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私ももうタヒねるわ
どうも
しばらく色々放置してました
🦀✖️🐱
続きです!幸せハピエン!
ーrt sideー
よお、みんな。元気しとる?俺、今心臓バックバグ。
その理由はな、キヨくんにいきなり食事に誘われたかと思えば、行き道でばったりと会ってしまった。
その雰囲気からして、ちゃんとした主人格のキヨくんだと思う。あっちも結構驚いてたけど、一緒なら迷わず行けると言ってくれたから。
「(ひー!!ちかいっ、近すぎるっっ)」
キヨくんな、今さっきまで来ていた服とは違う服着てんのよ。それが大人びててTシャツの俺は結構浮いてる気がする……。着替えてきたらよかった…。
「あそこの居酒屋、全部のメニューが美味しくって、本当におすすめなんだよな〜!たとえば、あれとか……」
なんか色々話してるけど全然耳に入ってこん。やばい、本当にすぐ横にいるって考えると…心臓破裂しそう…。
結局あの後1人になってから考えたし、たくさん調べた。その、解離性同一障害について。昔の強いトラウマなどから自分を守るためにつくりだした…みたいな。きっと彼も色々あったのだろう。
でももし、俺が横にいて、その不安を紛らわせたら…とか。…みんな薄々気づいてたと思うけど、俺はキヨくんが好き。likeじゃなくってLoveのほうな…。自分で言ってて恥ずかしくなるわ。
「〜でさ!…?レトさん?」
「っあ!はい!なんでしょう!」
「あははっ、なにそれ?まあいいや!でね、今さっきの続きなんだけど〜」
「う、うんうん」
…よかった!バレ、バレてないっ!
でも結構マイペースやな…もしかして入れ替わってるとか?いや、それはないか?
「…気づいた?そう、俺Cだよ」
「え、そうなん?そんな簡単に入れ替わるん?」
いや、そんな驚かんかったんのもおかしいかもやけど…それよりもそんな簡単に入れ替われることに驚いた。なんか、気を失って…みたいな感じでわかりやすいんかと思ってた。
「んふふ〜、びっくりした?するりとかわってあげましたよ〜!」
「へ、へぇ。すごいなぁ…」
すごいなぁ、なんか。かわいい。今さっきの紙に書いてた人格、C?かな。マイペースって書いてか気がする。
「早く行こ!大丈夫、主人格はすぐ返すから。ちょっと気になって出てきただけだから!!」
「は、はぁ、」
「(これがキヨの好きな人か〜!いいじゃん!俺も一回見たことあるけど、結構かわいいし)」
「?」
「んー?いーえ、お気になさらず!!」
「あ、うん」
なんだろ、すごい見られたけど。なんかおかしいかな…変かな。ちゃんと整えたはずなんだけど…。
「…」
「…あ、ここやっけ。へー!こんなとこになったやね。初めて知ったわ」
「あ、はい…すみません…」
「ん?いや別になんも責めてないんやけど…」
「…ぁ、ごめんなさい、…すいません」
「いや、本当に大丈夫?…あ、もしかして代わった?」
「…………はい」
お、あってた。…この感じ、Dくん?かな。確か自傷癖があるとかなんとか…。ちょっと怖いかも。
「…すいません、またすぐかわるので、ごめんなさい、こんな自分で…」
「いや、いいよ。それより入ろっか。ここにいてもいいことないからな」
「はい、ありがとうございます…」
「(やさしい、にがてじゃないかも。キヨ、いい人選べてる…)」
「?どした?」
「いえ、べつに…」
場所は変わって店の中、端の席。
「レトさ〜ん!!飲まないの〜?お酒美味しいよ〜?」
「ちょ、離れてや、ちかい…」
「え〜、いいじゃん?このままちゅーしてあげようか?」
「調子のんなや」
「ひひっ、こわ〜!」
