眠れぬ夜はきみのせい
夢主(心の声)
「大怪獣……もとい、糸師凛に新作ゲームのテストプレイデータを押収された哀れな夢主の未来はいかに……。」
「次回、大怪獣夢主タウンを破壊!超ご期待!」
「何くだらないナレーションしてんだろ…」
(ベッドに倒れ込む夢主)
夢主
「まぁ、あの人めんどくさがりそうだし……バグなんてそんな見つけてこないでしょ?」
「さぁ、寝よ寝よ!!」
(部屋が静まり返り、夢主がうとうとし始める)
♪♪♪(スマホの着信音)
夢主
「ん?なんか鳴ってる気がする……。」
(目をこすりながらスマホを探す)
「太陽が沈んで良い子は寝る時間だから……良い子の夢主ちゃんは寝ないと……。」
♪♪♪(着信音が止まらない)
夢主
「え、ちょっと待って……フルコールまでかけて切らないうえ、鬼電ってしつこっ……てか怖くな
い?」
(怒りながら電話に出る)
夢主
「はい!もしもし!!」
糸師凛
「おい、テメェ、出るのが遅ぇ。」
夢主
「……モウシワケゴザイマセン。どういったご用件でしょうか?」
(小声で)「わー……こんな時間に鬼電してくるなんて、迷惑すぎでは?……。」
糸師凛
「聞こえてるぞ。」
(淡々と)「おい、この扉……開錠しても開かねぇぞ。」
夢主
「え?……あ、それB-LKエリアの監獄の扉?」
糸師凛
「ああ。強化選手への招待状を入手してから扉を開けたが、そこからモーションが止まって動かなくなった。」
夢主
「あー、それは扉の開閉タイミングがゲーム内でズレたんだね。たぶん、処理の優先順位がバグってる。」
(PCを操作)
「はい、修正完了!どう?」
糸師凛
「おぉ!開いた!監獄に入れたぞ!」
夢主
「よかったー!またバグがあったら教えて!じゃあ、おやすみ!」
糸師凛
「ああ。」
(電話を切り、ベッドに戻る夢主)
夢主(心の声)
「意外とスムーズにバグ修正できた……。」
「しかも怒られなかった……?」
「意外と悪くないかも……。」
(♪♪♪再び着信音が鳴る)
夢主
「は、はい……。」
(目をこすりながら電話に出る)
この人何時だと思ってるんだろ……。
糸師凛
「おい!監獄の青いゴールキーパーの動きがおかしいぞ!」
「ゴールネットに自分から飛び込みを繰り返してる!!」
夢主
「あー、それ、AIの移動範囲が制限されてないんだね。つまり……ゴールキーパーがゴールを自分の家と勘違いしてる感じ?ちょっと待ってね!」
(PCで修正作業をする)
夢主
「はい、これで直ったと思うよ!どう?」
糸師凛
「ああ、ちゃんとボールを止め始めた。」
夢主
「よかった!今度こそおやすみ!」
(♪♪♪またも着信音が響く)
夢主
「嘘でしょう……嘘だと言って…
新人時代1週間デスク下で寝泊まりした時代を思い出して、ノイローゼになりそう……。」
(疲れ切った声で電話に出る)
「はい……。」
糸師凛
「おい!選手がゾンビにステーキを与えてるぞ!」
「世界観的にどうなんだ?」
(プツッと夢主の何かが切れる音)
夢主
「糸師くん……今、何時だと思ってるの……?」
「どこのブラック企業よ……。てか、君は学生でしょ、寝ようよ!」
「それ、バグじゃなくて仕様なのよ!!」
(電話を強制的に切る)
糸師凛
「(切られた)……。」
(少し間を置いて)
「寝るか。」
夢主(心の声)
「……今度こそ……寝られる……。」
あとがき
凛君は性格的に、
電話をかける時は、
フルコールかけて、
尚且つ相手が出るまで鬼電する気がします笑
自分の好きなものに関しては、
ものすっごく執念深く取り組むと思うので、
ゲームのデバッグとか意外と得意な気がします。
ゲームに年相応に夢中になる無邪気さをかきたかったんですが、
ちょっとネタぽくなってしまいました。
仕様にまで口を挟むのは、きっと彼なりの愛ゆえです。
補足
ディスクパッケージを凛に渡す描写がありましたが、
ビジュアルチェックようのディスクになるので中にはDLコードが入ってます。
それを、凛がダウンロードして、夢主がリアルタイムデバックツールを使って、即時バクを修正しています。
物語の中で夢主が驚異的なスピードでバグを修正していく描写がありますが、
これはあくまで物語の設定上可能なことです。
実際のゲーム開発では、
バグの修正には以下の手順が必要で、
こんなにすんなりいかないみたいです!
• 問題を再現
• 原因を特定
• コードを修正
• テストを行い、問題が解決したことを確認
• 修正版を再ビルド・デプロイ
実際には、これらの工程が何日、
何週間もかかることがあるみたいです!
ゲーム作ってる人は本当にすごい!!
今後技術が発展すれば可能かもですか、、、
夢主が使用しているデバッグツールは、
未来的な技術や独自に開発されたものを設定として描いています。
リアルタイムでバグ修正を 行うことは非常に難しく、
専用のツールや技術的な工夫が必要になるみたいです。
この物語では、夢主の天才性の表現と 物語のテンポを優先した演出として描写してますので、あしからずでございます。