💙×💛 ※同棲、付き合ってます
💙視点
「若井、……僕やっぱ上手く弾けないんだよ……。2人の重荷になってるから、……っ……」
涙で塗れた表情で儚げに呟いた涼ちゃんの頬に思わず手を伸ばす。赤く染まったその頬に手のひらが触れた時、パチリと目が覚めた。
「っ、は……あ、れ?涼ちゃんは、……? 」
無意識の内に伸ばしていた手のひらが冷たいシーツに触れ、隣で寝ているはずの存在が居ないことに気が付く。既に無くなっている温もりから、随分前にベッドから出たようだ。だが、特に部屋の外から物音がするわけではない。
「……大丈夫だよね。」
昨日の夜、俺の腕の中で泣きじゃくっていた涼ちゃんの姿が思い出され、何処か胸がザワつく。まさか、なんて可能性が脳裏に過ぎり、自分を安心させるように言葉を呟き、まだ寝起きで重い身体を起き上がらせた。
「涼ちゃーん?」
リビングの扉を開け、ソファを覗いてみる。空っぽのそこに人の気配はなく、どうやらここには居ないみたいだ。ある程度見当をつけないとな、なんて考えていた時、涼ちゃんの部屋へと続く廊下の扉が不自然に開いてる事に気がついた。直ぐにその先へ向かおうとした時、ポケットに入れておいたスマホから激しいアラーム音が響いた。今日は休日だと言うのに、癖でアラームをセットしてしまっていたようだ。
「6時半……、だから眠いのか……」
スマホに表示された6時半、という文字を瞳に映し、大きく背伸びをする。気怠い身体を覚ますため、リビングにかかった大きなカーテンを開ける。どうやら外は晴天のようで、雲ひとつない青い空が一面に広がっていた。早起きの小鳥たちも可愛らしい鳴き声をあげ、まさに理想の朝、という感じだ。
「ん〜………ねむ、」
日頃の睡眠不足が蓄積された、疲労で重たい瞼を擦り、涼ちゃんの部屋へと向かった。
「……りょーちゃ〜ん?」
半開きの涼ちゃんの部屋の扉をゆっくり開け、中を覗いてみる。てっきり暗いと思っていた部屋の中は明るく、カーテンが開けられた窓から太陽の日が差している。リビングと同じく人の気配を感じない部屋に恐る恐る1歩を踏み出すと、ベッドの上に横たわっている誰かの背中が目に付いた。
「涼ちゃん、!」
思わず駆け寄ると、陽の光に照らされたベッドの上で眠る涼ちゃんの髪は何故か湿っていて、シーツの上にふわりと広がっていた。すっかりとぽかぽかと暖かくなっている身体に触れると、規則正しい呼吸をし、長い睫毛に縁取られている瞼を静かに閉じている姿が目に付く。もっとその顔を覗き込もうと隣にゆっくりと腰を下ろした時、眠る涼ちゃんの手に握られていた物に気が付いた。
「……なんで俺の服、」
ぎゅっ、と強くその手のひらに握りしめられている俺の服に困惑が募るものの、何とも可愛らしい様子に頬が緩む。
「風邪引いちゃうよ。」
すぅすぅと小さく寝息を立てる涼ちゃんの髪をふわりと撫で、近くに放り出されていたバスタオルを手に取る。まだ僅かに水分を纏っている綺麗な髪を手に取り、タオルでぽんぽんと優しく叩き、軽く拭いてあげる。少し湿っているくらいなら、太陽の暖かさで乾くだろう。可愛らしい恋人の姿に名残惜しさを感じつつもその場を後にしようと立ち上がった時、俺に背を向けていた涼ちゃんがくるりとこちらに寝返りを打った。
「、ひろと……」
聞き逃してしまそうな声量で呟かれた声に振り向くと、朧気な瞳をこちらに向ける涼ちゃんの姿があった。
「ごめん、起こした?」
「…………ん」
ごめんね、と優しく髪を撫でた俺の手のひらに嬉しそうに瞳を細めた涼ちゃんが、またうとうとと船を漕ぎ始めた。また眠りにつけるまで撫でていてあげよう、とベッドに座り直すと、全く力の入っていない涼ちゃんの指先が俺の服の袖を掴んだ。
「……ぼくね、だいすきだよ」
突然向けられた、涼ちゃんからの「だいすき」という言葉に目を見開く。驚く俺を他所に、言うだけ言って当の本人は眠りに落ちてしまったようだ。力なくベッドに沈んだ涼ちゃんの腕が意識が落ちたことを物語っていた。
「………………、」
涼ちゃんが呟いた”だいすき”の意味は、最近涼ちゃんが悩んでいた音楽のことについてなのか。それとも俺に対してなのか。元貴への可能性だって十分にある。どうせ本人は起きた時言ったことなんて覚えていないのだから、好きなように解釈をしてしまえばいいのに、何故か身を引いてしまう。
「…ずるいよ涼ちゃん、」
眠る涼ちゃんの横に同じように横たわり、綺麗に整った顔と向かい合う。もう既に夢の中に居ることを願い、温かいその身体を抱き寄せる。ふわりと鼻を通ったお揃いのシャンプーの香り。静かに瞼を閉じ、そっと口を開く。
「俺もだいすき。」
コメント
2件
はぁ、好き💙💛 しきさんの💛さん可愛すぎる!! 同じ🛏️で寝る仲でも、色々不安になっちゃう💙さん…🥹 もう好き。 おやすみの朝のまったりとした雰囲気、ずっと続いてて欲しい🥰 更新ありがとうございました✨
もう、しきさん何回私を尊死させれば気が済むんですか…🥹💘涼ちゃんが若井さんの服握りながら寝てるの尊い🤦🏻♀️💖この早朝のふわふわ感?温かさ?を文章で表せるの凄すぎです🧡涼ちゃんの大好きは若井さん貴方にだよぉ…‼️毎回尊いお話ありがとうございます🤭💖