私達は夕飯を準備しようと厨に向かった。
母屋の方からの視線に気付かずに
「…いいなあんな風に愛されて。俺も…俺も本当なら…」
「さぁて、いただきましょうか」
本日は皆頑張ったので宴会並に料理を作った。皆にも少し手伝ってもらったけど誰も嫌な顔せずそれぞれやってくれた。本当に良い神様達だ…
「それでは手を合わせまして」
いただきます!
「今日はとっても豪華で何から食べようか迷います…」
「五虎退!これ凄く美味しいです!食べてみてください」
それぞれ美味しくいただいてくれてるようで良かった。
「ふぅ…もう食べれませんね…」
もう胃袋は満杯だ…そう思いながら周りを見てみるとまだ短刀の三振りがパクパクと食べていた。
おかしい…白米はあれで5杯目だ…胃袋がブラックホールなのか…?
「小さい子はよく食べますね…」
「あれでも貴女の数倍は歳上ですよ。」
「な、なんですと……!?」
そういえば刀が作られたのは大体皆1世紀以上は前だとか……
「さすが神様と言うべきなのか…」
数百年は生きていらっしゃると考えるとなんだか身震いしてしまう。凄い方々なんだなと
「ごちそうさまでした。」
「さっきあった白米がもうない…」
食後皆でせっせと皿を洗って私は居間でだらーんとしていた。
そういえば弁当を作らならければ。あと風呂
「えーっと今日は唐揚げと赤ウインナーと…色々…」
この作業にも段々と慣れてきた。
だがしかし本日は唐揚げがある。つまり油を使わなければならない。
「実はこんなことがあろうかと宴会用の料理を作ってるドタバタの時に作り置きしてたんですよねぇ〜〜」
我ながらあの状況で唐揚げを作り上げるのは天才だと思う。
「あとは赤ウインナー焼いて…卵焼きを…」
せっせとバレないように焼いて弁当に詰めていく。
「よしできた。あと片付けもよし。」
着替えとタオルと弁当を持って裏口を静かに通って外に出る。
「鶴丸さーん」
「まだ来てないのかな」
今日はまだ来てないらしく浴場は静かだ
「まぁいいや先に入っちゃおーー」
いつものようにシャワーを浴びて温泉に浸かる
「いやぁ堪りませんわなぁ…」
その時だった
「そこに誰かいるの」
(誰か来た…!?)
中には入ってきてはいないけど外と中を仕切る竹の柵の外側から声が聞こえてくる。
コツ…コツ…とゆっくり足音が近付いてきて段々と息が詰まる。
(あれ…足音が止んだ?)
「わっ!」
「えっ」
ギャァァアァァァア!!!!!
「すまんそこまで驚かれるとは思わなかった。」
「ほんっとに…よくやってくれましたね貴方」
「はっはっはっ本当に申し訳ない。まさか座ったまま飛び跳ねて湯の中に突っ込んでいくとは思わなんだ」
「…自分でもびっくりですよ。しかも巻いてたタオル飛んでったし…」
「君って奴は本当に面白いな。見てて飽きん」
「はぁ……そういえば先程柵の向こうで声と足音がしたんですけどあれは…」
「あぁほかの刀剣男士だろう。俺がここに来ないとああいう風に他の奴が入れてしまうんだ」
「ちゃんと時間通り来てくださいよーー」
「次からは気を付けるさ」
そう言いながら近くの岩にあぐらをかいて座る鶴丸さん
「さて今日の弁当は…」
「約束通りちゃんと入れてますよ」
「おー!しっかり入ってるな」
「味見してないのでしっかりできてるかどうか…」
「ふむ…それじゃ1口」
鶴丸さんは儚げで口も小さめかと思いきや意外と大きく開く。そして思いっきり唐揚げをパクッと…
「美味っ…」
「それは何より〜」
「外はさくさくなのに中は肉汁で溢れている…肉も柔らかくて食感がいいな…」
「マヨネーズとかレモンも持ってきたんですけどかけます?」
「おぉありがたく使わせてもらうぜ」
そう言うと私が持ってきたマヨネーズから手に取って唐揚げに少しかける
「これ先日君がケチャップ入れてきたやつじゃないか?」
「そうですね、この前のはケチャップ用で今日はマヨネーズのミニボトルにしたんです」
「いいな、またこういうのに何か入れて持ってきてくれ」
「食べる物によりますね〜」
「さて味見…」
今度はマヨネーズのかかったところをパクッと食べていく
「うん、これもなかなか悪くないな…」
ただ少し油っこいなと言いながらもぐもぐしている
「レモンもかけてみてください。さっぱりして美味しいですよ」
「あぁ」
そう言ってレモンを手に取る。
「あんまり力入れ過ぎないように注意を…」
言った時には遅かった
「ぐあーー!!目に入った!!」
「言わんこっちゃない」
「お、驚きだぜ……」
目を片手で抑えながらもまたパクッと唐揚げを食べていく
「おぉこっちはさっぱりして食べやすいな!」
「落ち着いてから食べればいいのに…」
「ごちそうさま」
なんやかんやあったがしっかり完食。よく食べる人だ
「私もそろそろ風呂から出ましょうか」
よいしょと立ち上がり新しいタオルで体を拭く
「相変わらず警戒心がないんだな」
「まぁ結構出会って時間たってますし警戒する理由もないので」
「そうかい」
素早く体を拭き、ジャージに着替えていく。
「それじゃまた明日ですね」
「あぁ待ってるぜ」
ガチャリと音を立てて浴場から出ていく
「さっぱりした…毎日風呂に入れるのはいいな」
そう呑気に歩きながら屋敷に戻る。
そういえば最近主と共に寝るのはダメだと長谷部が部屋を分けたので私の部屋は居間から少し離れた別の部屋になっている。縁側付きだし、何よりプライバシーがあるのはとてもありがたい
「誰もいないね…よし」
今日も何とか気付かれず帰宅した。こっそり部屋に戻り布団を敷いていく
「おやすみおやすみ〜」
そう言って眠ろうとした時だった
「ねぇさっき浴場にいたのアンタでしょ」
「ひっ!?」
「騒いでも無駄。札張ってるから」
「な、何しに来たんですか」
「何ってアンタを殺しにきたの」
「わぁ物騒ですね」
「さっさと斬られてよ」
グサッと音がしたかと思うと顔の横に刀が刺さっていた。
「あれこれ私超絶ピンチ?」
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