A「赤い女って知ってる?」
B「え〜知らなーい?怖そぉ〜」
俺が帰りの電車でぼーっとしてると、何やら騒がしい女子高生の話が耳に入った。
A「赤い女ってね、都会に現れるんだって!」
都会って言ったって、都会の基準が分からないだろう。ここ、川上市は都会だ。
B「え〜っ、ここ都会じゃ〜んこわぁい!」
A「B子ったら、まだ赤い女について喋ってないのにびびっちゃって!ぶりっ子め〜」
前置きが長い。俺が降りる川村駅に着く前に早くその『赤い女』について話し終えて欲しい。
A「赤い女はね、見た目が赤い訳じゃないんだって〜」
…そうなのか。
A「赤い女に見られてる時は、決して喋っちゃいけないんだって〜」
いつ見られてるか分からない時は終わったな…
B「へぇ〜!怖すぎ!」
A「でしょでしょ!」
確かに怖いかもしれない。
B「で、喋ったらどうなるの?」
A「知らなぁ〜いっ」
………
A「え、何あれ、怖」
B「え?どれ?」
女子高生がこそこそ話し始めた。もしかして…この電車の中に…赤い女が?!
A「ほら、向かいに座ってるリーマン…めっちゃうちらのことガン見してね?」
B「うわ…ほんとじゃん…キモ」
向かいに座ってるリーマン…?って…俺のことじゃないか?
あ、きっと女子高生の話を聞いてるうちに自然と…ガン見…してしまっていたのだろうか。
俺は早急に女子高生の背後の窓を見てるふりをした。
A「視線逸らしてて草w」
B「絶対うちらのこと見てたわwwww」
俺は女子高生が、女子高生の話を聞いてた周りの人の視線が痛くて、降りる予定だった川村駅より2駅前の山村駅で降りた。
何となく、都会にしては静かな街だ。
殺風景な街を見るよりは、と思い、スマホを起動した。何をしようと思ったわけでもないが、何となく、『赤い女』について調べてみた。
…が、何も検索でヒットしない。
俺は謎の好奇心に駆られ、yahou知恵袋で質問を投稿してみた。
『赤い女について知ってる方がいたら赤い女がどんなものなのか、詳しく教えて欲しいです。』
こんなので回答する人はいないだろう。そもそも赤い女なんて、あの女子高生の考えた嘘話かもしれない。恥ずかしくなってきた。
ピロン
あれ?回答が…来た!!
好奇心が蘇った。
どれどれ…
『赤い女
見た目は赤くない
赤い女に見られてる時は決して喋ってはいけない。
もし喋ったら、なんて分かりませんね。実体験ないんだと思います』
期待してたものとは違った。
まぁ、いい。きっとこんなもの都市伝説か何か。出会うはずがないんだから、知ったって得はないんだ。言い聞かせた。
出会うはずがない…出会うはずがない出会うはずがない出会うはずがない出会うはずがない。
いつもより2駅も前で降りたんだ。家まではいつもの倍以上ある。
静かだ。暗いな。寒い。
あんな話を聞いた後だと、背後が気になる。
誰かに見られてるんじゃないか、人混みに入ったら、赤い女が混ざってるんじゃないか、そんな不吉な想像ばかり膨らむ。
この路地には誰もいなかった。はずなのに
女性が1人いる。
鼓動が早くなる。
違う。きっとあの人はただの通行人だ。だって、だって、だって、ここは都会じゃないだろ?それにあの人も、女性かどうかも分からないのに。俺は、俺は、は…走る?
でも、特に何もされてないし。
街頭4つ先の距離。シルエットだけ見える人。荷物は何も持っていない。不気味な長髪。ゆっっっくり近づいてくる。鼓動が早くなるのを感じる。思い込みかもしれないが、女性の目は、しっかり俺を捉えてる気がする。自然と、口をきつく結ぶ。
(走れ)
本能がそう言った。
走った。ひたすら走った。呻きそうになるのを耐えた。怖い怖い怖い怖い怖い。
気づくと、いつも降りる川村駅の近くだった。
すかさず俺は後ろを振り返った。
いない。良かった…
俺は浅い呼吸を繰り返しながら少しでも明るい方へと向かった。
「お兄さん、大丈夫ですか?」
不意に声をかけられて驚いた。
つい、返答をしそうになったが、抑えて、無視して俺はその場を去った。
家の前まで着いた。いつになったら喋っても良いのだろうか?もう赤い女と思われるやつからは逃げたから、喋ってもいいのか?と、思って、一応辺りを確認した。ら、俺は泣きそうになった。いる。いる。ずっと向こうの木の間にいた。目は見えないが、きっと俺を見てる。
やはり、ゆっくりと、確実に近づいてきている。
家に、入れば解決するだろうか。
ガチャッ
俺は玄関にへたりこんだ。緊張感から解かれて、一気に力が抜けた。窓、カーテン、鍵の確認しとくか…
ピーンポーン
体が硬直した。帰ってきたばかりで蒸し暑いはずの家が、異常に寒かった。
どうすればいい。無理だ。無理だ。背後に、アレがいる。ドア1枚の距離。1mもないだろう。
(か…かぎ、しめなきゃ)
震える手で、玄関の鍵だけ閉めた。立ち上がれない。手が震えてるので閉めるのに時間がかかった。そうだ…yahou知恵袋の人に、たいしょほうとか…きいてみよう。
『赤い女にあったときのたいしょほうありますか』
文字すら上手く打てない。早く、早く頼む。早く。
ピーンポーン
またなった。うしろを振り向くと、ドアノブをガチャガチャやっていた。
(おれが何したって言うんだ)
怖い怖い。どうなるんだ?このまま朝を迎えるのだろうか。それとも朝なんて…来ない…?
