俺は気づいていた。三郎が帰ってこない、つまり彼はもう……。_彼は任務に出る前に言った。
三郎「私が死んだら、私の面だけでも回収してくれ。今付けている面は、他のとは違う。とても大切な物なんだ。」
彼が言ったように、確かにその面は今までよりも繊細に、本人により近く…いや、全くそっくりに作られていた。
勘右衛門「…分かった。だけど、死ぬ前提で言うな。絶対に生きて帰るんだ。」
彼は頷き、任務へ行った。
_やはり、帰ってこなかった。俺は、言われた通りに彼を探しに出た。朝も昼も夜も関係なく、あても無い道を走り歩き、彼を探した。
勘右衛門「やっと見つけた。」
彼は眠るように木に寄りかかって息を引き取っていた。
彼の言った通りに、面を慎重に外して綺麗な布に包み、懐にしまう。
勘右衛門「お前の素顔、一度は見てみたかったよ。」
彼をそのまま置いてはいけないと思い、土に埋めてあげた。最期まで彼の顔を見ることはできなかった。
なんでかは分からない。でも、きっと…見ない方が彼にとっても俺にとっても良いと思ったからだ。
_さて、学園に戻って”三郎”に渡すものを渡さないとな。
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