テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
満員電車の揺れの中、らんはいるまと肩を並べて立っていた。
前に立つ男の視線が、豊満な胸元に釘付けになっているのをいるまは気づいていた。
──しかし、それだけではなかった。
ふとした瞬間、背後から指先がらんの背中をなぞり、スッと腰に滑り落ちる。
「……っ」
思わず身を強張らせるらん。だが男はやめない。今度はお尻をゆっくりと撫でまわす別の手が加わった。
「や……っ」
抑えようとした声が、電車の揺れに合わせて小さく漏れてしまう。
さらに前の男が、偶然を装いながら胸に指を触れさせる。
背中、腰、尻、胸──三方向から同時に身体を弄ばれ、らんは逃げ場を失っていた。
「ん……っ……!」
否応なくこみ上げる感覚に、らんは耐えきれず、隣のいるまにしがみついた。
「……らん?」
抱きついてくるらんの震えと熱を察した瞬間、いるまの中で何かが切れた。
男の手が再びらんの尻を撫でた瞬間、その手首を掴み上げる。
「……テメェら、何してやがんだ」
ぎり、と渾身の握力を込める。関節の軋む音が響き、男は「ぎゃっ!」と悲鳴をあげた。
さらに別の男の手も捉え、容赦なく反対方向に曲げようとする。
「痛ぇっ、やめろっ!」
「指が折れる!」
複数の悲鳴が狭い車内にこだまする。
「俺の仲間に触れんな……二度と近寄るな」
怒りで低く震える声に、周囲の乗客まで息を呑む。
「い、いるま……! やめて! もういいから!」
らんは必死に腕を掴み、止めに入る。
荒い息を吐きながらも、いるまはその声に理性を取り戻し、手を離した。
痴漢たちは悶絶しながら後ずさり、完全に戦意を喪失する。
らんは頬を赤くし、胸を押さえながらいるまに顔を寄せた。
「……ごめん……つい、声が出ちゃって……」
「謝んな。悪いのはあいつらだろ」
いるまはきっぱりと答え、らんを庇うように強く抱き寄せた。
混雑した車内で、ようやく痴漢の手から解放されたらんは、まだ少し震える身体をいるまに預けていた。
胸の奥に残る嫌な感触と、守ってくれた心強さが入り混じって、視線を落とす。
「……いるま……あの……」
声を潜め、らんは頬を赤く染めながら問いかけた。
「……もうちょっと、このまま……くっついててもいい?」
一瞬、いるまの目が鋭く光る。だがすぐにため息を吐き、わざと素っ気なく答えた。
「仕方ねぇな。……ほら」
ぐいと腕を回し、らんを自分の胸に押し込む。
そしてさりげなく壁際へと移動し、混雑する人波から守るように囲い込んだ。
狭い空間、他人からは死角になる位置。
その中でいるまは、らんの耳元に口を寄せる。
「……これなら誰にも見えねぇな」
女体化しているにも関わらず低い声が、背筋にぞくりと響く。
らんがきょとんと顔を上げた瞬間──
いるまは視線を逸らすことなく、そっとその唇を奪った。
「……っ……!」
驚きで目を見開いたらんは、すぐに頬を真っ赤に染め、きゅっと瞳を閉じる。
人混みのざわめきの中で、唇が重なり、短くも熱い余韻を残す。
やがて離れると、いるまは至近距離でらんの目を射抜いた。
「……俺だけ見とけ。……他のやつなんか、気にすんな」
らんは胸の鼓動を抑えきれず、小さく頷いた。
「……うん……いるまだけ、見る……」
電車の揺れに合わせて、再び身を寄せる二人。
周囲の視線など存在しないように、ただお互いの温もりだけを確かめていた。
コメント
3件
……最高ですね
ヤバい...いるま先生が世界一かっこよすぎる…女体化してんのに何このイケメンはッッ最高かよッ えー通常の場合、らんらんの身体はメンバー限定なのですがー、今回ゴミみてぇなクソキモ爺により汚されました。メンバーによる消毒をここに提案します。