テラーノベル
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私の家まで着くと、電気もつけずに抱きしめられて唇が押し当てられる。
何度も、何度も求めあうように深いキスをされて、拒むことなく私は受け入れてしまう。
これは浮気、なんだろうか。
別れた気のない彼にとっては浮気なんだろうな。
「全部俺のせいにしてください」
私の心を見透かしたように涼くんが囁く。
涼くんの胸に自分の耳を押し当てると、緊張しているのか鼓動が速い。
余裕そうに見えるのに、それがちょっと嬉しくて、ぎゅっと抱きついた。
「私を涼くんのものにして」
自分から涼くんに唇を重ねる。
唇が離れると、力強く抱きしめられて耳元で囁かれる。
「好きです、ほなみ先輩」
彼氏にだって最近言われていなかった好きという言葉。
涼くんは大事に、宝物みたいに告げてくれる。それが嬉しくて、心地よい甘い空気に浸っていく。
涼くんのせいになんてしない。
彼からしてみれば、これは浮気。
それでもいい。
それでも、私は————
朝目が覚めて、隣を見ると涼くんが眠っていた。
かわいらしい寝顔に微笑みながら、頭を撫でると涼くんがうっすらと目を開けた。
「おはようございます」
とろんとした目が幼さを感じて、普段は見れない彼の姿にぎゅっと心臓が掴まれる。
「……おはよう」
ベッドの中にいるという事実が気恥ずかしくて、目を逸らしてしまう。
後輩である涼くんと一夜を共にするなんて思いもしなかった。
私は後悔なんてしていないけれど、涼くんはどうなんだろう。後悔しているかな。
「なかったことになんてしないでくださいね」
私の手を掴んだ涼くんが真剣な眼差しで私を見つめてくる。
「俺、本気なんで」
……あれ?
心臓が五月蝿い。
昨日は突然の告白とあの空気にやられたのかと思ったけど、涼くんを見ていると顔が熱くなってくる。告げられた言葉に嬉しいと思っている自分がいる。
「……しないよ、ただ」
「ただ?」
言葉の続きを催促するように、涼くんが顔を近づけてくるので慌てて身を引くと、逃すまいと腕を強引に引っ張られた。
「っ、ちゃんと話してきっぱりと別れてから、その……また会おう」
「それって期待していい?」
「期待って……」
「俺のとこに来てくれるって思って待っててもいいってこと?」
逸らしていた視線を涼くんに戻すと、目があった瞬間にどきっとしてしまう。
まっすぐな想いに片足を突っ込んでしまった私は、もう抜け出せなさそうなくらい浸ってしまっているのかもしれない。
キスをする代わりに、涼くんの唇に指先を当てて微笑む。
「待ってて」
fin
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設楽理沙