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瑠奈(るな)
3,552
第36話「UPLOAD COMPLETE」
地下施設。
古い研究室。
冷たい蛍光灯の光。
白衣の男――研究責任者は静かに立っていた。
駆人の拳は震えている。
駆人「……あんたが」
声が低い。
「兄ちゃんを殺したのか」
男は落ち着いた様子で答える。
「そうだが。何かね?」
その言葉はあまりにも軽かった。
莉々が言う
「罪悪感は無いのか!それに、どうして、」
研究者は机の上のファイルを手に取る。
「君たちは誤解しているのさ」
男(知り合い)が怒る。
「人を実験材料にしておいて!
何が誤解だ!」
研究者は静かに首を振った。
「違う」
そして言う。
「世界を変える研究だったのさ」
駆人が睨む。
「ふざけるな」
研究者は続ける。
「人間の記憶」
「それはすべてを決める」
「人格」
「恐怖」
「罪悪感」
部屋の空気が重くなる。
研究者の声は淡々としている。
「もし記憶を書き換えられたら」
「戦争の兵士は恐怖を感じない」
「犯罪者は罪を忘れる」
「トラウマも消せる」
莉々が低く言う。
「……だから子供を使ったの、」
研究者は頷く。
「子供の脳は柔軟だ」
「成功率が高いんだ」
駆人の拳がさらに強く握られる。
「兄ちゃんは、」
研究者は少し笑う。
「気付いてしまったんだね」
「この研究は」
少し間。
「人を支配できるっていうことを、」
部屋が静まり返る。
男が言う。
「……支配?」
研究者は頷く。
「記憶を書き換えれば」
「思想も書き換えられる」
「国家も」
「軍も」
「警察も」
駆人の背筋が冷える。
研究者は静かに言った。
「だからスポンサーがいる」
莉々が小さく言う。
「政府?もしくは、」
研究者は笑いながら言った
「それ以上」
「世界中さ」
駆人の頭が混乱する。
研究者は続ける。
「君の兄はこれを外に出そうとした」
駆人の胸が痛む。
「だから殺したのか」
研究者は頷く。
「研究のためだ仕方がない」
静かな沈黙。
駆人の呼吸が荒くなる。
研究者は机の上の装置を指した。
小さな機械。
メモリカードの差し込み口。
「そのカード」
「君の兄が盗んだデータ」
駆人はポケットのカードを握る。
研究者が言う。
「渡せば」
「君たちは帰れる」
莉々がすぐ言う。
「嘘でしょう?」
研究者は少し笑う。
「そう思うか?」
No.05が前に出る。
「あなたは私たちを消す」
研究者は否定しない。
沈黙。
つまり――
逃げる道はない。
駆人がゆっくり言う。
「兄ちゃんは」
研究者を見る。
「最後まで戦ったのか」
研究者は少し考えた。
そして言った。
「そうだ」
「勇敢だったぞ」
その言葉。
駆人の中で何かが切れた。
駆人は机の上の装置を見る。
兄の残したデータ。
研究の証拠。
駆人は言う。
「……莉々」
莉々が見る。
「何」
駆人の目は静かだった。
「これ」
メモリカードを持ち上げる。
「全部公開する」
研究者の表情が初めて変わる。
駆人は装置にカードを差し込む。
画面が点く。
データ転送。
研究者が叫ぶ。
「やめろ!」
No.05が言う。
「データ送信」
莉々が画面を見る。
送信先。
インターネット公開サーバー
研究者の顔が青くなる。
「止めろ!」
駆人は静かに言った。
「兄ちゃんの代わりだ」
研究者が駆け寄る。
だが遅い。
画面に表示される。
「UPLOAD COMPLETE」
アップロード完了
世界中に。
研究データが公開された。
研究者は立ち尽くす。
駆人はゆっくり言う。
「
お前はもう終わりだ」
地下施設に警報が響き渡る
最近投稿できてなくてごめんなさい!
コメント
2件

おぉ!最終回が近くなってきましたね!