テラーノベル
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練習が終わったあと、誰もいない控室に吉田仁人が一人残っていた。
ストレッチをしながら、ゆっくりと首を回す。 その後ろ姿を、ドアの隙間から四人の視線が静かに、しかし飢えたように見つめていた。
「……また遅くまでやってる」
低く呟いたのは、超特急のカイだった。
十年以上前から、ずっとこの背中を見てきた男だ。仁人がまだ少年だった頃から、変わらずその光を追い続けている。
隣で佐野勇斗が息を吐く。
「お前、分かっててやってるだろ。俺たちを焦らすために」
古川毅が無言で拳を握りしめた。
高校の同級生。誰よりも長く、仁人の隣にいたはずの男。
「最近、仁人のスケジュールが俺と合わなくなってる。偶然か?」
一番後ろで、芳賀柊斗が小さく唇を噛んだ。
慕ってくれている後輩。
いつも笑顔で「仁人さん!」と呼ぶ彼の目が、今夜は鋭く揺れている。
「……先輩が、誰かとばかり一緒にいるのが、嫌です」
仁人が振り返った。
四人の存在に気づいて、少しだけ目を見開く。
「……なにこれ。四人揃ってどうしたの」
カイが一歩前に出る。
「通告しにきた」
「通告?」
「お前を、誰か一人が独占する」
カイの声は静かで、しかし容赦がない。
「もう我慢できない。十年以上、見てきた。次は、俺のものにする」
佐野が隣に並ぶ。
「俺もだ。同じグループにいるのに、お前が他の奴に取られるのを黙って見てるのは限界だ」
古川が短く続ける。
「高校の頃から、俺が一番近くにいたはずだ。なのに、今さら他の奴に渡すつもりないから」
芳賀が、震える声で言った。
「仁人さん……僕は、ずっと仁人さんのことが好きです。仁人さんが笑ってくれるだけで、ずっとついてきました。でも、もう足りないんです」
仁人は、しばらく黙って四人の顔を見回した。
それから、ふっと笑った。
いつもの「きらめきイエロー」の笑顔に、ほんの少し残酷さが混じっている。
「本気で言ってるんだよね?みんな」
仁人は少しだけ悪戯っぽく目を細めた。
「だったら、俺はまだ誰も選ばない。選ぶまで、本気で奪い合ってよ」
カイの目が鋭く光る。
「……本気で言ったな」
「本気ですよ」
仁人は声を落とした。
「俺も……みんなのことが、嫌いじゃないから」
それから数週間。
仁人の周りは、静かで、しかし激しい争奪の場になった。
next.
みぃ⌒🍣
うらうら@低浮上☆
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#Country Humans
響音帝国
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コメント
1件
第1話、読み終えました。いきなり4人からの「独占宣言」、カイさんの「十年以上見てきた」という重み、芳賀くんの震える声——もう冒頭から緊張感がすごい。仁人さんの「まだ選ばない」という返しに、彼が単なる可愛い存在じゃないことが一瞬で伝わってきて、逆にゾクっとしました。この後どうなるのか、気になって仕方ないです…!