「…落ち着いた?」
『……うん』
いるまの家に着いて、俺のためにわざわざ沸かし直した温かいお風呂に入り、彼の衣服に腕を通せば温かいホットミルクを渡してくれた。
ソファーに腰掛けてコクコクとほんのり甘いそれを喉に流し込む。
いるまは俺の隣に腰掛けて、俺の背中を優しく摩った。反対側の手にはスマホを持っていて静かな空間が広がる。
いるまとは従兄弟で、俺の2個上の18歳で友達のような兄弟のような関係だった。
春から弟と二人で暮らし始めたらしい彼の家は静かで落ち着いた。
彼の弟は既に眠っているらしい。
まぁ日付も変わってるし仕方ないだろう。
ちらっと彼の横顔を見れば、いつもと変わらない表情をしていた。自分を哀れむような顔も、同情に似た優しさを感じさせない彼の優しさにあまえるように寄りかかった。
「ん?どした?眠い?」
『ううん…違う………』
「ん?」
『…ありがとう…って。』
「何回目だよw……別に人間として当たり前の事しただけだし」
『うん、、』
「…不安?」
いるまは片手に握ったスマホをテーブルに置きながら俺に問い掛ける。
スマホにあった彼の視線は俺に変わり、鋭くて優しい瞳と目が合った。
いつもの俺だったらきっと『そんなこと無い』ってへらりと笑ってみせるのだろう。
でもきっと彼には嘘だとバレてしまうし、何よりそんな気力は俺には残っていなかった。
諦めて小さく頷けば、ふぅ…といるまは小さく息を吐いた。
「何を不安がってるか知らんけど、居場所だったらここにあるだろ。」
『…え?』
「母親が退院するまででもした後でも居ればいいよ。どうせお前は一人で全部抱え込むんだから考える場所くらいは提供してやるよ」
『……』
「でも間違った方には行くなよ。何があっても……そんときはぶっ飛ばすからな。」
『うん…ありがと………っ』
悲しいとか苦しいとかそんなんじゃなくて、温かくて優しくて…涙が溢れる。
いるまは「泣きすぎ…w」なんて笑いながらも優しく抱きしめてくれた。
とく…とく…って規則正しい心臓の音が心地よくて、お風呂とホットミルクで温められて泣きつかれた体は少しずつ眠たくなってくる。
少しずつ瞼が重くなって頭がぼんやりとする。
「……寝ていいよ」
優しいいるまの声が頭に心地よく響いて、そのまま彼に体を委ねて俺は目を閉じた。
いるまが居てくれてよかった………
そう強く思いながら。
コメント
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いるまくん優しい…みー。さんの物語大好きです!!続き待ってます!