テラーノベル
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「今日のホームルームは席替えをします。」
先生の一言で、教室がざわめいた。
「やったー!」
「前の席だけは嫌だ!」
「神様お願い!」
みんなが騒ぐ中。
冴は静かに窓の外を見ていた。
(……席替え。)
別に。
誰の隣でも変わらない。
……そう思っていた。
-–
「くじ引いてくださーい。」
前から順番にくじを引いていく。
奏斗が開く。
『B-4』
「よし、真ん中か。」
続いて冴。
紙を開く。
『B-3』
「……。」
一つ隣。
「え?」
奏斗が紙をのぞき込む。
「また隣じゃん!」
「……ほんとだ。」
「運命じゃない?」
「違う。」
「即否定。」
「偶然。」
「その偶然、好き。」
「……。」
冴は顔をそらした。
でも耳だけは赤かった。
-–
「席移動してくださーい。」
ガタガタと机が動く。
奏斗は自分の席に座ると、隣を見る。
窓際。
冴が静かに教科書を並べていた。
「石川。」
「ん?」
「またよろしく。」
「……うん。」
その返事だけで、奏斗は笑ってしまう。
*.꒰ঌ𝕐𝕦𝕚𝕜𝕒໒꒱.*
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*.꒰ঌ𝕐𝕦𝕚𝕜𝕒໒꒱.*
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#オリジナルキャラ含む
Luna Emma
110
-–
休み時間。
「神崎くーん!」
女子が話しかけてくる。
「今度の数学教えて!」
「いいよ。」
「ありがとう!」
そのやり取りを、冴は何気なく見ていた。
(……。)
(人気あるな。)
別に。
それだけ。
……のはずだった。
「石川。」
「?」
「消しゴム貸して。」
「……はい。」
奏斗が笑って受け取る。
「ありがと。」
「……。」
その笑顔を見た瞬間。
さっき胸にあった、もやもやが少しだけ消えた。
(……なんだ。)
(これ。)
-–
昼休み。
「神崎。」
「ん?」
「数学。」
「?」
「教えるんでしょ。」
「ああ、さっき?」
「放課後ちょっとだけ。」
「そう。」
それだけ聞いて、冴はお弁当を開いた。
でも。
箸が少しだけ止まる。
「石川?」
「……。」
「今日、卵焼きない。」
「え?」
「いつもあるのに。」
「母さん寝坊した。」
「そっか。」
奏斗は自分のお弁当を見た。
「じゃあ。」
卵焼きを一つつまむ。
「はい。」
「?」
「俺の。」
「いらない。」
「なんで。」
「神崎のだから。」
「だから。」
「半分こ。」
「……。」
冴は少しだけ迷ってから。
「……一個だけ。」
受け取る。
「おいしい?」
「……うん。」
「よかった。」
-–
放課後。
約束通り、奏斗は女子に数学を教えていた。
冴は図書室へ向かう。
でも。
いつもの席に座っても、本を開いても。
ページが進まない。
(……。)
(まだかな。)
時計を見る。
十七分。
二十二分。
二十六分。
「……。」
気づけば、本を閉じていた。
「今日は集中できない?」
図書委員が笑う。
「……少し。」
そのとき。
ガラッ。
「石川!」
聞き慣れた声。
「ごめん!」
「遅くなった!」
冴は思わず立ち上がる。
「……神崎。」
その声は、自分でも驚くくらい嬉しそうだった。
「待った?」
「……。」
少しだけ沈黙。
「……少し。」
初めて。
冴は嘘をつかなかった。
奏斗は目を丸くする。
それから、ふっと笑った。
「ありがとう。」
「待っててくれて。」
「……。」
冴は照れ隠しに本を開く。
でも。
文字は一つも頭に入ってこなかった。
-–
帰り道。
夕日が二人の影を長く伸ばす。
「石川。」
「ん?」
「今日さ。」
「待っててくれたの。」
「すごく嬉しかった。」
「……。」
「だから。」
「今度は俺が待つ。」
「え?」
「石川が遅くなる日があったら。」
「絶対帰らない。」
「……。」
冴は小さく笑った。
「約束?」
「約束。」
そう言って、奏斗は小指を差し出す。
冴は少し困った顔をしてから。
そっと自分の小指を重ねた。
「……約束。」
指が触れたのは、一瞬。
それだけなのに。
二人とも、その日一番心臓がうるさかった。
コメント
1件
第十五話「席替え」読み終えたよ〜!!また隣になるとか運命すぎるでしょ😭💕 冴が「嘘をつかなかった」ところとか、卵焼き半分こ交換するところとか、小指の約束のシーンとか…もう全部エモくて胸がギュッてなった🥺 奏斗の「待っててくれてありがとう」に冴が照れる感じ、尊すぎて倒れるかと思った! この二人の距離がじわじわ縮まるの、ずっと見てたい。続きめっちゃ気になる! 風花さん、素敵な更新ありがとう🌸