ピーンポーン
『ん?誰だろ、こんな夜中に』
現在の時刻は、21時30分
女は風呂上がりで、髪をタオルで乾かしているときだった。
しかし、女は驚きもせず怖がってもいなかった。
それは、前にも女の友達が夜中にお酒とつまみを持ち
[一緒に飲もー?]
と、家にチャイムを鳴らしに来て宅飲みをしたことがあるからだ。なので女は
『(またー?しょうがない、飲んでやるか)』
と、しょうがないを理由に照れ隠しし内心嬉しがっていた。
そして、女はインターホンの画面を見た。
『(誰?)』
そこに立っていたのは、友達でもなく全く知らないお婆さんが立っていた。
女は少し驚き、インターホンで問いかけた。
『あの…誰、ですか』
「……」
『あの、聞いてます?』
「………」
しかし、お婆さんは下を向いたまま返事もせず、喜怒哀楽のどの表情をしているのかも一切分からなかった。
それもあってか、女はお婆さんに少しの恐怖心が湧き上がった。
『‥…用がないんだったら帰って、、 』
女は、この時間に耐えきれず強めに、帰ってくださいと言おうとした
が、しかしその言葉を遮るようにお婆さんが初めて言葉を発した。
「ショウカキ イリマセンカ」
『え、消火器?』
「ショウカキ イリマセンカ」
『(こんな夜中に何かと思ったら、、セールスマンか)』
『(出なきゃ良かった‥まぁ、はっきり断ったら諦めるでしょ)』
『消火器なんかいりません!』
ブチッ
女はインターホンの通話ボタンを勢いよく再度押し、通話できないように切った。
『なに、あのお婆さん、、急に喋んないでよ』
『てか、勢いで押しちゃったけど、まだいたりしないよね』
女は胸をドキドキさせインターホンの画面を見てみた。
『……ふぅ、帰ってた、、良かった~』
『(なんか、めっちゃ怖かったんですけど!もう寝よう!)』
女はさっきのお婆さんのことが怖くなり布団に潜った。その後、女は安心したのか、いつもより早く眠りについた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
翌朝。
女は昨日の夜のことが忘れられず、友達に電話で話した。
『めっちゃ怖かったんだからね』
〔なにそれ、消火器売りつけてくるお婆さんって〕
『笑わないでよ』
〔お前も笑ってんじゃん〕
『あはは』
〔ははは〕
『でねでね!そのお婆さん、全然顔が見えなかったの』
『それに、なんか全部言葉がカタコトでさ、色々と不気味だったんだよ』
〔こっわ〕
『でしょ、あはは‥でねでね!……?おーい聞こえてるー?』
〔ねぇ、〕
『ん?どうした、電波悪い?』
〔もしかして、そのお婆さんってさ〕
『?うん、』
〔ショウカキ イリマセンカって言ってくる白髪の人?〕
『え、なんで分かるの』
〔テレビ見て〕
『わ、分かった』
【ニュース速報です。昨夜―〜のマンションで〝ショウカキ イリマセンカ〟とショウカキを売りつけてくるお婆さんが逮捕されました。そのお婆さんは◯◯□□40代です。】
『お婆さん逮捕されちゃったの』
〔なんで笑うの?〕
『え、だってマンションの人達に迷惑かけたからでしょ、、あんな夜中に』
〔それもあるかもしれないけど、多分理由それじゃないよ〕
『なんで?』
〔まぁ、ニュース見てなよ〕
『う、うん』
【―では、被害者の意見を伺いたいと思います。】
【―…思い出したくもないんですが、軽く断ったのにしつこく売りつけてきて、仕方なく買ってしまったんです。そしたら、四角くて重い段ボールを渡されて開けてみたんですよ、けど中に入っていたのは消火器じゃなくて、、はぁ、、臓器で、した。 】
【―ありがとうございます。怖かったですね】
【―警察の鑑定では、消火器を売りつけてくるお婆さんではなく】
『え、』
〔、、〕
【人間の消化器を売りつけてくるお婆さんであることがわかったそうです。】
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