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今は12月。風もふいて寒い中治と帰り道を歩いていた。
「はー 寒 、」
思わず声に出し、自分の息で手をあたためた。
手袋持ってくればよかった 、
なんかあったかいのないかな …
「ねぇ治 、カイロとか持ってない ??」
「え ~ そんなんあらへんよ」
「まーだよね、、」
続けて治が「角名寒いん??」と聞いてくる 。
いや寒いだろ今日ほんとに。
「寒いけど」と答えると治はずっとこっちを見てくる。
俺の口から「何」という言葉が出る前に
治の手が自分のほうにのびてきた 。
「…え 何 ?」
「何って…角名が寒い寒い言うとるから」
「この手は」
「手。繋いだらあったかくなるやろ」
え、何ほんとに。そういうの好きな女の子とかにやるもんじゃないの?
とりあえず俺には理解できなくて固まってしまった。
「ん。」
治が俺の手をとって自分の上着のポケットに入れた。
「は、ちょ 」
混乱する俺をみた治はふふ、と微笑み
「俺の手意外にあったかいやろ?」
と笑う。
別に恋人でもあるまいし何でこんなこと…。
治は誰にでもこういう事をしているのだろうか。
そう思っていた事が顔に出ていたのか治が
「どうしたん?」って俺に聞く。
いや、どうしたっていうかさ…
でもほんとうに治の手は暖かかった。もともと 体温が 高いのも あると思うけど 。
「… いや 、あったかいよ、治 。ありがと」
そう答えると治は満足げに 頬を緩ませて 俺の手を 握り返した 。
こんな日がいつまでも 続くと いいなと 思った 。
ーーーーーーーーーー そんなことを考えていた次の日、衝撃の事実を知った。
「角名 、俺な 、好きな人出来たんやけど」
その言葉を 聞いた瞬間 、全身から 何かが 抜けていくような気がして 言葉が出なかった。
こういう時、なんて言うのが普通だろうか。一生懸命考えてやっと声に出した。
「あ、えっと、 おめでとう 。」
おめでとう??おめでとうってなんか違くない ?
好きな人 が出来たって言われて なんて言うのが 普通????
なんでだろうな。別に 侑とかに 同じこと言われても こうならない のに 。
「最近、 バレー とか 飯 とかよりも そいつの事 考えてまうねん 。」
… そんなに 好きなんだ 。あの バレーと 飯 くらいしか 頭に 入って なさそうな 治 が ここま言うなんて 。もしそいつと 治 が付き合ったら 今まで みたいに 一緒に 帰ったり 出来なく なるのかな 。一緒に 昼休み 過ごしたり 、どこかに 遊びに行ったり 。
そんなことを 想像 したら どこか寂しくて 。でも こんなこと 言えないし 。
治と俺 は クラスも 部活も 同じだから 一緒にいた時間は 長いと思う 。常に 隣 にいた つもりだった 。けど 治 に好きな子が 出来てたなんて 、全然 気づかなかった 。
治 はあまり 女の子 とかに 興味 ないって 言ってたのに 。
色んな感情 が 一気に 溢れてきて 頭の 中が ぐちゃぐちゃ になった 。
「………そっか 、頑張りな」
とりあえずそれっぽいこと を言っその場を 後にした。
ほんとうは 言いたいこと いっぱいあったし 、いろいろ 思う事 もあるけど 、俺には とても 言えそうにない。 自分 の感情 を 伝えて 嫌われるのが 怖かった。
治は 背も高いし 顔も良いし 学年一 モテてると思う 。
きっと 治が 好きだと言っていた 子 も治 の事 好きだろう 。
…………… 俺に 勝ち目 なしかよ 、笑
別に 張り合ってた 訳じゃないのに こう思えて くる 。
自分の 治への 感情 が 分からなかった 。
次の日から 俺は 無意識 に 治を 避けていた 。いつもなら 一緒に 購買 に行っていたが その日は 行かなかった 。
でも その日の 部活終わり 、部室 で 治と 2人きり になってしまった 。
ああ 気まずい 。早く帰ろうと思って居たのに 治 が 俺に しゃべりかけてきた 。
「俺 、好きな子に 嫌われとるかも しれん 」
治が 嫌われる イメージ が 無さすぎて さすがに 驚いた 。
でも、どこか 安心 している 自分が 嫌いだ 。
「… 治が その子に 振られたら 俺が そばに居てあげるよ 」
なんて 言える訳もなく 言葉を 探した 。
「振られたら 俺が 慰めて あげるよ 」
自分が 考えてることに できるだけ近づけた セリフ だった 。
伝える つもりは それほど無かったから すごく 小さな声で 呟いた 程度 だ 。
治は 表情 を変えずに 続けた 。
「最近 避けられとる 気がするし 、なんや 素っ気ない 。」
治に そんな態度 を取る 女の子 が 想像 できなかった 。
珍しいな 、
「あ 〜、 俺やっぱ 恋愛 向いてないんやな 」
こういう時 、良い奴 なら ”そんなことないよ、諦めんな” って 言うだらうな 。
俺には とても ではないけど 言えなかった 。
「人には 向き不向き あるもんね 。」
全然 励ますような 言葉でも ないけど 。
「もういっその事 告って 振られよう かなぁ」
果たしてほんとうに 振られるのだろうか 。
不安な 気持ちの方が 大きかったが 、流れに従い
「うん 、いいんじゃないかな 」
と答えた 。
治 は “んんーーー”と 唸りながらも ”よし”と 決意を 固めた 。
「あーー 、角名 。… 好きです 、つきおうてくれへん ?」
… え? ちょっまってちょっとまってえ、え、?
これマジのやつ????
嘘だろ 少女漫画 かよ …
「…え?えっと 、え、今の 練習???」
そう聞きながらも 少し 、期待して 返事を待つ。
「… ンなわけ ないやろ 。俺が 好きなんは 角名 や 。」
え、は、え? ちょ、え?
ぶわあああと 自分の顔 が 熱くなるのが わかった 。
“角名 顔 真っ赤 や ” と 治 が笑う 。
「え、あの 、 おれも 、 好き ……」
そうか、 俺は 治が 好きだったんだ 。やっと 自分の気持ち を伝えられた 。
こんな事が あるのだろうか 。アニメ とか ドラマとかでしか 見た事 なかったやつ … 。
治 の目を 見れなくて 顔 を逸らす 。
抱きしめられ 、さらに 頬を染める 。
そして 、治 の唇 が 自分の 頬に 触れる 。
「!!ちょっと 、、」
焦って 治 の 腕つかみ 抵抗 するが パワー 2の俺が パワー4 の治に 敵うわけが なかった 。
「なん 、口 のほうが よかったか ?」
といって 口付け する 。
「今日 は 一緒に 帰ろうな ?」
「ええ … 、毎日 がいい 」
「そのつもりや」
恥ずかしくて 、嬉しくて 、上がった口角 が 下がらなかった 。
俺は この先も ずっと 治の事を 想っていくんだろうな と 思った 。
治に 好きな人が できたと 聞いて 嫉妬したり 、嫌われたと 落ち込む 治を 素直に 慰められなかったり 俺は すごい 不器用 だな と 改めて 思う 。
でも 、俺 は 今 いちばん 幸せだ 。
そんな 、不器用 な 治と 角名 の お話 。