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ジョンさん達が用意してくれたお土産の中からトランクに詰め込めるだけの量を詰め込んだ私は、一旦プラネット号まで戻ることにした。軌道上のプラネット号まではギャラクシー号を使わないといけないから、ちょっと面倒ではあるけどね。

転送ポート、小型のゲートみたいなものがあるから是非とも欲しいところ。局長におねだりしてみようかな?成果はあるんだし、ダメかな?

選んだお土産の九割は食べ物にした。缶詰めやレトルト、冷凍食品。それと野菜やお肉を少し。調味料も分けて貰った。

個人的には日本食を再現したいからお米やら味噌なんかも欲しかったけど、無かったから諦めた。わざわざ手配してくれたんだから、文句は言えない。アメリカを中心とした肉料理が主体になりそう。

ただ、レトルトは食べてみたけど美味しかった。私が生きていた頃に比べて格段に味が良くなってる。

『興味深いデータを収集できました』

「うん?アリア、どうしたの?」

『お気になさらず』

「そう?」

ギャラクシー号の機内で考え事をしていると、アリアが呟いた。何でもないみたいだし、気にしないでおこう。

今日一番嬉しかったのは、日本人である朝霧さんに会えたことかな。外務省の人だって言ってたし、次に来た時も居るなら日本へ行く理由が作れるかもしれない。

アメリカばっかりじゃ不公平になるし、色んな場所を見てみたいって個人的な思いもある。もちろん地球の皆さんの許可を貰えれば、だけどね。

朝霧さんはちょっと疲れてるみたいだったから、栄養ドリンクを……。

「ああっ!?」

『どうしました?ティナ』

「どうしよう、栄養ドリンク渡しちゃったぁ……」

ジョンさんで反省したのに、また同じ過ちを犯してしまった。

『興味深いデータを収集できました』

「えっ!?アリア!さっきの呟きってその事!?」

『はい、ティナ。地球人へ与える影響を調査するために、サンプルも多いほうが良いのです。ご安心を、朝霧氏のバイタルに異常は見られませんから』

「それでも謝らないと!はぁ、失敗ばかりだなぁ」

プラネット号に戻った私は荷物を置いて出迎えてくれたフェルに抱き付いた。

「ティナ?」

「フェル~……また失敗しちゃった……」

「ふふっ、よしよし。ティナは何事にも一生懸命ですからね、失敗しちゃうこともありますよ」

あー……フェルに抱きしめられて頭なでなでされるのヤバい……ふんわりしていい匂いだし、このまま眠りたくなっちゃう……幸せ。

しばらくフェルの包容となでなでを堪能した私。これはダメだ。人をダメにしてしまうタイプだ。

つまりフェルは魔性の女!?

『不吉なことを考えないでください』

「さらっと読心するの止めよっか、アリア」

アリアにはたまぁに見透かされてるような気がしないでもない。フェルが不思議そうに首を傾げてたから、笑って誤魔化しておいた。

「今日帰るんですよね?それじゃあ、大統領さんにちゃんとごめんなさいしないとダメですよ?昨日は遅刻しちゃったんでしょう?そのまま誤魔化しちゃダメです」

「あいあい、ママ」

「もう、誰がママですか」

いやもうフェルは母性の塊なんだよねぇ。今も膨れてるけど、満更でもなさそうだし。

うん、ちゃんとハリソンさん達に謝って次の来訪の予定を立てないといけない。

「予定では一ヶ月後かな。往復で半月掛かるけど、充分に余裕は……あるかな?」

『時間的な余裕は少ないかと。ザッカル局長から新しい指示が出される可能性が高いので』

「宇宙探索の任務ですね?」

「今のところ地球との交流は、宇宙探索のついでなんだよね」

少なくとも今のアードは地球に全く興味がない。いや、地球どころか宇宙にすら関心が薄い。センチネルを恐れてるのは分かるけど、隠蔽魔法だって万能じゃない。いつか破られるかもしれないのに、対策もないしね。

センチネルの問題は地球だけじゃなくて、アードも向き合わなきゃいけない。じゃないと、地球が助かってもアードが滅ぶような未来を迎えてしまう。

「ティナ、こちらへ。少しは時間がありますよね?」

「フェル?」

また難しい事を考えているのを見透かされたみたいだ。確かに時間はあるけど……ソファーに座ってるフェルが自分の柔らかそうな太ももをポンポンって……まさか膝枕ぁ!?

「いや、ですか……?」

「とんでもない、失礼します!」

ソファーに駆け寄って、フェルの隣に座って頭を太ももに乗せた。

……あー……これダメだー……幸せすぎる……あー……頭撫でちゃダメだよ、眠りそう。

「アリアさん、お時間はまだありますか?」

『はい、マスターフェル。ハリソン大統領との面談まで三時間はあります』

「じゃあ、ちょっと休みましょう。ティナはたくさん頑張ってるんですから」

「やめて~……ダメになっちゃうからぁ……」

「ふふっ、ダメになってください」

あ~~……駄目だ、おやすみなさ~い……。

一時間後、フェルの膝枕で至福のお昼寝を堪能した私は、お別れを言うために地球へ向かうことにした。

昨日の遅刻の件も謝らないといけないし、打ち合わせもしないといけない。

予定では一ヶ月後にまた来てアードの反応を伝え、各国の首脳陣にセンチネルのことを知らせるつもりだ。そして次回はもう少し滞在できるようにしたいし、何より次回はフェルを紹介したい。

アードとの交流が始まればリーフ人と関わることになるからね。あんな奴らに気を遣いたくはないけど、こればかりは仕方無い。彼らを保護してるのは私達だし、私個人の感情で無視できるわけでもない。

でも、それとは関係無しに地球で色んな場所をフェルと一緒に見て回りたいって想いがある。フェルにはたくさんの楽しい思い出が必要だと思うから。

ギャラクシー号で地球へ降りた私は、取り敢えず異星人対策室のビルへと戻った。ジョンさん達にお別れを言わなきゃね。

一階へと転移した私は、ある変化に気付かされた。あれ?吹き抜けだったっけ?

見上げれば天井ではなくて最上階まで貫く丸くて大きな穴と、綺麗な青空が見えた。

「やあ、ティナ」

ジョンさんの声がしたので振り向いたら、そこには相変わらずマッチョなジョンさんと……ジョンさん並みにムキムキになって金の髪を逆立たせた男の人が立っていた。ただ、その顔は見覚えがある。

「あっ、朝霧さん……?」

えっ、なんで?

一部始終を見ていたジャッキー=ニシムラ(ストライクゾーンは揺り篭から老人ホームまで)はこう語る。

「いやこれブ◯リーやんw」

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