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自業自得

1 - 第1話

♥

16

2026年03月04日

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妊婦を殺しました 。

突き落としました。マンションの三階で。

静かでした。表情も。音も。

当たりも、人が死んだというのに静かでした。

鳥が羽ばたく音ですら、無かったのです。

いつもは眩しいはずの陽も、今日は、

少しも眩しくなかったのです。

目が痛くなりませんでした。











私には母がおりまして、父もおります。

恵まれています。

私には弟がおります。しっかりとしています。

恵まれています。

友達も2人おります。いつも救ってくれます。

恵まれています。

恋人がおります。愛してくれます。

恵まれています。

学校にも行きました。職場にも行きました。

私が行けないことをすれば、みな怒ります。

恵まれています。

衣食住揃っています。

恵まれています。


母は言います。

「産まなきゃ良かった」

父は言います。

「母さんには黙っていて」

弟は言います。

「関係ない。」

友達が言います。

「お金がほしい。」

恋人は言います。

「愛してる。」

学校では、歩く場所で聞こえるんです。

「頭がおかしい」「異常者」と。

トイレへ駆け込めば、扉を容赦なく叩くのです。

クラスでは教室の端で私の悪口を言うのです。

通りすがりには舌打ちをするのです。

睨みつける目が、後ろ指が、嘲笑いする声が

私の心を蝕むのです。

心の臓が麻紐で雑に結ばれ押しつぶされそう。

水中の中にいるように呼吸が出来ない。

雪のように真っ白のようで、水のように透明で、

瞼を閉じたように真っ暗な視界で。

吐瀉物の匂いが食道を渡り、嗅覚を刺激する。

鼻水で塞がり、その匂いしかしない。

胃の物が逆流し、吐き気に襲われます。

手先の指の震えが止まりません。

周りが2重、3重とぼやけて見えます。一つのものが3つに増えます。

体温が上がっているのに、体の震えが止まりません。寒気が止まりません。寒いのです。

吐いても、吐いても、止まらない。

もう何も出ない。もうやめて。もう出ない。

嗚咽が響き渡ります。涙が止まらない。

くらりくらりと脳がおかしくなりそう。

トイレのドアを叩く音が頭に響く、私の呼吸の音が重なりノイズとなって

私の嗚咽の音がかき消される。

やめてと叫ぶも、音が出ない。声がでない。

怖いこのまま死んでしまうのかな、

死にたいと思っていたから丁度いい。

あぁ、でも、恋人が。家族が、友人が。

いい。そんなの。そんなもの、どうだって、

死んだらもう関係ない。悲しもうが、怒ろうが、

もう何も関係ない。残された人の気持ちなど、

考える必要も無い。死んだら罪悪感もなくなる。

屑だとわかっている。でももうどうでもいい。

私は、正気ではない。

いつから変わってしまったのだろう、

忘れるほど前だったのか。正気ではない。

もう、戻れない。この体も、私も。私以外も。











お願い 、 大きな声を出さないで。

虫が、胃の中で疼くように、イライラする。

力加減ができない、真っ赤。便器が真っ赤に染められる。

なんで、なんで。








くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。くる。










きた。



















ふわりふわりと体が軽い。飛び跳ねれば高く舞い上がる。声が出しやすい。高い声がでる。

くらりくらりと視界が歪む。

飛んでいる。私は高く。飛んでいる。飛んでいる






友人は、異様な目で見てきます。

「お前、」そう言いかけると何かを察したようで

階段や、移動、何をする時も手助けをしてくれます。

私は舞っているのです。踊っているのです。

心が、体が軽いのです。無敵の気がします。

何を言われても痛くありません。

何を言っているのかよく分かっていませんから。

楽しい。楽しい。何故でしょう。

笑いが止まりません。口角が上がり続けます。

当たりがぼやけて、手が震えて。

歩き方が分からない、呼吸ってどうやってするんだっけ?どうやって、話すんだっけ?

私の声ってなんだっけ。

あれ。

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