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第8話「近すぎだって、バレるだろ」
朝。
教室入った瞬間、ちょっとだけ空気がおかしい。
(……ん?)
「あっきぃくん、おはよー」
「おはよ」
返しながら席に向かう。
でも、
(なんか見られてる?)
視線、ちらほら感じる。
原因はすぐわかった。
「ぷりっつく〜ん!」
女子に呼ばれてる。
「なんや」
普通に返してるけど、
その距離。
(近いな)
別におかしくはない。
普通の会話距離。
なのに、
(昨日のあとだと無理)
頭の中に浮かぶのは、
教室でのあの距離。
(あれ見られてたら終わりだろ)
「あっきぃー?」
「ん?」
呼ばれて振り向くけど、
気づけばまたぷりちゃん見てる。
笑ってる。
普通に。
(……この笑顔、他のやつにもするんだな)
ちょっとだけ、面白くない。
「なああっきぃ」
「何」
横に来たまぜ太。
「お前さ」
「ん?」
「最近わかりやすいぞ」
「何が」
「お前の視線、」
「……は?」
「ずっとぷりちゃん見てる」
「見てないけど」
即否定。
でも、
(見てるな)
自覚あるのが余計にまずい。
「しかもさ」
まぜ太が少し声落とす。
「距離、近すぎ」
「……普通じゃない?」
「いや、普通じゃない」
「昨日もさ」
「っ」
一瞬、固まる。
「教室戻ろうとしてドア開けたらさ」
「……うん」
「お前ぷりちゃんと、」
「……」
「キスする距離だったぞ」
(終わった)
「いや、別に」
「まあいいけど」
まぜ太がちょっと笑う。
「バレるぞ、そのままだと」
「……」
何も言えない。
「気をつけろよ」
軽く肩叩かれて、離れていく。
(……気をつけろって言われても)
視線がまたぷりちゃんに行く。
ちょうどこっち見て、
目が合う。
「……」
一瞬、止まる。
昨日と同じ空気。
でも、ここ教室。
(やばいな)
少しだけ視線逸らす。
でも。
(近づきたい)
無意識に、立ち上がってる。
「ぷりちゃん」
「なんや」
近づく。
「ちょっと来て」
「またかよ」
言いながらも来る。
でも今回は、
「どこ行くん」
「……ここでいい」
教室の端。
人はいる。
でも少しだけ死角。
「何やねん」
「ちょっとだけ」
距離、詰める。
「ちょ、近いって」
小声で言うぷりちゃん。
でも離れない。
「……昨日のさ」
「言うな」
即止められる。
「なんで」
「ここ教室やぞ」
「だから?」
「だからちゃうわ!」
でも、
顔、少し赤い。
(やっぱり)
「ねぇ」
「なんや」
「今なら、誰にも見えないと思う?」
「は?」
少しだけ、さらに近づく。
「っ……お前!」
焦った声。
そのとき。
「ねえあっきぃくーん」
後ろから声。
ビクッと距離離れる。
振り向くと、クラスの女子。
「今ちょっといい?」
「……うん」
普通に返す。
でも内心、
(今の見られてないよな)
ちらっとぷりちゃんを見る。
そっぽ向いてる。
でも耳、赤い。
(……やばいな)
めっちゃ可愛い。
女子と話しながらも、
頭の中はそればっか。
「でさー、この問題なんだけど」
「あー、そこは——」
説明しながら、
(ほんとに気をつけないと)
さっきの距離、
あと一歩でアウトだった。
(でも)
少しだけ、視線向ける。
ぷりちゃんが、こっち見てた。
すぐ逸らされる。
(……可愛い)
思わず少し笑う。
「え、なに?」
「いや、なんでもない」
放課後。
「あっきぃ」
「ん?」
帰り際、ぷりちゃんが小さく呼ぶ。
「さっきのやつ」
「どれ」
「教室での」
少しだけ間。
「やめろや」
「なんで」
「バレるやろ!」
真剣な顔。
「……でも」
少しだけ声小さくなる。
「ちょっとだけやったら」
「え」
「だ、誰もおらんときならええけど…」
そっぽ向いてつぶやく。
「……」
一瞬、止まる。
(それって)
「許可出た?」
「出してへん!!」
すぐ否定。
でも、
「……まあ、ちょっとだけなら」
小さく付け足す。
(やば)
思わず笑う。
「なに笑ってんねん」
「いや、嬉しい」
「うるさい!」
顔赤いまま歩き出す。
その隣、ついてく。
距離は、
やっぱりちょっと近い。
(……バレるのも時間の問題かもな)
でも、
(まあいいか)
そう思ってる自分が一番危なかった。
コメント
4件
最高やなんやけど!
かわいい!!かわいい!! akくんも自覚あって詰めてくの最高👍