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「日比谷くん……っ!」
部屋の隅、万年床の上で丸まり、顔を真っ赤にして息をついている彼がいた。
「……あ、お姉さん……。何、不法侵入……?」
薄目を開けた光の声は、驚くほど掠れていた。触れるまでもなく、彼がひどい高熱に浮かされているのがわかる。
「不法侵入なんて言ってる場合じゃないでしょ! 凄い熱じゃない」
額に手を当てると、火傷しそうなほどの熱気が手のひらに伝わってきた。
「……大丈夫、寝れば、治るから……」
「治るわけないでしょ! コンテスト、あと三日なのよ!? あんた、自分の立場わかってるの?」
私は自分の部屋へ走り、救急箱とタオル、冷蔵庫の冷却シートを掴んで戻ってきた。
連日の無理が祟ったんだ。私のために会社と掛け合ったり、ネタを書き直したり……。
光は、私という存在を守るために、自分の限界を削り取っていた。