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(ぬるーいセンシティブを含みます。)
「別れてみる?」
そう言ったのは太智のほうからだった。
何の気なしにずーっと付き合ってきたけど最近は忙しくてなにかとすれ違いも多いし大したことじゃないけど喧嘩もそれなりにすることもあった。
いい機会かもなんて思った。
仕事の合間もどこか太智の事を考えることが多くて…でも太智はいつも通り淡々としてて。
たぶん、俺の方が好きすぎたんだ。
なにか返してほしいわけじゃないけど無意識に求めてたのかもしれない。
満たされない心?っていうの?なんだか自分でも良くわからないけど…そんな感じだった。
「わかった」
答えを出してみてなにかが変わることはない。
ただ太智の負担が減ればいいなとしか思わない。俺のことはべつにいい。1人になるのは慣れてるから。それでよかったんじゃないかって思った。
「じゃあ最後にしようや」
「なにを?」
「抱かせて?」
間髪いれず帰ってきた言葉に思わず顔が赤くなる。こうやって面と向かって言われるのは初めてだった。いつもなあなあになって抱かれるのが多かったから。
「いいけど…明日ロケじゃないの?」
「せやけど…最後やし」
「無理にしなくてもいいよ…」
「無理ちゃうよ、抱きたい」
最後だからって別れようって言った方がそう言うのか。太智の思考はいまいち読めない。それはたぶんお互い様だけれど。
「じゃあお風呂入ってくる」
「…最後やし、一緒にはいろうや」
「えぇ?そんな広くないだろお前んちの風呂」
「いけるいける!」
恥ずかしいけどまぁ最後だし。
一応太智の家に来る前に洗浄は済ませてたから軽くかいた汗を流す程度な気持ちで風呂場に向かった。太智も付いてきて脱衣所で一緒に服を脱ぐ。
こっぱずかしい。けど、まぁ最後だから。
「よし、じゃあ洗浄はじめよか!」
「あ、それはもう済んでる」
「え?なんでー!最後ぐらい俺がしたかった」
「それは最後だろうが絶対やだ」
小競り合いをしつつ風呂場へ入るなりキスをされた。普段あんまりキスなんてしないのに。これも最後だからなのかなんて受け入れる。
「っんん、は、だいち」
「なぁ、見て?吉田さんのストリップ見てたら勃ったわ」
「うわ…ぐろ」
「いつもこれでよがってんで?」
ちゅーっとまた唇を奪われ腰が砕けそうになる。子供みたいな顔の癖にキスがうまくてふわふわしてくる。
「ちょっ、風呂でするの?」
「あかんの?」
「えぇ…」
「どーせ汗だくになるしびしょびしょになるんやからここでした方が楽ちゃう?」
「うーん…」
最後だから、最後だから。
なんかそういう自問自答に違和感を感じる。
最後だからなおさら、ちゃんと?
そう思う反面、別れるんだったらなんでもいいかって割りきろうとする自分もいた。
全てさらけ出して恥ずかしいところも全部見せてこんなにも好きでしたなんて見せあって、それから。
「っは、まって…ッン…ぁ…もう」
「立ってられへん?仁人は指だけでもこんな満足するんやな」
「やだっ…ふ…だいち、も、いれて…」
「あかんよ、最後なんやし…もっとじっくり」
風呂場の壁に張り付いてる俺の良いところを何度も擦られ足が痙攣してくる。太智の指は太くて骨張ってる、それがたまらなく好き、だった。
「ゃ、も、ぃく、いっちゃ…っーー!!」
「指でイってくれるなんて可愛いなぁ」
「さい、あく」
「感じすぎちゃう?最後って言うたから?」
ペシャリと床に座り込むと背中から抱き締められてうなじにキスを落とされた。
そしてそのまま少しだけぎゅっとされたまま時間が止まる。熱い呼吸と心臓だけが動いててなんだか不思議な気分だった。
「なぁ、仁人」
名前を呼ばれ振り返えろうとすればそれを許さないかのように強く腕に縛られる。
「結婚しよ」
「え?」
「恋人としてはもう終わり、これからはパートナーとして仁人と一緒におりたいって言ったら…パートナーになってくれる?」
「な、…な、に?」
「俺やっぱ仁人を解放することできない」
「ふぇ?」
脳みそがぐるりと回るが良く理解できなくて無理やり後ろを見れば耳まで真っ赤にした太智と目があった。
「可愛い顔で見んとって」
そういうと深いキスをされる。なにがなんだかわからぬ内に風呂場からベッドに運ばれ組みしだかれる。
「っ、ま、まって、だいち、ちょっと」
「なに?」
「わ、わかれるって」
「うん、やから恋人としては別れるけどパートナーとして復縁しよ」
「はあ!?意味わかんなっ、ひぁ!?」
「俺には仁人がおらな」
「なにいって、ん、ぁ、はぁ」
ぐずぐずになった結合部に太智のものを当てられて背筋が浮く。
え?結局わかれるの?別れないの?なんなの?そんなん考えてる余裕は太智のものが入ってから訳わからなくなって意識が飛んだ。
「…わかったって簡単に言うなアホ」
◇◇◇
はたっと気がついた時にはもう朝で昨晩の事は夢だったのか?と思ってたら右手の薬指にキラリとシンプルな指輪がはまってた。
「んえ?」
「おはようさん、よう寝てたね」
「だ、太智!?だいち…これ…ゆ、指輪!?」
「うん、パートナーやしな、指輪くらい太ちゃんマネーから出しましたよ」
「……え?あれ?別れるって…」
「いつまでその話してるん?あ、俺もう仕事だから出るな!仁人はどーせ動けんやろからそこで大人しくしとき!」
「え?えぇ!?」
追いかけようにも腰が立たず扉が閉まる音が聞こえて静かな家になる。なんだったんだ一体。
そんなことを考えようにも指輪が目に入って考えられなかった。
「実はちゃんと俺の事好きだったの?」
でかい独り言を言いながら心のモヤモヤがいつの間にかさっぱりと無くなっていたことに気づいたのはもう少し先だった。
コメント
1件
「別れるって言った側が、風呂場でプロポーズは反則すぎるだろ!!」って叫びながら読みました(笑)太智、最初からそういうつもりで「別れてみる?」って言ったんじゃ…怖すぎるよこの男…。でも薬指にはめられた指輪の眩しさよ…まだ頭が追いついてない仁人の顔が目に浮かびます。「実はちゃんと俺のこと好きだったの?」の一言で胸がギュッと詰まりました。塩レモンみたいに切なくて、でも最後にはさっぱり爽やかな余韻が残る話、大好きです🥀