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「…え? いや、あっ、あの…」
そういうことには心の準備もできてなくてと、うろたえて掴まれている手から逃れようとすると、
逃がさないとばかりに、片腕でぐっと腰が抱え込まれて、
「……君と、寝たいんだ」
あっという間に、ベッドの中へ引き入れられてしまった。
焦りまくる私を尻目に、
「おやすみ」
彼の口から一言が吐き出されて、抱かれた身体がはたと硬直した──。
今、なんて言われました……?
もしかして寝たいって、ただいっしょに眠りたいというだけで……。それならそうと……って言うか、勝手な妄想で一人で赤くなってた私ってば、めちゃくちゃ恥ずかしいんですけどーー!
ますます火照ってくる頬に、向き合わされた彼の頬がくっついて、生えている髭が肌にあたる。
……チクチクするんだけど、髭が。
「……蓮水さん? もう少し離れてもらっても……」
「ん…離さない。このままで……」
離さないって、このままでって……。うわぁー、もうどうしたら……。
心臓はバクバクだし、ましてや真近に感じるヒゲの肌触りが、密着感をより募らせて……。
こんな状態で、寝られるわけなんてないじゃないですかーーーー!
そんな心の叫びも虚しく、傍らの彼は私をしっかりと抱いたまま、いつの間にかもう眠りについていた……。