そう、みなさんお気づきなのだろうけど今、俺はB?あの尻軽野郎に絡まれている。うざい、何度も説明してんのにお酒勧めてくる。俺、やっぱこいつ無理かも…。
「は〜っ、レトさんまじで面白いわ〜!」
「…そりゃどうも。…それよりキヨくんは?まだ?」
「ん?あー、無理やり代わったからな〜?まだ起きないかも」
「なに、無理やりって…」
どうやら彼の話によると、元々Dが戻った後キヨくんが出てくるはずなのにBが無理やり殴って代わって出てきたらしい。殴った、に関してはよくわからなかったものの、まあそういうことらしい。
「いえ〜い!楽しんでる〜!?」
「…はいはい」
「ん?わ、ちょ、」
「?なに」
「………」
「まじ何?」
「…っは!レトさん?あ、ごめん、また入れ替わってた?!しかも、盾代わりに…わー!!本当にごめん!!!」
「うおっ!あぁ、キヨくんかぁ、びっくりしたぁ、」
「ごめんねぇ、レトさん…まじで気をつけてるんだけど…Bすぐ殴ってくっから。強くってさぁ…ごめんね、」
「いやいや、しょうがないやん?それより食べなよ。お酒も好きなんやろ?」
「?あ、いやお酒はそこまでかな…。しかもこんなに飲んでるなんて…あー、禁酒中だったのに…」
軽く項垂れている彼を横目にあらら、と一つ言うとカルピスをぐびっと飲んだ。Bを苦手と言っても嫌いというわけではない。…まあべつにすごい好きってわけでもないんだけど。
「レトさーん、なんか自覚したら酔い回ってきたかも…きつい…」
「ぅおっ、」
ぽす、と俺の肩に小さな頭が寄りかかってくる。…本格的にちかい、やば、いい匂いするんだけど。しかもちょっと目、潤んでてかわいい、うぅ、だめだ!自分に勝て、!
「今日レトさんの家行きたいなぁ、だめ?」
「うえっ!?!?!」
「うおっ、声でか。…やっぱだめかぁ…」
大きな声を出した俺にぷぅ、というように頬を膨らますと今にも泣き出しそうなほどに大きな瞳がより一層湿った。
「やっぱ信用なんない?俺じゃだめ?うぅ、やっぱだめなんだぁ…」
勝手に自己嫌悪に陥って髪の毛をくるくると回すキヨくんは酒のせいかやけに素直になったようで、…うん。
「…いや、ぜんっぜん嫌じゃないんやけど…うち汚いよ?」
「まじんこ?!だいじょーぶ!俺そんなん全然気にしないから!むしろ行きたーい!」
「じゃ、あ…もう出る?」
うん!とぱぁっ、と顔の周りに花を飛ばす(幻覚であろうが)光景はなんだか…見たことあるような…
「(もしかして、Cくんとか…)」
まあ、これには引っかかったふりでもしてやろう。面白そうだし。
お金は奢らせてもらって(結構キヨくんは渋ったけど)店を出た。心地いい夏特有の夜の風が頬を撫でる。
〜ky side〜
「(うひひ、バレてないなぁ…もう少しバレないでおくれよぉ!)」
よーみんな!俺はCなんだけどさぁ…
今ね、キヨが勇気出ないから〜!ってことで家に招待していただけるかって交渉してやったってわけよ!Bが出てきたのはちょっと計算外だったけど上手く行ったし!
まーあ?俺の酔っ払い色気飛ばし作戦が無事成功してくれたみたいで?もちろんうまく行きましたが?
バレてないし。バレてないし〜!
ふふふ、今はと言いますと!
「最近ハマってるゲームがさぁ、こんなのがあって」
「うんうん!へー!こういうの好きなんだ、レトさん」
レトさんのゲームの話を延々と聞いております。
いやさ、もちろん嫌なわけじゃない。
そうじゃないけど…そうじゃないんだけども!
俺、キヨとは違ってゲーム大好き人間じゃないのよ…泣
キヨだったらもっと上手く反応できたかもだけど俺はそんなにこの分野は詳しくないし、それよりもかわいいものしか興味ないから!
