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そんなことがあった翌日だ
貴族がやってきてこう言った
「専属のピアニストにならないか」と、
「考えておきます」
僕は断るつもりだったんだ。でも、旧友の顔が思い浮かぶ
彼は専属の科学者になったんだ。あれから連絡は少ししか取ってない
もしも…専属のピアニストになれば彼に会えるだろうか。という希望があった
最後の一押しになったのは弟子の言葉だった
「専属のピアニストになれば、普段の人じゃわからないことだってわかるかも知れないし、いいと思います」
そうか、つまりこれは、この楽園の闇を知るチャンスだ
「そうだね、君の言うとおりだ。でも、君はいいのか?僕と別れてしまって独立することに…」
少し間をおいて、弟子は言った
「いいんです。貴方は偉大な人で、こんな僅かな時間でも色々教えて頂いたこと自体が奇跡でしたから」
そして僕は、貴族のもとで使える決意をした。そこで、道ゆく貴族にこんな事を何度も聞かれた
「また貴族に戻る気はないのか」
僕はその質問に少し呆れた。でも持ち前の話術で上手くかわして見せた
僕が専属のピアニストになった時から、僕は天才として崇められ始めた
それゆえに、通りすがりに皮肉を言われることも増えた
「お前は才能があっていいな。不公平だ」
少し心に堪えるが、どうせ慣れるだろう。そしていつになれば旧友に会えるだろうか