テラーノベル
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私は弟を迎えに来た。もうたった最後の家族の弟を。真ん中の子は夏の日、夏優町の病院で息を引き取ったわ…。まだ、下の子が生まれる前だった。まだ3歳だった。その一年後に下の子は生まれた。でもその子とは会ってなかった。きっと名前を呼んでも反応はしてくれないわ。でも、でも1度でいいから呼んでみたかった。
「リーデ」
きっと反応はしてくれない。こっちを見てもきっと何も…そんな反応なんて期待もしていなかった。なのに、なのに…
「姉…ちゃん…?」
初めてそう呼ばれた時涙が出そうになった、堪えようと必死だったから。あまり弟の顔が見れない。でも、弟に初めて姉ちゃんと言われた。真ん中の子はあんまり会えなかったから、姉ちゃんなんて呼んでもらう隙もなかった。真ん中の子は過労死に近かった。それもこれも全て醜きお母様が、能力開発のために産んで色々投与したためだった。投与されては戦闘訓練、投与されては戦闘訓練のくりかえしだった。見ていられなかった。血を吐いてもそれを口に無理やり戻されていた。いつの間にか動かなくなっていて夏優町の病院に入れられたが1ヶ月もせず亡くなった。守れなかったのだ。実の最愛の弟を、私は最初は、愛されていた。お母様が大好きだった。そしてその時はお腹に真ん中の子がいた。お母様に、2人は私が守るからね。と言っていたのに…。お母様は研究に没頭して、私との時間を作らなくなった。そして能力という存在…異世界…そんな世界が知られた頃、お母様はどんどんおかしくなった。私は、お母様に訓練兵として自衛隊に送られたのだ。
下の子の顔も見ずに、そして産まれた時は名前の写真。そしてその生まれた子の写真が毎月送られてきた。そして、私は神になって。自分の故郷に帰る権利をやっと貰えた。
「チデさん!?生きてたんですか!?」
この子はリーデの友達のフールルくんだろう。この子も能力検査を受けているとのことだった。この子もぜひ助けたいのだ。
「チデ姉ちゃん!生きてたならなんで教えてくれなかったんだよ!」
どうやら記憶改竄をされていて。私が最近まで居た事になっているようだ。私は
「今日はね、あなたたちをむかえにきたの、あの醜きお母様から…」
と言ってお母様の来る方向を睨んだ。
「チデさん!逃げてください!無能力者のあなたでは!」
どうやら、無能力者というのは健在のようで。私は何も出来ないということになっているようだ。
「あら、チデ、帰ってきてたの」
とお母様の登場するであろう所から、案の定お母様は登場した。私は殺気がこの子達に障らないように、お母様に向けてはなった。お母様萎縮するかと思いきやケロッとしている
「そんな、古臭い名前で呼んでいいのはこの2人だけよ?醜きお母様」
とこれまでにない嫌味ったらしい声と態度で言う。これが最後なんだ。これが…私たち兄弟が、これから安心して暮らす為の
「あなたは出来損ないだったわ、でもそのふたりは違う、連れていかせないわよ?」
どうやら2人は私とは違ったらしい。
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