目の前にいる、王冠を被った青年
長い髪が揺れ、君を見つめる俺に気が付く
「…」
ふと、微笑んだような気がした
俺が立派な大人になった時には、
君はもう王の座に着いていた
だけど君は 喜んではいなかった
「幽閉される、何も言葉を出せない」
力なく笑うその裏に、どれだけの闇が塗られているんだろうか
俺は恐ろしくて 聞くことなんて出来ない
「利口にしないと殺される、逝く前に 次世代を」
良くそんな事を話していたか
今日もまた、彼は玉座に腰をかける
周りの熱い、痛い、鋭い視線を浴びながら
手を振り、
指を出し、
口を動かす彼の仕事は、死期まで終わらない
街で聞く噂
王様が好き勝手やっているらしい。
勘弁にしてくれと。
風評被害も甚だしいな。
あれは部下と呼ばれる彼らに、
動かされてやっているというのに。
なんて残忍な。
人様願う欠片のアイロニ
優しい笑顔を振りまく王
誰もが願う、無機質なような。
数百の書類を睨み 淡々とサインを描き続ける王
一足先に 初めていたいような。先が見えない。
“手付かずの少女”の楽しげな宴。
ならそんな君に、俺からもひとつ
お願いをしようか
新たなお願いさ、他の誰にも言ってはいけないよ
「ねぇ…」
「……」
君は口を閉ざす
愛も変わらず貼り付けられた笑顔は、
何度見ても不気味なものだ
彼の魂は
もうこの世界には居ないのかもしれない
だけど無いの貴方にお願い1つ。
「そこをどいて。」
確かに微かに彼は笑った
絶望から開放されたような笑みだった
彼は悲しんだ
この場所に、お前が来るなと
「っはは」
君の絶望は、全て俺が取り除く
大丈夫、俺は王だ他
の誰よりも強い
君みたいに優しくないから
右や左、どこからともなく飛んでくる野次
歯をむき出し、俺は笑った
なんだか少し 照れくさい
王冠を手にして玉座に座る
決して被らない、これは、彼のものだ。
右や左、冷たい視線が蔓延る
鬱陶しいな、これを浴び続けたら
いつか壊れてしまうだろう。
彼の綺麗な笑顔を奪ったのは、
他でもないこの立場だった。
「…っあはは、ははは!!」
もう絶対
これ以上
奪わせない、触れさせない
「残念だったな下民ども!!」
俺が王だ。
王室の隅で、微かにこちらを見つめる彼
そちらを俺はちらりと見る
「…」
俺は微笑んだ
他の誰でもない、
君の微笑みに似ていた気がした
「…You are King」
俺は呟く笑って、そう、呟く。
彼は小さく微笑んだ。
「…」
_ you were king
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