テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
きっかけは本当にちょっとしたこと。
配信に来たコメントを眺めていたら、気になる文章が目に留まったんだ。
〝初見です。ESアイドルの方ですか?〟
りぃ「初見さんやっほ〜。えーっと……?」
アイドルと間違われることはよくある。
ただ、その単語の前についていた英字が見慣れないものだった。
りぃ「いー、えすって、何?」
疑問が口をついて出ると、今までとは比べ物にならないほどの速さでコメントが流れてくる。
〝知らないのマジ??〟
〝アイドルとか興味なさそう〟
〝私コズプロの___推しです!!〟
速すぎて読めないけれど、どうやらみんな知っている言葉らしい。
〝ensemble square〟
りぃ「アンサンブル、スクエア……? 」
コメントのうちのひとつ。
どうやらこの略称でESと呼ぶらしい。
タイムズスクエアみたいな名前だな。
ブラウザの検索バーにその名前を打ち込んで、エンターキーを押す。
りぃ「なるほどね、そこに事務所があるのか」
四つの事務所のロゴやライブ映像、宣材写真のようなものもヒットした。
キラキラしていて、まるで違う世界みたいだな。
りぃ「ふーん、」
〝りぃちゃんもESオタクなろうよ〟
りぃ「あはは、それも面白そうだね」
そうやって笑った。
笑えてると信じることにした。
りぃ「まぁしばらくは用事が続くし、時間があったら見てみるね」
教えてくれてありがとう、と言えば、コメントの波は徐々にひいていく。
すごい人気だな、ESアイドル。
そんな風に他人事みたいに考えていた。
一件のメールが送られてきたのはその翌日、朝。
『会談日程について』
それは、身に覚えのない会議の予定だった。