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聖魔混合学校。それは魔界と天界が終戦を誓い、建てられた場所だ。全国から悪魔や天使が集まり、互いを分かち合う。
そんな場所に、ボクは今来ている。
(石ころよりも目立っちゃいけない……。平穏に、穏便にしなければ!)
地味なグレーのパーカーのフードを深く被り直すと、神々しくも恐ろしい校門をくぐった。
――――
ドォォォォン!
突如、校内に響き渡る爆発音と雷鳴。
学園のちょうど中心に位置する広大な中庭で、一人の少年が膝をついていた。上級生たちに囲まれ、少年の武器であろう銃は無残に足元へ転がっている。
(……どこが、終戦記念の学校なのかなぁ。)
「名門貴族の貴公子様も、この有様かぁ? 期待外れでガッカリだよ」
上級生のリーダー格が、嘲笑いながら杖を少年に向ける。
「漆黒の魔力が渦巻く禁忌魔法、フレア・ゴースーー」
「リーダーかっこいい!」
「よっ!厨二病!」
味方の声援と共に、呪文が唱えられようとした、その時。
「わわっ!?」
背後から野次馬の集団に突き飛ばされ、体が前へよろけた。その拍子に、視界の隅で誰かが落としたであろう『学園名物!バナナじゃないよ?お餅だよ〜!バナおもち』というふざけた商品名が躍る。
(わぁ! これは……!)
ボクは地面に落ちそうになったお餅を必死に掴もうとして、そのまま床をゴロゴロと転がっていった。
「わわぁぁっ! お餅、お餅がぁぁ!」
爆煙と魔力が渦巻く戦場のど真ん中。食堂の聖母ことサトちゃんが毎日作っていると噂の、バナお餅が宙を舞う。ボクはそれを追いかけるかのようにゴロゴロと回転をする。
「……は?」
虚を突かれたリーダーの動きが止まる。バナおもちは爆風によって、少年に向けられた杖に
……ペタリ。
「うわっ、なんだよこれ! おい、取れな……っ!?」
放たれた魔法がお餅の粘り気に反転し、そのままリーダーの顔面へ直撃した。
ドゴォォォン!!
そこにあったのは、さっきまでの自信満々なリーダーの顔ではなく、日の光を浴びて黄金に輝く黄色い顔だった。
(ボクはいつの間に、、、なんてことをしてしまったんだろう。)
「り、リーダー!! ……くっ、退散だ!」
自滅して倒れたリーダーを担ぎ、上級生たちはクモの子を散らすように逃げ出していく。
「なっ……あえて魔法の発動点を物理的に封鎖し、指向性を逆流させただと……!?」
「しかもあの回転、ただのローリングじゃない。魔力回路の隙間を縫うような神速の動き……何者だ、あのグレーパーカー……!」
静寂の中、爆風で舞い上がった『バナおもち』が、夕日のような色合いでボクの頭にポスッと乗った。