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episode20 禁術
ブライドside
「エターナルフェニックス!!」
映矢輝が火の魔法を唱えた。
私は愛武器を握り締め、次々と攻撃を仕掛ける。
映矢輝もさすが大魔法使いというところか、火だけではなく毒や電撃で攻撃を駆使して着実にダメージを与えている。
2人で合わせた技は、一人一人で仕掛けた攻撃よりも大きな成果を得られた。
ヤツの横腹に深く斬撃が刺さったのだ。出血は多いが、服や皮膚には付着していないので安心だ。
映矢輝が魔法で援護してくれている。そのおかげでとても戦いやすい。2対1という構図ではあるが、着実にダメージを与えられているのは明白だ。
この際些細な怪我はもうなんだっていい。当たって砕ける思いでどんどん斬撃を打ち込む。足の痛みはもうほとんど気にならない。
手は利き手が使えるから問題はない。相手の斬撃やレーザーや弾幕に気をつけ、自分は避けられないように工夫し攻撃する。
「映矢輝、もう一踏ん張りだ!!ぜってぇ倒すぞ!!」
「うん、、、!ただ魔力の消費も多くなってきた!あたしも斧で応戦する!!」
「了解!!」
正直なところ、私も体力がもう心配なほどになくなってきている。やはり出血量が多かったからか!めまいがするのはきっと気のせいだと信じていたが、、、。人間の体力はやはりこれくらいか。
だが、、まだだ。まだ倒れたらダメなんだ。映矢輝1人で戦わせるわけにはいかない!
師匠、もう一度、もう一度だけ。私の背中をぶっ飛ばしてくれ!!
もっと足に力を込めろ。限界の脚力で、相手を欺くんだ。もっと、もっと、もっと!!
人間の底力、舐めんじゃねぇぞ!!
斬撃「現世のジャック・ザ・リッパー!!」
「最後まで付き合えよ!映矢輝!!」
映矢輝side
えーちゃんの、速度がさらに上がった!?
足に攻撃されてなお、速さを衰えさせていない!
すごいよ、凄すぎる!
あたしも攻撃しなきゃ、えーちゃんの援護をしっかりしなきゃ!!
バッグから1番古くて大きな魔導書を開く。
大魔法「女神のご加護!!」
支援式の魔法でも魔力消費はとてつもないから、ここで決めてもらうしかない!
「今だよっ!!えーちゃん!!」
魔導書から光が立ち込め、刃が当たる音が強くなる。
血の匂いがする。生臭い。閻魔かブライド、どちらの血なんだ。
光が収まった。ブライドの攻撃は効いたのか。無事なのか。
「え、えーちゃんっっ!!!」
目を開けた瞬間、見たくない光景が広がっていた。
相打ちだった。閻魔の急所、心臓を貫いていたのだ。
でも、ブライドは腹を刺されていた。彼女は人間。あの出血量は危険だ。
後ろに倒れ込むブライドを急いで支え、離れたところへ飛ぶ。
心音はまだある。でも、呼吸は弱まっている。
出血は止まっている。が、早く病院に連れていかなければ。
不意に後ろを振り返った。そこで、私は絶句した。
閻魔が、、まだ生きている、、!
どうしてだ。急所を刺したのに。
肉塊を徐々に回復させている、、一体なぜ、、?
その時、はっとした。思い当たる節があった。
時は遡り数年前。洗脳状態にあった私はこいつに加護の魔法をかけていたのだ。
どんな状況でも、どんな攻撃を食らっていても1度だけ死なない魔法を!!
いくら洗脳状態の時とはいえ、自分が許せない。怒りでおかしくなってしまいそうだ。
相手はまだ動けるはず。なら、自分で尻拭いをしなくては行けない。
足がすくむ。先程は2対1だから優勢だったのだ。対面で果たして勝てるのか。
いや、勝てるか勝てないかじゃない!絶対勝つんだ!私には、人間を守る義務がある!
