「ふぅ、今日はこれで終わりっと。」
庭仕事を終え、空を見上げると綺麗な夕日が見えた
(この景色を見れるのは仕事終わりのご褒美っすね〜)
道具を片付け、屋敷に戻ろうとしていたら木に凭れ掛かり規則の正しい寝息を立てているボスキさんがいた。
(ほんとどこでも寝るっすねこの人)
「ボスキさん起きてください」
肩を揺すり、そっと声を掛ける。
「……ん…」
「ほら、立ってくださいっす」
寝起きでぽやんとしているボスキさんを立たせる
「ボスキさん」
「…なんだよ」
「ね、ボスキさん見てくださいっす」
「何をだ?」
「ほら、夕日っすよ」
オレが空を指差すとボスキさんは空に視線を向けた。オレの隣で夕日を眺めている彼の横顔はオレンジ色に染まっていてとても綺麗だった。
「夕日が綺麗っすね〜」
「あぁ、そうだな」
オレは密かにボスキさんに恋心を抱いていた。
「夕日が綺麗ですね」の言葉の意味は実際に夕日が綺麗だと思ったのもあるが、ボスキさんがオレをどう思っているのか知りたいというのもあって放った言葉だ。
(オレは貴方の気持ちを知りたいっすけど)
「ボスキさんは鈍感っすからね…」
独り言を零す。
「なんか言ったか?」
「いや、なんでもないっす」
「そうか。」
もう一度空を見上げると夕日は傾き、遠くには星が見えた。
「そろそろ戻るっすよ」
「あぁ」
「今日の晩御飯はなんすかね?」
「さぁな」
他愛ない会話がオレにとってはかけがえのない時間幸せな時間はいつか終わってしまう…
200年以上を共に過ごしてきた先輩は後80年もせずに死んでしまう。
それまでにこの思いを伝えられたらいい。
そう思いながらオレはボスキさんと一緒に屋敷に戻った。
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