった。
俺は寝転がって待つ。
おどろくさんが料理してる途中、「食料分けてもらえてよかった…」と呟くのが聞こえた。
少女が一人で住むなんて、相当生活が苦しいんだと思う。
すくなくともおどろくさんの目は純粋だった。
…俺のこの感情がバレませんよーに
「…そういえば、なんで凸さんはあんなところで倒れてたの?」
スープを飲む俺に、おどろくさんが聞いてくる。
「…あんま覚えてない、どこにいたのかも、どうしてあそこにいたのかも…」
「記憶喪失かあ…」
おどろくさんがうーんと唸る。
「…じゃあ私が凸さんの記憶を戻す手助けをする!」
急にそう言われて、俺は呆然とする。
「え、でもそんな…悪いし」
「私は困ってる人がいるなら助けたい!」
「………!」
その真っ直ぐな眼差しに、俺は胸が苦しくなった。
優しくされたことなんて、今までなかった…
…でも、これ…俺騙してない…?
隠し事なんてあんま得意じゃない。
けど彼女の前に、俺は断ることができなかった。
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