ブライドに回復魔法をかけ、杖を握り直し、深呼吸をする。狙うならまだ回復をしている今のうちだ。
獄符「80年目の大裁判!!!」
もう魔力の消費なんてどうでもいい。私はあの二人を守れるならなんでもいいんだ。
「かかってきなさいよ!元父親!!あんたのことなんてもう怖くもないんだから!!」
「なんだと、、!!」
相手も武器を構える。
「あたしはあたしを信じてくれた人を信じる。あたしを信じてくれたのは、あんたじゃない!さあ、かかってきなさい!全身全霊で相手してあげる!」
赤黒く、槍のような弾幕が一斉に放たれる。悲しみの感情がつもりにつもった負の弾幕だ。当たったら相当なダメージが期待できる技の一つ。魔力消費だって決して少なくない。
もう既に大量の魔力を消費してしまっている。でもまだ動ける。最後まで戦うという意思が映矢輝には明確に存在していた。
だが、相手は自分より長寿の閻魔。今の一瞬で体に何度も斬撃を喰らわされた。
何度も何度も刃がぶつかる音がした。その度火花が散り、それと同時にどちらかの血が飛び出る。
その比率は6割が私の血だ。大量出血なんて話では無い。人間ならまず間違いなく死んでいるレベルだ。
それでもなお、魔法を撃ち続ける。斧の斬撃と魔法のコラボレーションだって試した。
でも、増えるのはお互いに小から中の切り傷ばかり。私の魔力はその小さな傷のために大量に消費された。
傷口はまるで焼けるように熱く、痛い。今すぐにでも叫び出したい最悪の気分だ。
だが、まだ斧を振るい続ける。たとえそれが届かなくとも、自分が不利になろうとも。
さすがの閻魔も苦戦を強いられているのか、技を何度もぶつける。中には映矢輝から習得した魔法もあった。
その度に転び、膝には赤黒い血溜まりができてしまった。頭からは血が流れ、腕にはざっくり斬撃が入っている。羽もボロボロ、もうとても飛べない。己の体力の限界を感じてきている。
なんなんだよこいつ
体力多すぎだろ。なんで急所を刺されて攻撃されてなお平気な顔ができるんだよ。
悔しい。子供の自分には体力も魔力も大人の体には到底追いつかない。
100年って、長いはずなのに。人間からしたら、お年寄りなんてレベルじゃないのよ。
なのに私はまだこんなに小さい。もう少しでも大きかったら、もっと上手く太刀打ちできたのかもしれない。
悔しい、悔しい悔しい悔しい悔しい!
動けよ、体!!足、手、腕!!なんで言うことを聞いてくれないんだ。普段のあたしならもっと上手く攻撃できるだろ!
涙が落ちる。泣き虫だなぁ。あたし。だって悔しい。こんな事を思ってる今だって、投げ飛ばされて、蹴られて、技使われて。強すぎる。普段のあたしでも適わないって心の奥底ではわかっているんだ。だから悔しいんだよ!!
せっかく、えーちゃんが大きなダメージを入れてくれたのに。せっかく、不意をつけたと思ったのに!!それでも尚、2対1でも上手く立ち回れないあたしが心底悔しい。大っ嫌い。
それからどれくらいの時間が経ったのだろう。
先程の怪我プラス、腹には大きすぎる赤いシミができていた。
ちゃんと戦った。戦ったはずなんだ。でも体力の差も、生きていた年齢も、強さも何もかもが違った。
魔法も効いていた。斧の斬撃も届いていた。それでこのザマだ。
今のなってはただ、私には座り込むことしかできない。
すると、私の前に立ち、閻魔が言う。
「そろそろ、、終わりにしようか」
閻魔ももう余裕は無いのだろう。ここでケリをつけるつもりだ。
「、残念。続きは地獄でやりましょ、、、このクソやろう、、、。」
「何を言っているんだ。ここがそうだろう?地獄の神様?」
ああ、終わったな。技をもう構えられてる。ごめん、えーちゃん、千ちゃん。一緒に、帰りたかったなぁ、、、。
「ねぇねぇおかーさん!なんでずっとベットでねんねしてるの?」
「うぅん、映矢輝には少し難しいかもなんだけど、、、お母さんね、病気なの。」
「びょーき?びょーきってなに?」
「悪いヤツが、お母さんの体を攻撃しているの。そのことを、まとめて病気って言うのよ。」
「えぇぇーー!だめだよ!やっつけなきゃ!悪いヤツ!!」
「そうよ。だから、ベットでねんねして、やっつけている最中なのよ。」
「へー!じゃあ、悪いヤツいなくなるように、はやてがお手伝いしてあげるね!!」
「ふふふ、嬉しいわ。」
「ねぇ、映矢輝?」
「なぁに?おかあさん」
「あなたは、諦めちゃダメよ?」
「?」
「お母さんはね、もうすぐ黄泉の国へ行く。もう、自分の病が治らないって、諦めているのよ。だって、手の施しようが無いんですもの。でも、あなたには私のようにはなってほしく無い。こんな崖っぷちでも諦めない強い子になってほしい。たとえその崖が死の境界でも、ね。諦めるということは、その先の人生を捨てると言う恥ずべき行為。生きている限りは、その命を賭して生に縋ってほしい。それはきっと、恥ずべき行為じゃ無いって、私は信じているから。」
「難しいや。でも、きもにめーじておきます!」
「うふ、そうね。そうしてちょうだい。」
ガンッッ!!!
