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そろそろ奏(そう)ちゃん、シャワーから戻ってくるかな。
ずっと夢見てた初めての体験って…なんかなんか。
今になったら小っ恥ずかしくてまともに奏ちゃんの顔が見られそうにない。
俺は乱れた衣服を直し、帰る準備をする。
部屋から出て一階に行くと、シャワーの音がした。
「奏ちゃん、すまん…」
俺は黙って奏ちゃんの家から出て行った。
俺、何してるんだろう。
せめて奏ちゃんに「帰るね」ぐらい言わなきゃダメじゃん。
この悶々とした気持ちは何なんだ。
せめてメールで帰ったことを知らせておこう。
メールはすぐ既読になった。
奏ちゃん、変に思ったかな?
今までの俺じゃあり得ないもんな。
帰らなきゃ嫌いになるぐらいよ、ぐらい言われなきゃ奏ちゃんの側から離れたくないからな。
奏ちゃん、奏ちゃん。
めっちゃ好き。
でも今のこんな情けない俺は見せたくないの、ごめんね!
俺は家に着くと、自分の部屋に行きベッドに寝っ転がる。
頭の中では、奏ちゃんとの先ほどの行為を反すうしてばかり。
やば…また勃ってきた。
俺は自分の股間に手を伸ばしながら、自慰行為にふける。
奏ちゃん、どんな風に俺の…触ってたっけ。
奏ちゃんの体エロかったな…流れる汗とかもう…。
奏ちゃんの全部が俺の性を刺激する。
奏ちゃん。。
と物思いにふけりながらエッチなことを考えているとスマホの着信音が鳴った。
奏ちゃんだった。
やば。今ちょうどネタにしていたところなのに気まずい。非常に気まずい。。
「もしもし…」
「響、大丈夫?」
奏ちゃんの声。
「ごめん、黙って帰って…」
「どうしたの?具合でも悪くなった?」
「いや、なんというか…」
自分でもわからないこの感情。
どう説明したらいい?
「奏ちゃんに顔見られたくなくて…恥ずかしくて…逃げました」
「なんで見られたくないの?」
「あの…せっくすしろしろと自分でお願いしたわりにすぐイッちゃうし…奏ちゃんに触られるだけで体が熱くなるし…その、俺まだ子供だったなーって。なんかその…情けない俺を見られたくなかったの!」
電話口で奏ちゃんは少し黙った。
「良かった…響に嫌われたかと思った」
「えっ!?何で奏ちゃん、そんな訳無いじゃん!」
「いや…実際えっちなことしたらさぁ…響の思ってたのと違ったのかなって」
「逆、逆。想像以上に気持ち良くて…コレ最後までなんてしたら俺死んじゃうかも」
「響が死ぬのは困るな」
奏ちゃんの優しい声。
「奏ちゃん、でもいつかは最後までしてね」
「考えておく」
「絶対して!あ。そういえば奏ちゃんの方はあの…ちゃんと処理した?俺だけして頂いちゃったから…」
「さっき、響のこと思い出して抜いたよ」
ちょっと…抜いたよってあなた。
奏ちゃんの美しい唇からそんな言葉が出るなんて…。
嬉しくて胸が苦しくなる。
また体が熱くなる。
「奏ちゃん、俺をネタにして一人でしたの?」
「いや…うん…そう…だね…」
奏ちゃんが恥ずかしがっている。可愛い。
「実は俺もいまさっきの奏ちゃんとの情事を思い出して…ひとりでしてました」
「じゃあ、家にいてくれれば良かったのに」
え、奏ちゃん寂しかったの?
「奏ちゃん、会いたい…」
さっきまで会ってたのにもう会いたい。
両思いでも人を好きになるとこんなに苦しいってこと初めて知った。
頭ん中は、好きな人のことで一杯で些細なことで不安になる。
自分で帰ったくせに1秒も離れていたくない。
きっと脳内で変な麻薬成分でも出てんだ。
「響、今から会おうか。どっかで待ち合わせする?」
「行く!」
と俺が言うと、電話口で大きな音が聞こえた。
何かが割れたような。
と、共に「響!」と叫ぶ女の人の声がした。
「どうしたの?奏ちゃん」
「ごめん、響。母親が帰ってきた。夜また連絡するよ」
「うん、わかった」
そして俺は電話を切った。
あの声の主が、奏ちゃんのお母さん?
怒っているような感じしたけど。
あの奏ちゃんのお母さんってイメージじゃないんだよな。
そういえば、両親の仲悪いみたいなこと言ってたな。
奏ちゃん、大丈夫かな。
「奏ちゃん、俺が奏ちゃんの全部守れるように強くなるから」
そんな風に少女漫画のヒーローにでもなったかのように浮かれていたんだ、俺は。
現実は俺みたいな子供じゃどうにもならないことばかりだと、そのうち知るのに。