「あれから何度も君の夢をみた」
『朱雀』
君が僕に微笑む都合のいい夢。そんなことはもう叶わないのに、これから先も僕の世界には君はいない。
『隊長さん!』
千年経ってようやく存在も薄れたかと思えば晴明の生まれ変わりだという子が現れた。
でも、その子と晴明はまるで正反対。月のように微笑む艶かしい彼と太陽のように笑う純粋なあの子
意図的に重ねていた訳じゃない、けど晴明くんに晴明の面影を感じるとき腹の底から不快感が溢れる。
生まれ変わり?巫山戯るな、彼の代わりなんて居ない、瓜二つの顔でそんな風に笑わないでほしい。
僕の中の晴明くんが消えるような気がして辛いから…
「蘭丸さん、今夜飲みに行きませんか?」
「え!あっちゃんの奢り!?珍しっ!」
「誰が奢りって…!、いや、はあ、奢りですよ 」
「あっちゃん太っ腹ぁ♪」
いつも通り、あっちゃん…元い蘆屋殿の冷蔵庫から頂戴したビールの缶を開けようとしていたら、足蹴りされるどころか奢り(強制)の飲みに誘われた。
珍しいけどいっか♪こーゆー時大体なんかの手伝いさせられるけど、
「…え、」
「んぇ?あいちょーさん?」
「とゆう事で晴明くんの介護よろしくお願いしますね?」
「?!ちょっ!あっちゃん??」
妖術で連れてこられた居酒屋には酔いつぶれた晴明くんがいた。
「?、どおかひましたかぁ?」
だいぶ飲んでいるようで、酒に強い晴明が机に突っ伏し呂律の回らない舌でなんかの呪言を唱えている
結構なホラーだ
「晴明くん?大丈夫そ?」
苦笑いのまま晴明くんの安否を確認しようした
「んへへ、♪ 」
すると、晴明くんが赤い顔のまま背中をさすっていた僕の手に抱きついて可愛いく微笑んだ
「…ッ」
〔朱雀?〕
「ッ晴明くん、!!」
「…んぅ……….」スースー、
「寝た…の?」
危なかった
赤らみのかかった晴明くんの笑顔が、ふいに晴明くんに見えて、頭の中が晴明の声と存在で飽和されていく感覚。
それに、どうしても耐えきれない不快感が湧く。
晴明くんを晴明に重ねている自分に
晴明の記憶を引っ括めて塗り替えていく晴明くんに
どうせ僕の前から消えるなら二度と現れないで欲しかった。いや、いっそあの時彼の手を掴み運命から逃げてしまえば良かった。
考えても生まれてしまった彼の存在を否定する感情論ばかり
嗚呼、ほんともう
「君は、どうして晴明くんじゃないんだろ」
「…!しまっ、!」
「スー、スー、」
良かった
隣の本人は健康的な寝息をかいて穏やかに目を閉じていた。
あんなの晴明くんに聞かれたら僕は本当のクズ男だ
モゾッ
「ほんと、クズすぎますよ…」
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