ごめんけど、変わって欲しいよ〜!!泣
そんな心の叫びが顔に出ていたのか、目を瞑っていて、それからすぐ開くとレトさんの顔が目の前に。ビクッとして肩を揺らすと、遠慮がちにレトさんが口を開いた。
「あの、ごめん。キヨくん?なの?今」
「へっ!あ、あは、えっとぉ…」
「別に嘘つかんくていいよ。俺だって薄々気付いてたし」
「…え、ええっと、その、C…デス…」
「お、やっぱり、当たり。その、失礼やけどキヨくんに変わってもらったりとか…?」
「あ、あ!もちろんもちろん!ちょっと待ってよ〜…」
よかった、助かった。
とかなんとか思っててもレトさんを待たすのは悪い。どれだけ主人格が拒否してもこれからのことを考えると背中を強く押すことしか俺にはできない。
“がんばってね、俺のためにも”
体を受け渡して、あとは託す。
だって、これ、ぜーんぶキヨのためだからね。
〜rt side〜
なんだか今さっきから『今はどの人格でしょうかクイズ』みたいになって、当てては変わり、当てては変わりの繰り返しのようになっていた。
「(実のところキヨくんといっぱい話したいけど…まあ楽しいし)」
これを遊び程度だと思い、キヨくんが出てきたら本格的にちゃんと話す。今まで関わってきた人とは違う感覚に戸惑いつつも、新鮮で楽しいとまで思っていた。
「レトさんが今さっきから言ってたゲームだけど、体験版出たの知ってる?俺早速してみたんだけど、ちょー楽しくって!まだしてないならまじでプレイしてみて欲しい!めっちゃ面白いから!」
真っ直ぐな瞳でキラキラと表情を輝かせながら幸せそうに熱弁するキヨくん。耳を傾けながら相槌を打っていると、キヨくんが「あ、」と呟いて、口をつぐんだ。
「…ん?どした?」
「いや、今さっきから俺ばっかり話しちゃって…レトさん楽しくなかったかなぁって…その、ごめんなさい…」
輝いていたはずの顔を俯かせ、眉を下げて手元をいじる。いきなりの変わりようにまた「誰かに変わったのか?」という疑問が。
「…変わった?」
「ん、いや。これは俺。その、申し訳ないなぁって思って…」
ちらり。可愛らしく上目遣いで前髪から隠れた瞳を覗かせると目線を足元まで落とした。
一連のこの動きに釘付けにまでなり、足までも止めてしまった。
「…?レトさん?」
俺よりも低めの声だが、酒のせいか発音も甘く、少し高いとまでも思う。
「いや、かわいいなぁ、って思っ…」
「…ぇ」
そこまで言って自分の発言に気がついた。
うぇ、待って、俺、今…
「かわいい…?」
キヨくんは顔を真っ赤にするとぐるぐると目を回したようにその場にへたり込んで顔を手で隠してしまった。
「え、あ!ごめん、嫌やった?!ごめん、そんなつもりは…」
「いや、そのぉ、う、うれしいんだけどぉ、…そんなドストレートくるとは思ってなくって…」
くぐもった声で真っ赤になった頬をチラチラ覗かせながらわかりやすく大きな息を吐いた。
「…レトさんだって、かわいいし、優しいし、頼りない時もあるけど、でもかっこいいし、鼻声だし…」
「ちょっと違うの紛れてない?」
「っふふ、そういうところもすっごい…好き」
「うん、好き。………………好き?!」
「驚きすぎでしょ…へへ、でも本当」
いつのまにか顔を覆っていた手はどけられ、顔を支えるようになっていた。
それでもやっぱり顔は赤いしどこか潤んでいる瞳は真っ直ぐ俺を捉えている。
「あのさ、初めて気にかけてくれたあの日から、いや、挨拶をしてくれたあの日からずーっと、ずうっと大好き」
「…ぅ、あ、ぅ」
「ふふ、恥ずかしい?」
俺も多分同じくらい顔を真っ赤にしてその場にへたり込む。
キヨくんはこっちをみてるけど、俺はまともに見れやしない。
大人なのはどっちだ…
「ね、返事、くれないの?」
「…………はぁぁぁぁぁぁああっ、ほんっと、それ、ずるいわぁ…」
「あはは、なにそれ。」
