「でも、ならどうしてアートに進まないんですか? アートだと食えないからですか? ロックンロールはアートだと、僕は思っています。アートでいて成功した人たちもいますよね、ジェットのバルドゥビーダなんか、アート路線を貫こうとしてバンドを解散させましたよね」
「我々は君ら学生のように、やりたいからやってるだけじゃないんだよ」
「それはわかってます。やりたくない曲も、収益のためならやらなきゃならないわけですよね」
社長はチッチッチといいながら、人差し指を左右した。
「君は一時代前の資本主義に毒されてるな。いいかい。自主的にやりたいことに加わるのは、無味乾燥な収益性ばかりじゃない。人を幸せにする使命感、世界を明るくする夢だ。だから、遊び以上に幸せになれるんだよ。だから、毎日仕事させてもらって、幸せで一杯なんだよ。そういう点で、学生のお遊びとは根本的に違うんだよ」
周りから拍手が生まれた。
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