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司くん。

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「司くん。」のメインビジュアル

司くん。

2 - 狂わないうちに

♥

300

2022年06月19日

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「注意」

・微R18(18歳以下の人は見ないで下さい…!)

・司類

・司くんがサイコパスに見えてしまうかもしれません(?)

・多重人格設定etc…

・厨二病設定しかない

以上。








類side

「ぇ……な、なんで…」

彼に、叩かれた…?僕の行動が、どれだけ司くんを傷つけていたのかを身を持って実感している気がする。

それでも____

思わず、彼の行動について「なんで」と声に出してしまうほど衝撃的だった。だって司くんは、酷いことをした相手にも暴力なんて、絶対に__

「ちょ、ちょっと!なにしてんの司!なんで、なんで類を叩いたのよ!説明して……!」

叩いた意味がわからず、寧々は司くんの行動について問い詰める。ふと寧々の手を見ると、僅かに手が震えていた。きっと司くんに恐怖を覚えたのだろう

「お前には関係ないだろ、寧々」

彼らしくない声で司くんは寧々にそう言うと満足したように微笑み、その場を後にした。そしてまた寧々の手をみると先程の手の震えは止まり、ぎゅっとその手を握っていた。その時だった。

「…司の馬鹿野郎ーーー!!!!」

悔しそうに寧々はそう叫ぶ、すると寧々は満足気に微笑んだ。

「類、あんたビビってんじゃないわよ!」

「え?」

「だから、ビビらないでガツンと言ってやりなさいって言ってるの!あの司は司じゃない、きっと別人よ!」

嗚呼、確かに司くんはいつもとは違って冷酷な雰囲気だったが___

別人、と言われるとまた話は変わってくる。容姿はともかく、声や仕草の癖は司くんそのものだ。僕が1番よく知ってる、司くんは怒ると眉を上げて叫び出すのも知ってる。でも彼は、司くんは____

「僕に、司くんを説教するような権利は無いよ。でも司くんは別人なんかじゃない、ちゃんと本人だ」

「違う!違うんだって…なんで気づかないのよ類!」

必死に訴えかける寧々に、僕は興味を示さない。

「…寧々、これ以上司くんと僕の件については今後一切関わらないでくれ」

「そんな…待って、まだ話したいことが…」

寧々……

「君の期待には応えられない」

「……っ!」

___すまない


瑞希side

【司先輩、いいの?類に直接話さなくて】

【いいんだ。類がオレを嫌いになれば、今後一切他の人格の奴とも関わる機会は無くなるだろうしな】

【…ごめん、司先輩。やっぱりボク、納得出来ないよ】

【そう、だよな…でもすまない、オレはこうやって嫌われるより、事実を知って嫌われる方が辛いんだ】

【……】

【だから瑞希、オレは……】

【わかった。この人格の先輩と話せるの、最後かもしれないもんね!契約は続行ってことにするよ】

【……!ありがとう、感謝する】

【…あ、それでさ司先輩、話したいことがあるんだけど……】

【つ】

【あれ、司先輩……】

【あ】

【先輩〜?】

【あ】


「…もしかして…司先輩!」




類side

あれから寧々とは何もないまま解散し、僕は放課後の学校を1人歩いた。司くんに叩かれた頬が、未だに痛む。こんな別れ方をしてしまったのは、僕が我儘だったからなのだろうか___いや、そうじゃないと困る。これ以上、僕が期待してた司くんでいなくなるのが怖い。司くんは嘘はつけない、演技も嘘を交えると下手になる。だから、司くんに嘘を吐くような役は絶対にさせなかったんだ。


___演出家失格だ。


役者からショーをやらせようとする活動力を失わせるだなんて___

そもそも、僕は恋人としての役目すら果たせなかった。


勘違いかは分からないが、先程より頬の痛みが次第に強くなっている気がした。遠くから、司くんの声が聞こえると思ったのは次の瞬間のことだった。明るくて、どこか寂しげで、どこか怖くて_____

「類、話したいことが……」

信じられない、先程僕を失望したかのような目で見てきた司くんが僕の目の前に?

僕は息を飲んだ。また何かされるのでは無いかと身を震わせた。身体が次第に動かなくなっていく。手も足も口も、全身を拘束されたかのようになっていた。動かそうとしても、何度も試してもできなかった。司くんはどんどん、僕が怯えている間に距離を詰めてきて、更に彼は僕に優しく笑いかけた。

「類、怖がらないでくれ。ほら」

突然、彼の手が僕の頬に触れた。先程の傷の痛みが、段々無くなってきていたのが分かった。

「司くん…っ!」

僕は涙を堪えながら震えた声で答える。それを聞いた司くんは一瞬顔を伏せた。どうしたのだろう、と彼の顔を覗き込むと____

「ホントにバカだな、類っ♡」

「え……?」

廊下の壁に僕の背中をくっつけると、彼は自分の足と僕の足を絡めて動けなくする。同時に僕の手は彼の手に押さえつけられて身動きが取れなくなった。

「っはははは♡可愛いぞ類、最高に可愛い」

彼は狂気じみた顔でそう答える。僕はまた身を震わせた。今から何をされるのだろう、僕は無事でいられるのか?

いつの間にか僕は、司くんが彼氏だったことを忘れていた。不良にいじめられている、というのが今の僕の状況だと思う。

僕は身体を無理矢理動かして、彼から離れようとした。体格で言えば、僕の方が有利なはずだ。___それでも、恐怖の方が勇気より大きかった。歪んだ司くんの顔を見続けるのが苦しくなってきた時のことだった。

司くんの瞳が、色欲の色に染まり始めたのがわかった。

(これは……?!)

フィクションじゃあるまいし、瞳の色が変わるなんて有り得ない。そんなことを考えていると、司くんの桃色の唇が僕に近づいてきた。

「司くん?!」

思わず声を上げると、司くんが何もしてこないことに気付く。違和感を感じ周りを見渡すと握られていた手や足が全て離されていたことに気づく。強く握られすぎて、離されていることに気づかなかったのだろうか…今もまだジンジンと痛む。そして司くんは慌てている僕を見て満足したように笑顔を浮かべた。その笑顔は、先程の色欲の瞳の色のおかげか____その笑顔は狂気じみた笑顔では無く、むしろ無邪気とも言えるような顔だった。そんな笑顔に僕は恋人同士だった時の司くんを思い出した。

司くんは喜怒哀楽がしっかりしていた。楽しむ時は人一倍楽しんで、人一倍喜んで、怒ると人一倍怒って、哀しむ時は人一倍泣いた。

そんな司くんを守りたいと告白したはずが、付き合ってから守られる側に回っていたのはいつからだろう____僕はそんな懐かしさに笑みを浮かべた。

そして、気づいた時にはそっと司くんと口付けをしていた。

「んッ、」

突然司くんの舌が入ってくるのに僕は身体を飛び上がらせる。

「んむ…るぃ、んごくなよぉ……」

動くな、と言いたいのだろうか___眉を上がらせるとむぅと怒る。彼は舌を絡ませて、くちゅくちゅと音を鳴らして、僕の頭は次第に真っ白になっていった。

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コメント

2

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本当に書き方も話も好きすぎる 表現の仕方上手いからいつまでも見ていられる 何回も繰り返して見るほど最高すぎる 好きです

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