昼下がりの公園。春風がゆるく吹いて、少しだけ眠気を誘う空気。マサとひかるは、コンビニで買ったアイスとおにぎりをベンチに並べていた。
黒井「ひかる~、やっぱこのおにぎり、梅にして正解だったわ!」
ひかる「え、おにぎりって具でそこまで感動するか?」
黒井「するよ! だって梅って、最後まで味ぶれないし!」
ひかる「そりゃまぁ……分かるけどさ」
黒井はアイスの袋をくしゃくしゃっと丸め、ベンチの隅に置いた。
黒井「でさ、ひかるは何味だったの?」
ひかる「ツナマヨ。王道」
黒井「あ〜〜〜それも良いな〜〜! ひかるの選ぶものって安定してるんだよね。俺、迷って明太子にしようか悩んだもん」
ひかる「食ってから言って」
黒井「ちょっとちょーだい?」
ひかる「やだよ。さっきアイス半分やっただろ」
黒井「えぇ〜〜〜、アイスとおにぎりはジャンル違うじゃん〜〜」
ひかる「いや一緒だよ。俺の腹に入るもんって意味で」
黒井「……名言出た」
ひかる「どこがだよ」
ひかるがおにぎりを頬張ると、黒井は続けて言うと、
黒井「…こういう時間、好きかも」
ひかる「は?」
黒井「なんかさ、何でもないのに落ち着くっていうかさ。ひかると一緒にいると、普通のことがちょっと楽しいんだよね」
ひかる「……」
少し黙って、ひかるは照れ隠しにアイスをひとくち。
ひかる「お前、時々変なこと言うよな。そういうの」
黒井「えへへ〜、たまには褒めてくれてもいいんだよ?」
ひかる「はいはい。……ありがとう」
黒井「!?!?!? えっ今のお礼!? ひかるが!? 俺に!?」
ひかる「うるさい。言わなきゃよかった」
黒井「いやいや、今の録音したかった〜〜!!」
ひかる「ほんとにもう……」
春風がふたりの間をくすぐって、笑い声ごとさらっていった。
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