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僕は小さい頃からコミュ力が皆無だった。
だから、みんなが僕に話しかけてくれても、僕は怖くて返事が出来なかった。なぜかとにかく怖くて。
でも、そんな僕に手を差し伸べ続ける奴もいた。1人だけね。その人のおかげで少しはコミュ障もマシになったのかも。初対面でも、ちょっとした返事はできるようになったからね。ホントに感謝してるよ。いつか恩返ししたいなって。
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「おはようございます。晴 」
「あっ、ハヤト。おはよ〜」
駅で見慣れた顔に出会う。
彼は僕の幼馴染。僕が一番話しかけやすくて、僕に一番話しかけてくれる人。
「私達もついに高校生ですよ〜…」
「だねぇ。時が流れるのってホント早いよ」
ハヤトは保育園からずっと一緒なんだよね。よく僕ん家に遊びに来てたんだ。
「てか、もう出会って何年目だと思ってんの?いい加減敬語やめなよ」
「あはは…なかなか癖が抜けなくて」
まあ仕方ないか。お父さんの跡を継ぐ、みたいなこと言ってたし。
「クラス、同じになるといいなぁ」
「そうですね」
僕は彼がいるから、こうやって学校に行く事ができてる。甘えすぎも良くないけどね…。でも話せる人がいないからさ…。頭の中でそんな言い訳をする。
彼の他にも話しかけてくれる人はいたよ。でも、つまんない返事しか、いや、返事すらまともにできないんだよ。僕。
だからみんな離れていっちゃう。
「ねぇ、ハヤト。ちっちゃい頃さ、なんで僕に話しかけてくれたの?」
電車を待ってる間、ふとそんな疑問が浮かび上がった。
「えっ?急ですね。どうしたんですか?笑」
「うーん…なんとなく? 」
「なんですかそれ!まぁ、そうですね…。家が隣だったので仲良くなりたかったのと、何より、淋しそうだったので…。 」
僕ってちっちゃい頃、そんなに淋しそうだったんだ…。顔に出てたのかなぁ?なるべく明るめに振る舞ってたつもりなんだけど。
「なるほど… 」
「はい。まあでも話しかけてる時、迷惑じゃないか心配でハラハラしてましたよ」
「えっ、そうだったんだ… 」
そんな感じしなかったけどなぁ。
「…めげずに僕に話しかけ続けてくれてありがとう」
「え、なんですか急に!?怖い怖い!明日台風でも来るのか…!?」
「ちょっと!!」
他愛ない会話をしていると。電車の接近放送が流れる。電車にはあまり乗り慣れていないから、ちょっと新鮮。
「乗りましょうか」
「うん」
そう言って彼は微笑む。
僕も微笑み返す。
彼と幼馴染になれて良かった。そう思った。