「 桃 、 おはよ 。 」
気 が 付く と 、 また 俺 は 『 今日 』 を 生きて いた 。
「 赫 、 早く ~ ! 」
「 分かってる 。 」
桃 は 今日 も 笑って いた 。
いつも の 可愛い 笑顔 を 浮かべて いる 。
いつ の 間 に か 、 桃 の 笑顔 は 安心 じゃ なくて 、 俺 に 不安 を 与える よう に なって いた 。
「 観覧車 綺麗 だった ね ! 」
「 そう だ な 。 」
「 次 は … あっち ! 」
「 いい よ 、 行こう ぜ 。 」
何気 ない 会話 。
いつも と 変わらない やり取り 。
でも … 俺 には そんな 事 さえ 気がかり だ 。
その 瞬間 だった 。
「 赫 、 風 s … f … せ … ン … 」
また あの ノイズ だ 。
心なし か 、 今日 は 更 に 不安 を 煽る 。
… は ?
風船 は この タイミング じゃ ない はず だ 。
「 桃 … 風船 、 欲しい の か … ? 」
声 が 掠れる 。
見る と 、 俺 の 指先 が 震えて いる 。
こんな ん じゃ 駄目 な の に … っ …
「 買って くれる の ? 」
桃 が 嬉しそう に 笑った 。
ノイズ は また いつ の 間 に か 消えた 。
桃 の 笑顔 … 後 何回 見る の かな 。
いや … 見られる の かな 。
「 赫 、 風船 の 色 いっぱい ある よ ! 」
「 あ 、 嗚呼 … 」
桃 の 声 で 我 に 返る 。
そう だ 、 これ は まだ 『 今日 』 だ 。
「 … 赤色 が 良い な ぁ 、 」
「 … 何で … ? 」
「 だって 、 赫 が 傍 に 居る みたい な 感じ が する ん だ もん 、 」
また 風船 の 色 が 違う 。
今回 の 『 今日 』 は 、 桃色 でも なく 、 薄紅 色 でも なく 、 赤色 。
俺 の 色 。
… きっと 何 も 関係 ない はず だ から 。
俺 は 赤色 の 風船 を 買って 桃 に 手渡す 。
「 … 離さない よう に な 。 」
「 分かってる って ば ~ 」
桃 は 呑気 に 笑って いる 。
でも その 笑顔 は 、 何だか 『 今日 』 と 違う 気 が した 。
その 瞬間 だった 。
桃 に 子供 が ぶつかった 。
「 いて っ … あ 、 風船 が … ! 」
風船 が 、 飛ばされた 。
… 追い かけ なきゃ 。