その時。ものすごい速さだった。
閻魔の攻撃を映矢輝が斧で止めたのだ。
閻魔も目を見開く。まさか抑えられるとは思わなかったのだろう。
「お前、、、!なぜまだ、、!」
「なんでかしら、あなたの動きがすごく遅く見えるの。それどころか勝てる気がしてきた。」
「私はまだ動けるわよ!!残念だったわね!!」
ははっ、、そうだ。何を諦めてたんだよ、まだ全然動けるじゃんか
そうだ。そうだ。忘れていた。お母さんの記憶。病気でこの世をさってしまった、私の母の記憶を!!そうだ。何を諦めているんだ。生に縋れ、諦めるな。ようやく本当に守りたいものができたんだろ!!
もう体は限界だ。もうこの攻撃に失敗したら間違いなく抵抗する間も無く死ぬ!!
ならば、、どうせ死ぬ命なら!!!
禁術だろうがなんだろうが使ってやる!!!!!
禁術「誘いの魔法〜死〜」!!!
魔法使いだろうがなんだろうが、使うのを禁止されている禁断の魔法。
生物を死の淵に誘うというシンプルかつ強力すぎる魔法だ。
使ったものはもれなく死ぬ。内容が内容なのもあるが、禁止されている1番の理由はこれだろう。
限界までボロボロになった足を全力の力をふりしぼり無理やり動かす。おぼつかない感覚だがそんな事は心底どうでもいい。
いい感じに体が弱まってきている。とどめをさせ。あくまで死の淵まで運ぶだけだ。突き落とさなきゃ死なない。
緊縛「囚われの鉄の輪!!」
相手を捉えた!!もう後はぐちゃぐちゃに刺し殺す!!
上空から大きく斧を振りかざす。閻魔は自身の血を盾にして防御を展開する。
今もう一度斧を振りかざす力はない。このまま突き刺して殺すしかない!
血液の盾はパキパキと音を立て、崩壊する。あと少し、もう少しなのに!!
あぁ、私もダメだ!体に力が入らなくなってきた。
代償が巡るのは案外早い。もうすでに角がパラパラと消えてきている。私もそろそろ死ぬ!!
胸にもう斧は突き刺さっているのに、、!真っ二つにしないと死なないのか!!
斧にグッと力を入れた途端、手の上に新たな温もりが伝わった。
「っ、たく、1人で突っ走りやがって!!気絶してたんなら起こせよ!!」
「えーちゃん、、、、!!」
「ほら、力込めろ!!ギッタギタのメッタメタにしてやるからよぉ!!あ、いいとこ取りなんて言うなよ?」
「うんっ!!!わかってる!!!」
証明「「小さき者の大きな大きな力!!!」」
2人の手が交わった斧は、閻魔の体を切り裂いた。
はーいお疲れ様でした♡場違いなことこの上ない楽書生です!
いゃー、過去最長ですよ。今回。4800文字ですって😱つい無我夢中で書いちゃいました。なのでところどころ結構曖昧な感じな所あったのでは、、、すいません。
ちょっと今回、こだわりポイントがあって、8月6日に執着して投稿したんです。
ここで話すとリアル親族(同年代)に字稼ぎ乙って言われるので雑談部屋に投稿します(見てくれたら地面を這いずり回って喜びます)
それじゃあここまで見てくれてありがとうございました!
また遠い次回で会いましょー💪