テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
〇〇「あ、りが・・・とう・・・・・・」
紙袋を受け取って喉の奥から絞り出した声は、蚊が鳴くほどに小さく空に消える。
そんな表情、ずるいじゃないか。
アラスター「おや、随分と顔が赤くなっていますが」
〇〇「は、はぁっ!?そんなことないよ!」
至近距離で火照った顔を覗き込まれ、慌てて顔を背ける。
アラスター「礼の品だと言ったはずです。一体何を想像しているのですか?」
〇〇「べ、別に何も!!・・・っもう!!早く帰ろ!」
顔に集中する熱をごまかすように、早足に店先を離れる。
まだからかうように声を掛けてくるアラスターを振り返ることなく、そそくさと歩を進めた。
それでも無意識に、紙袋を抱く腕に力が入る。
顔を火照らせる熱は、なかなか冷めてはくれない。
〇〇(あ、アラスターが急にあんなに顔近づけるから・・・!)
ただ驚いただけだ。そうに決まってる。
それなのに、さっきの優しい眼差しが頭から離れない。
ラジオデーモンと畏怖される彼とは程遠い、紳士的で、優しくて――――
アラスター「―――〇〇!!」
〇〇「もう、なに・・・・・・きゃっ!?」
後ろから強い衝撃を感じ、たまらずに地面に倒れ込んだ。
ほぼ同時に響いた大きな爆発音と、土煙が辺りに立ちこめる。
〇〇「けほっ、けほっ・・・な、なに・・・!?」
〇〇「・・・・・・?アラスター・・・・・・?」
地面についた私の手に重なる、少し大きな手。
それはもう見慣れたアラスターの手で、
私は一拍置いてようやく、アラスターに後ろから覆い被さられているという現状を理解した。
〇〇「―――ッッ・・・!!」
身体が、一気に硬直する。
血の気が引いていき、心が底から震えるような感覚と共に全身が総毛立つ。
何が起こっているの?さっきの音とこの土煙は?
アラスターの声が聞こえる。けれど・・・一体、なんて言っているの?
考える事は山ほどあるはずなのに、凍り付いたように思考が働かない。
〇〇「は、ッ・・・・・・はぁッ・・・!」
ひゅう、と喉が細く鳴り、息が上手く吸えずに全身がガタガタと震え出す。
“怖い” ただその感情に塗りつぶされ、視界が霞んでいく。
??『”もう・・・して・・・・・・”』
??『”許して・・・!もう、いや・・・・・・!”』
この声は、何?
酷く泣いて、叫んで
??『”やめて・・・・・・!やめ、・・・さい・・・・・・!!”』
大きな手に押さえつけられて、ぼろぼろな顔で泣きはらして
・・・・・・あれは、―――私・・・?
〇〇「ゆ、・・・ださ・・・・・・ィン・・・ト・・・!」
覚えもないうわごとが口の端から零れる。
見開かれたまま地面を見つめる瞳から、一粒の涙が零れ落ちた。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!