続きからです!
第2話
「おーい、りうらー! 置いてくなって!」
授業が終わり、教室を出ていく赤髪の背中に、ないこの声が響く。
「うっせぇな、ちょっと購買寄るだけだっての」
りうらは肩越しに振り返りながら、照れくさそうに笑った。その足元に、ないこは自然と追いつく。
「今日ってメロンパン入荷する日だっけ?」
「そう。前に言ってただろ。昼休みは売り切れてたし」
「相変わらず執念深ぇな……」
そんな他愛もない会話を交わしながら、ふたりは校舎の端にある購買部へと向かった。
だが購買部前に着くと、すでに行列ができていた。
「うわ、出遅れた」
「ほら見ろ、のんびりしてっから」
ないこがりうらの背中を軽く小突く。りうらは舌打ちしながらも、その手を払おうとはしなかった。
そのころ、校舎裏では――
「いふくん、帰らないの?」
ほとけがそう問いかけると、いふはベンチに座ったまま空を見上げた。
「もう少しだけ、ここにいようぜ」
「うん……」
いふの隣に腰を下ろし、ほとけもまた空を仰いだ。風が春の匂いを運んでくる。
「お前さ、また図書委員やるの?」
「うん、たぶんね。今年も静かな時間が欲しいから」
「……俺、何委員にしようかな」
ほとけはそれに答えず、ただ「ふふっ」と笑った。
その頃、屋上には再び初兎と悠佑の姿があった。
「やっぱり、ここ落ち着くね」
「騒がしい下より、よっぽどいい」
悠佑は風に髪を揺らしながら、フェンスに寄りかかっていた。
「この前も言ってたけど、悠くんってほんとに人混み苦手なんやな」
「俺は昔から変わらんよ。お前がそれに付き合ってくれるから、助かってる」
「……うん。僕も、ここにいる方が好き」
目が合うと、初兎はすぐにそらした。
風が、ふたりの沈黙を包んでいく。
購買部を出たあと、りうらは袋をぶら下げながら、ないこに言った。
「なんだかんだ、今日は悪くねぇな」
「メロンパン買えたからか?」
「……それもあるけど」
そのとき、昇降口の前で偶然、他の4人と合流した。
「やっぱ全員で帰るの、いいな」
そう言ったのは、初兎だった。
「……だな」と、悠佑がうなずく。
6人は並んで校門を出た。夕焼けの下、それぞれの心に芽生えた小さな想いを、まだ誰も言葉にはできずにいた。
(第2話・終)
コメント
6件
言葉選びが天才だ、、 青春ッッ!=神ッッ! 投稿がんばれ!
言葉選びやばいーいーよー(?) うちもリア充なりたい!!(そういうことではない)
天才すぎる 青春めっちゃしてるしいいな