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(はぁ……長かった……。どこの校長も話長いのは変わらないんですね……。)
長々しい校長先生の挨拶があった入学式も終わり、僕は1人で帰路に着く。両親に一緒に帰るかと尋ねられたが、母はこの後仕事の都合上、直ぐにアメリカに行かなければならない事が、父は会議が入っていることが分かっていたし、何より僕のために時間を割けば割くほど、両親の会社の人たちは困るだろう。敬愛している2人の迷惑を掛けたくはなかったので僕は2人の申し出を断った。ごめんねと2人は僕の頭を撫でたが、僕はそんな言葉が聞きたい訳でもないし、むしろ忙しい中入学式に来てくれただけ感謝していた。
(それに、1人になりたかったし……)
僕は今朝出会った少女のとこで頭がいっぱいになっていた。今朝の態度は褒められるべきでは無い気がしたので謝罪したかったし、何よりもう一度会いたかった。少女が彼女であることを嘘であったと思いたかった。
「はぁ……」
僕は思わず溜息をつく。その時だった。
「あ、あのっ!」
声をかけられ後ろを振り向くと今朝の少女がいた。
「今朝の方……ですよね、?今朝は助けて頂きありがとうございました!」
少女は真面目な子なのだろう。深々と僕にお辞儀をした。
「いえ。当たり前のことをしただけです。頭をあげてください、」
僕はすかさず声をかける。そもそも、こんな人混みで頭を下げられたら何を言われるか分かったものでは無い。
「お優しいのですね、」
そう微笑む少女の顔を見て僕の胸は高鳴る。やはり、少女は彼女で間違いないだろう。愛おしさと共に少しの絶望感が引き起こる。
(あぁ、やっぱり運命は覆せない……)
僕は不安げな顔をしてしまったようだ。少女が心配そうにこちらを見つめる。
「あの、良かったら近くのカフェでご一緒にお茶でもどうでしょうか……?よろしければ、お礼をさせてください、!」
彼女は僕を元気づけようとしてくれているのだろう。その優しさに感謝しつつ、僕は一緒に近くのカフェへと向かった。