ピロン
返答が来た。
『、「、、、ヲ、ィ、ェ 」ー」ア」イ」ウ
」皀筌� 」リ」ル」レ
竺軸宍雫七 而耳自蒔・ゥ
ハクサ嵂ス、ア・ム・ソ。シ・�
オ。ヌス。ヲクヲオ�
。チ。ス。ン。�。ュカ 』
文字化けしている!?
と…友達の佐藤に…助けを求めよう
『たすけて』
イタズラだとおもわれて終わりだろうか…けど、この絶望的な状況で唯一の希望…
ピロン
『ぉ�?��』
文字化けしている。けど、けど、俺から送ったメッセージは正常だから、きっと…届いてるはず。
『いたずらじゃないほんとたすけて玄関』
ピロン
『愍、��ゥ��』
伝わったかは分からないが、待つしかなガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャ
ガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャ
ドアノブが壊れるくらい、ガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャうるさいうるさいもうやめガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャ
ベタッ
不快な音とともに、玄関のドァのガラスに、赤い女ガ頬を?頬かどうかすら分からない部位を、べっとりとくっつけた。気持ち悪い。きっと俺を見てる見てる見てる見てる見てる見てる。
きつく目を瞑った。
目を開けると、不快な音はなく、居なくなった…?
安心するのも束の間、立ち上がろうと、前を向くと、いた。いたと言っても、廊下の窓に、張り付いていた。
はっきり目が合ってしまった。目なんてなかった。口みたいなやつがついてるだけだった。口みたいなやつは、黒い空間のようだった。髪は、髪だけが異常に綺麗にまとまっていて、気持ち悪さが際立っている。
玄関のガラスと違い、はっきりと見えた。見えてしまった。
吐きそう。
ピーンポーン。誰だ。佐藤か?それともアレか?分からない。下手したら、俺は…
佐藤にLINEを送ることにした。
『いまちゃいむさとう』
手の震えは悪化している。
『��』
読めるわけねぇだろ
『さとうなら、のっく』………
コンコン
佐藤だ!!!
鍵を開けた。
「高橋っ!!!大丈夫か!!」
はっと息を飲んだ。喋った…俺が、言わなかったから、言うのを忘れたから。こいつは、、
佐藤の後ろでアレが口がよく分からないものを動かしながら、気持ち悪い声をあげていた。
あれから、佐藤は、生きてはいる。
けど、何も出来ない。
ただ、「きははははははははははははははははははははは」
と、ずっと体のどこかから発している。ニュースでは、世間的には、佐藤は行方不明ということになっている。だから、ずっと俺の家に’置いといてる’
鬱になった俺は会社も行けていない。月4で精神病院に通う生活だ。
またあの赤い女に会うのが怖くて外にも行けない。しかも、玄関と廊下の窓に、あの女の影のようなものが着いてるから、玄関にも近寄れない。正直言って、佐藤だったコレとも一緒にいたくないから、実質、俺はリビングにも行けない。食料もあと1週間分もないだろう。
このまま、コレと一緒にここで餓死するのだろうか。
もう、どうなったっていい。そもそも俺の人生は、あの女のに出会ってしまった時点で終わっていたんだ。
もし、電車の中であの話を聞いていなければ、俺は、いつも通りの駅で降り、何事もなく…。
そして未だに俺は声を出せない。いつも誰かに見られている感覚がある。
「きははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは」
1階のリビングから聞こえてくる。ずっと。うるさい。怖い。?部屋から出る。お前の…?階段を降りる。お前のせい
リビングの戸を開けた。
(お前のせいだ)
こいつのせいだ。これのせいで俺の人生は狂ったんだ!!!そうだ!!そうだよ!
「あっははははは!」
気づけば、声を出して笑っていた。
何も起こらない。
俺はこんな簡単なことに気づかなかったのかぁ〜全く…
気分がいい。シャベルでも持ってお外に行こう!「ほら、佐藤お前も来いよ」
俺はコレを担いで人目のつかない裏山へと行った。
一通り作業を終えると、俺は大きく背伸びした。
久しぶりに体を動かしたから、あちこち痛い。額から汗が流れる。爽やかな気持ちだ!こんな気持ち初めてだ!
ふと、視線を感じて振り返ると、なんか、あの女がいた。思わず笑いそうになった。
(次は、誰に犠牲になってもらおうかなぁ)
俺はシャベルだけ持ち帰りながら考えた。
読んだくださりありがとうございました!
初めて書きました。途中からグダグダになってしまいまして申し訳ないです。あるホラーノベル実況に影響を受け、勢いで作ってしまいました。ほんわかした小説とか…書きたいです。
本当にこんな作品を読んで下さりありがとうございました!!またお会いしましょう