楽しそうに笑うキヨくんは他人事みたいに振る舞うけど、たまったもんじゃない。
「…………きよくん」
「なに、れと、」
こちらを向いた彼に、優しく唇を合わせる。
恥ずかしいけど、それでも伝わるかなって。
「…ふぇ、?」
「ふっ、間抜け顔」
笑って見せたけど、多分余裕ない。
「返事、伝わった?」
「……意地悪いなぁ…でも、言葉にしてよ?」
「そっちだって」
頬を紅潮させながらもニマニマとした顔で見つめてくる彼に堪らず、俺は頬を包み込んで、真っ直ぐと顔を見つめた。
「へぁ、」
「好き。初めて会った日、挨拶してくれた日、俺を気にかけてくれた日、病室で会った日、今さっきのキヨくんも。全部キヨくんじゃなくっても全部、愛してる、大好き」
ぶわぁぁぁぁあっ!という効果音がつきそうなほどに赤面させるとぷすぷすと湯気を出す勢いでキヨくんは目をぐるぐる回らせた。
「ずるぃぃい、ずるいよぉ、れとさぁん…ぐす、俺も、そんぐらい、だいすきぃ…うぅ、」
ついには泣き出し、ボロボロ月に光を反射させながらガラスのように綺麗な涙を溢した。
あまりに綺麗だけど、やっぱり拭いてあげようかな、とか思って優しく涙を拭った。
ぐじゃぐじゃな顔で俺を見つめると、へにゃへにゃと幸せそうに笑うキヨくん。
「……月が綺麗ですね」
「…私、死んでもいいわ…ってね、へへ、」
こんなキザなセリフだけど、キヨくんは大真面目に、少し恥じらった様子で答えた。
たとえ、君が何人でも、どこか違ったとしても全てを愛すよ。
「キヨくーん、これあっちに持ってって」
「はいはーい。これは?これもあっちでいい?」
「うん」
今、俺たちは同棲に向けて引っ越しの準備をしている。
あの夜からお付き合いをキヨくんとしだした。
それからお互いの部屋に泊まり込んだり、一緒に寝たり…まあそれなりのことはした。
そして、何度も何度も入れ替わりを経験して、今誰なのか、どんな性格なのかさえも全てを覚えてしまったくらいだ。
昔のことも聞いて、それも受け入れて。お互いを理解し合った結果、幸せになれているというわけ。
でも最近は、その人格たちさえも出てくることはあまりなくなってしまって、なんだか寂しささえも覚えたくらい。
「(まあでも、キヨくんと一緒にいれるだけで幸せだけど)」
ダンボール箱にガムテープを貼り付け、マジックで『写真』と書きつける。この箱の中には文字通り今まで撮ってきた写真を収めている。たくさんの人格と、キヨくんと言った旅行先とか、デート先とか。とにかくいっぱいの写真で埋まっており、持っているのもきついくらいに重くなっている。
「レトさーん。こっち終わった〜」
「ありがと」
「…ふー。なんか、寂しくなるね」
「一緒に暮らせるんやしいいやろ」
「いやいや!そうは言ってもよ!ここで俺たち出会ったわけだし!なんか思い出いっぱい詰まってたのに、残念というかなんというか…」
「…ま、そうやけどね。俺はキヨくんといられるだけで幸せ」
「…いきなりぃ…。俺もだけどさ…」
いつも通りの真っ赤っかな顔で反論するキヨくんの頭をくしゃくしゃ撫でて優しく触れるだけのキスをしてやった。
「ありがと、お疲れ様」
「…もー、…なんか飲む?」
ぶすっとした顔だけどどこか嬉しそうな顔でキヨくんは俺に尋ねた。ジュース、なんて生意気に答えるとキヨくんは困ったように笑い、ペシっと俺の頭を叩いた。
「これっ!ないの知ってるでしょ!」
「ごめんごめん。水でええよ」
「ん、おっけ」
去っていく後ろ姿に、逆光が差し掛かり、まるで天使のよう。
「(なんか、みたことあるんよね)」
じっとみているといきなりキヨくんが振り返り、無邪気に笑う。
「レトさん!」
憎めないその無邪気さに心を悩ませながら、立ち上がる。
「はいはい、どしたん」
これは少し変わった君たちとの思い出でした。
兄がうらやまです。183cmの56kgらしいです。憎みます。